目次
日本最南端にある県沖縄は、他の都道府県にはない特色のある県です。沖縄と言えば、真っ先に思い浮かぶのが青い海と温暖な気候。透明度の高いサンゴ礁の海、そして気温は真冬でも平均で17度以上、東京の4月下旬の暖かさ。この気候に魅せられ、年間550万人もの観光客がこの地を訪れます。また古くは琉球王国の時代から今もアジアの国々と交流の深いこの地域は独特な文化を発展させ、なんと沖縄県だけで9ヶ所の世界遺産があります。
沖縄県の人口は約140万人ですが、これだけの人口を抱える沖縄には当然医療機関も多数存在しています。沖縄は、その気候風土に魅せられた県外からの就職希望者も年々増えていて看護師の移住組も多いです。ここではそんな沖縄の看護師転職事情についてご紹介します。看護師の沖縄移住実話も掲載していますので求人探しの方法や給料相場を確かめるのに役立て下さい。
1.沖縄県内での看護師求人事情の実態は?
まず沖縄県内の看護師求人事情を見てみましょう。例えばマイナビ看護師の公開求人検索では34,164件の求人が出ていますがエリアを沖縄県内に絞った場合はなんと51件になります。東京が6,133件あることを考えると沖縄県内の公開求人はマイナビ看護師だけ見るととりあえず少なそうです。
ただマイナビは九州・沖縄エリアはあまり拠点として重点的な印象がなく首都圏エリアに強みがあるという点は考慮が必要かと思います。一応レバウェル看護の方をチェックすると1,000件以上の公開求人が出ていたので「求人の絶対数はもちろん首都圏に比べると少ないが転職サイトの得意エリアなどによって掲載求人数は異なる」というような印象です。ですので沖縄で看護師の求人を見つける場合は沖縄エリアを得意とする転職サイトを使うのがまずは重要だと言えます。
ちなみに厚労省・賃金構造基本統計調査・賃金構造基本統計調査に関する統計表を見ると、沖縄県の看護師就労者数は10,220人とこれは結構都道府県別でも少なくはない数字になっているので、非公開求人なども含めると十分就労のチャンスはあると言えるでしょう。実際の看護師就労者数の割に転職サイトの求人件数が少ないという点を見ると直接応募が多いとか有人の紹介で就業しているなど都市部とは少し異なる就業実態も推測できます。
2.沖縄県内で看護師の仕事は稼げるのか?給料相場は?
転職にあたり給料の話も重要です。これに関しては明確なデータがあるので紹介します。
上記の「4.地方都市の看護師求人の特徴は?都会との比較など」の箇所に都道府県別の年収相場の比較があります。京都府が1位で約540万、東京都が2位で約530万など上位の都道府県は年収500万を平均で超えている一方で、最下位の宮崎県などは年収400万を下回っています。
沖縄県はどうかというと、厚労省・賃金構造基本統計調査・賃金構造基本統計調査に関する統計表を見ると、平成29年のデータで言えば月収の平均が293,800円に賞与が756,000円で年収の平均は約428万円になります。この数字を見ると年収面では都道府県別ランキングの下位の方になります。「沖縄の看護師の給料が平均的に高いかと言えば都市部よりは劣り年収400万円強」というのが沖縄の看護師の給料に関する公的なデータからの実態です。以下に最新の平成30年の数字もありますがこちらで見ても47都道府県中43位と決して給料は高いほうではありません。
3.県外から沖縄県内へ看護師として就労する事例
県外の看護師が沖縄で働く事例はいくつかあると思います。各々の注意点などを見てみたいと思います。
・定住して働く・・・沖縄に居を構えて医療機関で働きます。沖縄に定住し、地元の人の暮らしに溶け込むことは、沖縄が好きな人、沖縄をもっと知りたい人には理想的です。ここで考慮したいのが住む所と通勤方法です。沖縄は鉄道が整備されていませんので、電車通勤は基本できません(※車の人が多い)。また人口増加率が高いため住宅不足で家賃も安くありません。そのような点を考えると、通勤に便利で負担額の少ない寮完備の医療機関がいいかもしれません。
・短期間働く・・・沖縄は観光客の多い土地。特に夏の海水浴シーズンには、日本全国からだけでなく、周辺のアジア諸国からも観光客が訪れます。この様に繁盛記と閑散期がある沖縄では、観光客が多いシーズン限定の看護師求人も多くあります。期間は医療機関によりますが、短いものは数週間、長いものは半年程度です。勤務場所は観光地の病院、離島の診療所、ホテルの保健室などが代表的なものです。沖縄のベストシーズン中の勤務ですから、オフの日は自分自身も観光気分が味わえるリゾート地・沖縄での勤務はとても人気です。
上記の「短期間働く」という点において下記に「応援ナース」「離島ナース」についても紹介があるので併せて見てみましょう。
4.東京から沖縄の移住転職体験談(応援ナース利用・転職当時27歳・女性)
ここからは実際に東京から沖縄へ移住した看護師の方へのインタビューをご紹介します。
性別 | 女性 |
年齢(沖縄への転職・移住時) | 27歳 |
転職前の職場 | 総合病院外科病棟看護師・東京都・変則三交代勤務 |
転職後の職場 | 市立病院外科病棟看護師・沖縄県・二交代勤務 |
使った転職エージェント | レバウェル看護・ナース人材バンク・ナースパワー |
転職理由 | もう少しのんびりしたいと思ったこと。それを若いうちにやりたかった。昔から憧れていた沖縄で働いてみるチャンスだとも思った。 |
前職は総合病院外科病棟勤務看護師でしたが、給料はそれほど高くありませんでした。総合病院で、給料やボーナスは「国家公務員に準ずる」でした。他の県にも系列病院がありましたので地域手当というものが27000円毎月ありました。新卒から6年間勤務しましたが夜勤手当も含めて平均月30万円ぐらいの手取りでした。ボーナスは年間90万ぐらいでした。
転職にあたり狙っていた条件としては、口コミなどで人間関係が悪くないところ、平均勤務年数が高いところ、応援ナースを受け入れてくれるがあまり応援ナースが多くないところ、地理的な条件で沖縄県の田舎過ぎないところをお願いしました。勤務病棟希望には即戦力になれるように外科病棟勤務で夜勤2交代というのを提案しました。
給料は東京の頃の給料と比べるとかなり下がりました。全国で給料の一番高い東京からかなり低い沖縄、応援ナースという条件でしたので仕方ないと思っていますが、月平均7万円減、ボーナスはなしでした。
悪かったことは、さっきも言いましたが、生活は充実しているものの、給料が少なくなったことです。沖縄の家賃は思っていた以上に高く、また実家が関東なので帰郷するためには飛行機代が掛かります。収入は減るのに出費は増える一方でした。元同僚や同級生が認定を取ったり、役職に就いたという話を聞くと自分は今後どんな看護師になっていったらいいのか、このまま責任のある仕事を逃れていていいのか、と不安になることがありました。
5.東京から沖縄の移住転職体験談(ナース人材バンク利用・転職当時28歳・女性)
性別 | 女性 |
年齢(沖縄への転職・移住時) | 28歳 |
転職前の職場 | 私立病院内科看護師・東京都・三交代勤務 |
転職後の職場 | 訪問看護師・沖縄県・日勤(オンコールあり、週休2日制) |
使った転職エージェント | ナース人材バンク |
転職理由 | 前職で看護師としての在り方を見つめ直し転職を決意。 |
給料は転職した当初は基本給はとても低く、基本給は16万、住宅手当や資格手当などの手足が10万ありました。数年経って会社の運営方法が変わり、給与形態が変わりました。現在は基本給22万円、手当や残業代で6万円、合計28万円頂いています。ボーナスは営業利益の目標達成にならず入社して数年、出たことはありません。まあ東京の方が高いですよね。あと夜勤もないですので。
他県から沖縄に行って働きたいと思っている人は少なくありません。しかし、ここで問題になってくるのが、面接や赴任(引っ越し)などです。いくら求人票を熟読しても、履歴書でこちらの情報を医療機関に渡しても、やはり就職を決める際には現地での面接が不可欠です。しかしながら憧れの地・沖縄は決して近くはありません。同じように引っ越しもお金と時間がかかりそう。そう「距離」が問題になってきます。そのため、病院の中には面接の費用や引っ越しの費用を負担してくれる所もあります。また看護師転職サイトなら、面接を行うまでに徹底的な情報収集を行うことができ、複数の病院に興味があった場合は、同じ日に面接ができるようスケジュールの調整も行ってくれます。もし本気で沖縄への移住を考えているばレバウェル看護などの沖縄を対象エリアとするエージェントに相談してみましょう。上記の看護師さんが利用したナースパワーもおすすめです。
<※応援ナースの経験談①>
新卒後3年お礼奉公した後、派遣看護師一本で生計を立てています。応援ナースとしても過去3回、働いたことがあります。応援ナースは、若くて独身のうちにしかできないことだと思っています。応援ナースは原則的に、配属先に家具家電付きの寮が用意されています。逆をいえば、今まで使っていた家具家電および家を引き払う必要があるというわけです。私はたまたま就職後もずっと実家住まいで家具家電もなかったですし、実家にそのまま物を置いておくことができたので良かったですが、一度一人暮らしをしている方は、トランクルームを借りなくてはいけないなど意外とハードルは高いと思います。仕事自体は応援ナースを雇うほどの病院なのでかなりハードですし、要求される技術や経験も高いです。お給料の高さも、あの環境ならば当然だよな、と思ってしまうほどですし。でも、応援ナースとして働くごとに看護師としてまた一回り成長しているな、というのは実感としてありましたし、三か月から半年といった期間限定なので、最悪の環境であっても「あと〇月で帰れる」と思えるので、そこまでつらくもありません。条件があうようならば、一度経験されてみることをお勧めしますよ!
<※応援ナースの経験談②>
短期の離島応援ナースはナースパワー人材センターで募集情報が出ています。短期ということから、やはり高い適応力が必要であったり、ようやく慣れた頃に勤務が終わる、看護のやり方などにも違いがあるなど、苦労はたくさんありますが、その分離島応援ナースでしか経験できないような看護というものをたくさん経験して吸収できます。離島応援ナースの給料は、正看護師の月収でだいたい40万円から45万円、准看護師の月収で25万円から35万円くらいでした。ボーナスや退職金はない場合が多いけど、月収が高いし、旅費や引っ越し費用などは負担してもらえるし、アパートや寮も完備している場合が多いから条件としてはすごくいいと思います。ただ、やっぱり短期で離島ってことから考えると、普段自分達がやっている看護じゃ通用しなかったり、アプローチの仕方が全然違ったりするってことがあるから、そこは大変だとは思います。短期だからゆっくりってわけにはいかないし大変だったけど、離島応援ナースは楽しかったし、みんな優しくて休みの日はマリンスポーツしたりゆっくり過ごして充実してたとも思います。