「ワークライフバランス」という表現とは、看護師一人一人がやりがいと達成感を持って仕事の責任を果しながら、一方でプライベートや家庭生活、地域での営みを充実させて、仕事でもプライベートでもその人らしい生き方を送るという意味あいで使われます。仕事中毒の人も多い日本人ですが、その働き方や労働条件を見ていれば決してワークライフバランスが充実している人が多いとは言えず、ワークライフバランスという主張をするだけで「悪」という風潮がある職場も存在するほどなので、日本人にとっては特に「ワークライフバランス」という考え方は重要です。
昨今は看護師の労働環境も昔に比べれば多少は働きやすい環境になってきています。昔は女性は子供を産んだら家庭に入る時代だったと聞きますが、今は産前産後休暇などもあり、子供を産んで家庭に入るか職に戻るかの選択肢があったりしますし、完全に思いが通る状態ではないかもしれませんが、女性でも働き安さが高まっていると言えます。ワークライフバランスが充実させようと思えば、常勤、パート、派遣などの雇用形態はもちろんですが、夜勤の有無や福利厚生などをしっかり見極めて転職しないと仕事に溺れるような毎日にもなりかねませんので、ここでは看護師がワークライフバランス重視で転職するための具体的な提案をします。
私は今25歳で看護師3年目です。新卒から大学病院で勤務しているのですが正直激務すぎてもう少しゆっくり働きたいなあと思っています。仕事と私生活のワークライフバランスがとれる職場がないかなあ・・・と色々検索している段階です。
女性が多い看護師という仕事では、子育てをしながら二交代をするというタフな看護師さんも多いですが、人生の充実のためにはワークライフバランスを重視して働くのも大事なことです。看護師業界全体としては人材が不足していますので、ワークライフバランスが充実した環境を全ての病院が整えるというのはなかなか難しいのが現状があり、自分で働き方を考える(日勤専従にする・派遣看護師にするetc)ことや、ワークライフバランスがしっかりした環境(残業が徹底して少ない環境、有給消化率が高い、短時間正職員制度あり、アニバーサリー休暇や誕生日休暇など独自の休暇がある、リフレッシュ休暇や勤続年数に応じた休暇があるetc)を探すことなどで、自分の行動により実現できると思います。
今働いている大学病院は自分の学校の付属病院なので、ワークライフバランス重視で就職したわけではありません。学生からの流れでそのまま就職したという感じです。ですがちょうどもうすぐ学費免除になる就業期間のラインを超えるので、このタイミングで働き方を考えてもいいかなあと思っています。
ワークライフバランスを重視するのは実は看護師にとってはそんなに難しくないんです。
なぜなら雇用先や雇用形態の選択肢がかなり広いからです。ゆっくり働こうと思えばどれだけでも調整できます。でもキャリアアップに繋がらなかったり夜勤手当の分の給料が下がったりデメリットもあるんです。これは看護師さんたちの永遠のテーマであり、
「答えは自分で結局見つけるしかない」という感じですよね。これが一番いいよって働き方は本当に人それぞれですし、タイミングによっても違うと思います。例えばフルタイムで早朝から夜中まで動きっぱなしでも金銭的にゆとりを持たせたい時であればそれが正解だし、子育てで時間が必要ならパートにして時間を確保してもいいし、どこに視点を置くかを整理して考えたほうがいいですね。病棟で夜勤もある看護師さんが基本的には大多数だと思いますが、子供が小さなうちは授乳の問題や子供が夜間に発熱したケースなど考えると正直きついと思います。
看護師は働き方の選択肢が多いからこそ、今自分に必要な働き方を常にチョイスすることも大事なのです。その優先順位が「ワークライフバランスの充実」であるならばそのように動くことも可能です。あと、決して仕事を減らすことだけがワークライフバランスの充実ではないので総合的に考えて充実した毎日が送れるように調整しましょう。私の担当した看護師さんで、子供が3人いてフルタイム2交代で管理職もしている看護師さんがいましたが、傍から見たら忙しくてワークライフバランスなんてないように見えます。その人は看護研究もして学校行事も参加していつ寝ているのという感じでした。でも実は親と同居してたりとか旦那さんが割と時間にゆとりのある人だったりとか、その人なりのワークライフバランスはとれているんですよね。ということで看護師が仕事と私生活を両立させる方法としては「転職相談Y子さんなりのワークライフバランスを確立させること」が大切だと思います。
私なりのワークライフバランスですか・・・。例えばですが私は夜勤は苦手な方ですし、よく飲む友達とかもOLさんが多くてなかなか遊ぶリズムが合わないなあという不満は少しあります。土日の飲み会に行けなかったりとかですね。そういうプライベート面の不満はあります。
転職相談Y子さんの年齢だと大学病院の病棟二交代の方がキャリアメイクとしてはもちろんいいという前提でお話しますが、例えば二交代がきついとか夜勤が嫌という場合には日勤専従という働き方は1つ選択肢ですしワークライフバランスの改善になると思います。「夜勤さえなけば子育てと仕事の両立も可能なのに・・・」「夜勤さえなければ体力的余裕もできるのに・・・」、そう思う看護師は多いです。夜勤をしない「日勤専従」の仕事はパートもありますし常勤もありますので雇用形態自体は選択が可能です。 私の担当した看護師さんで「日勤専従看護師を希望した人」の例を挙げてみますね。
・子育て中の看護師さん(29歳)
小さな子供がいる状態での夜勤は、体力的なことはもちろん、子供の面倒を見てくれる人がいないなど困難が多いということで日勤専従への転職希望。最近は、24時間受け入れ可能な託児所を完備し、看護師が夜勤をできるようサポート体制を整えている病院も多くありますが、やはり子供が小さいうちは一緒に過ごす時間を大切にしたい、家族に負担をかけたくないとの理由から、日勤のみのクリニックへ実際に転職。
・体力的に夜勤が負担になっている看護師さん(34歳)
年と共に、夜勤による生活のリズムが崩れが気になりだし、体力的負担も大きいということで日勤専従採用がある病院へ転職。20代のうちに頑張って働いたので夜勤手当がなくなったりして多少は年収が下がっても今は体調を崩さないような毎日を最優先して、無理なく資格を活かすための選択ということで実際に転職。
「昼間だけ働くことができたら理想的なのに・・・」と考える看護師は少なくないですよね。しかし、日勤専従はメリットばかりではありませんよね?上記の方も夜勤手当の分の年収は下がると言っていますしね。納得のいく仕事をするためにも、メリット、デメリットを教えてほしいです。
はい。もちろんデメリットもあります。よく言われるメリット・デメリットを挙げてみます。
〔看護師の日勤専従のメリット〕
・育児(プライベート)と仕事の両立ができる。
・肉体的・精神的負担を軽減できる。
〔看護師の日勤専従のデメリット〕
・勤務先が限られる。
・キャリアが積みにくくなる。
・収入が減少する。
日勤専従看護師(正職員)の勤務先として最も多いのが、入院設備がなく、夜勤の必要性のない診療所やクリニックです。仕事も外来業務がほとんどです。最近は、3交代をする病院でも、夜勤専従の看護師を採用し、日勤専従の病棟看護師という働き方もできるようになってきていますが、それはごく少数で、基本的には正職員での病棟勤務には夜勤が必須になってきます。ですから、日勤専従看護師として働くことができる職場はある程度限られるというのはデメリットですし、キャリアを積んだり、最新の医療を経験する機会は少なくなるというのもデメリットと言えるでしょう。また上記の34歳の方も言っていますが、夜勤がない=夜勤手当がないことになりますから、当然、給与も夜勤のある交代制勤務と比べて減少します。
まあでも年収減などのデメリットを考えたとしてもワークライフバランスの充実を求める時期には日勤専従は最適の求人かもしれないですね。
はい。でも日勤専従看護師は、大変人気の高い求人です。なぜなら「日勤だけの仕事をしたい」と思っている人の数はとても多いからです。
特に、正職員として相応の基本給があり福利厚生を利用できる求人は競争率が高くなります。また、高齢者施設や医務室や保育園のようなところにも日勤専従の求人はありますが、一施設における看護師の数が少ない職場では、経験や知識、技術が求められるため、新人看護師や経験年数の少ない看護師の就職は難しくなっています。売り手市場と言える看護師の職探しですが、好条件の日勤専従に関しては、求人数が追いついていないこともあり、決して「楽に仕事が見つかる」とは言えないのが現状です。
あ、ちなみに前に質問されていた美容皮膚科の外来なども日勤専従の採用先の例ですね。美容皮膚科の看護師の求人も待遇がいいところとか立地がいいところとか福利厚生が充実しているところとかインセンティブが多いところとかはやはり人気です。
日勤専従のメリットは理解しました。他にもワークライフバランス重視の転職例はありますか?
はいもちろんです。看護師は現在の医療現場では総じて売り手市場です。高齢者の数が増えたことに伴って介護施設の数も増えて、さらに介護施設への看護師配置義務が出来て、一方で病院の看護師が更に不足する事態で・・・。 このように全体的には看護師不足の現状です。医療機関や高齢者施設ではその状況を打開するため、少しでも看護師を確保する方法としてアルバイト看護師の求人は増加傾向にあります。アルバイトと言うのは、一見すると保障も何もない中途半端な働き方と言うイメージがありますが、看護師側からすれば、だからこその自由も存在します。 社員として働いている場合、ある程度は会社である病院の意向に従った働き方をしなければなりませんが、アルバイト看護師という存在は正職ほどの責任を負うことはありませんので、精神的にも肉体的にも負担の少ない働き方になります。 また、雇用主である病院側にとっても、アルバイト看護師は都合のいい人材でもあります。 正社員ではないためボーナスや各種手当の支給をしなくてよく、人件費の削減と言う意味ではありがたい人材になります。
私の周りにもアルバイトをしている看護師います。アルバイトだけで生活している人もいるし常勤と掛け持ちしている人もいます。
おっしゃるように中には通常の勤務の他にアルバイトを掛け持ちでしている方も少なくはありません。 そんなに働いてどうするのかと思われるかもしれませんが、看護師としての経験を積むためには、一つでも多くの現場を経験することが最も早く、確実な手段になります。正社員としての勤務をしながら、更にアルバイトを経験して少しでも多くの経験を積み、看護師としてのスキルアップを行なっている方がいるわけです。でも今回のワークライフバランス重視ということで言えば掛け持ちではなくアルバイトだけで都合よく働くということですね。正社員として縛られずに働き、一般アルバイトよりも遥かに高い時給をもらうことが出来るというのは、看護師アルバイトならではと言えるでしょう。
看護師アルバイトの種類ってどんなものがあるんですか?時間の拘束とかはどうなっていますか?
アルバイトで看護師として働くといっても、様々な種類があります。働ける職場は挙げればキリがないですし、病院・クリニックの診療科で見てもどの診療科にもアルバイトがあると思います。ここでは勤務形態というか時間の拘束という意味で2つ分類してみます。
(1)日勤看護師
日勤のみの勤務をするアルバイト看護師になります。 勤務時間は通常の日勤の勤務時間で残業もほぼなく、定時で帰ることも可能です。 日勤のみの勤務になるため、仕事と家庭の両立がしやすく、負担も少ないメリットがあります。
(2)夜勤専従看護師
夜勤のアルバイト看護師になります。 夜勤のみを専門的に行なうアルバイト看護師で、日勤などは一切なく、業務は通常の夜勤業務になります。 夜勤は肉体的な負担も少なからずありますが、その分、夜勤手当が多くつくため、アルバイト看護師の中でも特に給料の高いアルバイトになります。夜勤専従専門の求人サイトもあるほどです。
日勤看護師のアルバイトであれば肉体的な負担の軽減に繋がりますし、夜勤専従のアルバイトであれば高収入かと言う選択肢になります。どちらもアルバイトですので過剰に残業があったりするケースは少ないです。どっちがいいかは人によりますが、夜型で夜勤の方が楽という人もいますから自分がどちらの方がワークライフバランスがとれるか考えてみましょう。 あとアルバイトと同じく正社員ではない働き方としては派遣があります。派遣は非常勤で期間限定で働く方法ですが、基本的には派遣会社に登録して都度勤務先を変えていく感じになります。派遣については以下のページをご参考下さい。
私の歳でアルバイトや派遣で不定期でというのもなんとなく少し怖いですね。。例えばですが二交代を続けながら正社員のままでワークライフバランスを重視して働こうと思ったらどんな職場がお勧めですか?
そうなるとやはり
「時間外勤務・残業が少ない職場」などになるでしょうか。転職相談Y子さんなら身にしみてわかると思いますが、看護師は、急患の来院や患者の急変、処置や検査の時間延長などで時間通りに仕事が終わらないことがありますよね。終業時間は過ぎていてもその場を離れることができず残業になってしまうという事がよくあります。
日本看護協会の「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」の調査によると、中には月に50時間以上も残業をしている看護師が7%程度いて、これでは精神的にも肉体的にもワークライフバランスがとれるわけがありません。月に20時間以上の残業の看護師を見ても約40%いて看護師の残業実態が伺えます。
10時間以下 | 34.1% |
10~20時間以下 | 25.0% |
20~30時間以下 | 17.6% |
30~40時間以下 | 9.1% |
40~50時間以下 | 6.4% |
50時間以上 | 7.7% |
しかし一方で医療機関によっては残業がとても少ない、あるいはほとんどないところもあります。現状で残業の多い職場でも、場合によっては残業時間を減らすための業務改善に取り組んでいるところもありますが、病院という組織全体を変えるには時間がかかりますので、残業のない仕事先を探しているのなら、転職というのが1つの選択肢にはなってきます。
私の大学病院でも残業は慢性的ですね。急患の来院や終業時間間際の患者の急変はもちろん残業の原因になりますし、記録や引継ぎなどなんとなく終わるに終われなくてついついあれこれ仕事をしてしまうという事が大きいようにも感じます。交代制勤務の場合、前の勤務者と次の勤務者の勤務時間が重なる時間が多ければ、前の勤務者の勤務時間中に引継ぎをする事ができますが、時間の重なりがほとんどない場合は、勤務時間を越えて申し送りをしなくてはいけなくなります。また、一応仕事は終わっているのだけれど、明日のためにこれもやっておきたい、これをやっておけば明日の仕事がはかどるなどの理由で、ついついあれこれ仕事を見つけてやってしまう事もあります。そして更に、そんな風に誰か一人が勤務時間を過ぎても働いていると、周りの看護師も「なんとなく自分だけ帰りづらい・・・」とばかりにそこに残り、結局みんなで居残ってしまうという悪循環もよくあるパターンです。残業の問題は忙しさの話もありますが、病院全体の慣習というか雰囲気にようにも感じますね。
度重なる残業は、看護師の私生活にも影響します。「約束していたのに残業で行けなかった」「残業のため予約をキャンセルした」という事が続き、しまいには友人から「あてにならない人」という烙印を押されてしまったとう悲しいエピソードもあります。小さい子供のいる看護師は、保育園のお迎えが遅くなったり、子供だけで留守番させる時間が長くなったりと、家庭に影響が出ます。
残業の少ない転職先と言えばどういうのがありますか?
一般にデイサービスや老人ホームなどの福祉介護施設では比較的残業が少ないです。デイサービスは決まった時間に利用者さんは必ず帰りますし、重篤な方でもないので。医療機関でも、業務や勤務体制の見直しを図り残業時間の削減に対する取り組みが進んでいるところもあります。残業時間を削減する事は病院にとっても残業手当の支払いを減らす事ができるため積極的に改善しているのです。
医療機関へ転職する場合は看護師転職エージェントと一緒に綿密にヒアリングをして残業が出ないことを確認する必要がありますね。また、これは全部が全部ではないですが、私の聞く話の統計だと、同じ仕事内容でも若い人が多い医療機関は残業が多く、家庭を持っている人が多いところは残業が少ない傾向があるようです。これは若い人は、残業は嫌だと思いながらも「仕方ないか」とついつい残業を容認してしまうのかもしれませんが、家庭を持つ人は「○時までに子供を迎えに行かなくては!」とか「夕飯の支度がある!」など、就業時間内に仕事を終えようと言う意識が強く、職場全体が残業をしない雰囲気と環境になっているんじゃないかと思います。もちろん一概には言えませんが、就職先を選ぶ時の観察ポイントにしてみて下さい。
看護師転職エージェントと一緒に残業の少ない医療機関を探したり、高齢者施設も含めて検討するのはありかもしれないですね。転職の際は情報収集が命ですね。結局残業多かったら意味ないので。。。
あとは定休の絶対数や休みのとりやすさもワークライフバランスを充実させるキーワードです。定休が想定で何日あるのかと、加えて有給がどれだけ取得可能かという話です(転職時に提示される定休日数も大切ですが、定休に加えて設定される有給休暇の「取得率」というのもさらに重要なポイント)。 定休が多くて有給休暇の消化率が高い職場であればあるほど、働いている看護師の休養がしっかりと保障され、働く上での就業環境の満足度にも大きく繋がってきます。
そもそも、実際の看護師の年間休日数は、平均すると110日程度と言われています。これは「平均」の年間休日数と言われている日数で、実際にはそれぞれの職場にもよって年間休日取得数の差はあり、年間休日数が90日をきっている職場もあれば年間休日数が120日以上ある職場もあるのが現状です。例えば4週8休(4週間で8日休み)制の医療機関は多いですが、4週8休を年間休日数に換算してみるとだいたい104日程度となり、これに有給休暇を加えると平均と言われている110日のラインに近づきます。一方で4週6休(4週間で6日休み)などを採用する医療機関では、定休が80日程度になり休日の絶対数は減ります。また同じ休みの数でも、土曜日の午後と日祝が休のクリニックなどでは土曜日の午後を2回合わせることで1日の休みと数えたり、土曜日以外にも半日診療がある場合に同じように2回合わせることで1日の休みと数えるケースもあり、実際の丸々1日休みという意味ではとしてはさらに減ったりします。1つの傾向としては規模の大きな職場やスタッフ人数がしっかりと確保されているような職場では年間休日数はだいたい110日程を目安に設定されている場合が多いです。このようにそもそもの定休の数というのは医療機関で割と違うんです。
定休の話が長くなりましあが、あとは有給休暇の消化率もワークライフバランスの充実には欠かせません。有休消化率はそれぞれの職場によって本当に全くと言っていいほどに異なっているというのが現実です。有給休暇は取得したいと申請した場合、雇用者側は休暇日の日程変更をすることについては可能なのですが、有給休暇を取得すること自体を職場側が拒否することはできないと法律でも明記されています。しかし実際には看護師が不足している状況であれば、誰かひとりでも有給休暇を取って休みに入ると現場が回らなくなってしまうということになってしまったり、有給休暇を欲しいと言える環境にないなどの理由で、有給休暇がしっかりと取れていない、申請することができないというような職場がとても多くあると言われています。看護協会の「日本の医療を救え~看護職の健康と安全を守ることが患者の健康と安全を守る~」によると、現状では年間の有給休暇を全くとれていないという看護師が7.4%いたり、5日以下という看護師が全体の40%程度を占めるなど、なかなか有給休暇がとれていない実態があります。有給休暇を自由に取得することができるという権利を使うことができないまま、たくさんの有給休暇を無効に捨ててしまっているという看護師がかなり多くいるのです。逆に環境に恵まれれば約14%の看護師は年間16日以上の有給休暇を取得しているというのも事実です。
0日 | 7.4% |
1~5日 | 33.3% |
6~10日 | 31.4% |
11~15日 | 13.9% |
16~20日 | 10.7% |
21日以上 | 3.3% |
私も有給休暇は年間で5日以下ですね。やはり有給とれるだけでも旅行行けたりかなりリフレッシュにはなりますもんね。
有給休暇の消化率があまりにも悪すぎる、低すぎるという場合には、スタッフの就業環境などの観点から、職場に保健所から指導が入るというケースも中にはあります。 そのため、溜まった有給休暇を職場の都合に合わせて何日か消化させて有給休暇の消化率を高くしクリアするという職場も実際にあるというのが現状です。 全く希望していない研修会や勉強会などへの参加を病院側から提案され、その研修会や勉強会などへの参加日に有給休暇を使われたり、スタッフ人数に余裕が出た日に急に今日有給休暇をあげるから帰っていいよなどと出勤したのにも関わらずに強制的に有給休暇を与えられたりなどのケースも聞いたことがあります。 これでも一応有給休暇の取得となり、
消化率には影響してくることとなるため、一概に有給休暇の消化率だけで職場の環境を見定めることができると言えない場合もあるという点は一応言及しておきます。また、勤務期間中には有給休暇は全く使うことができずに、退職する時に保持している有給休暇を一気に消化するというスタイルの職場もありますので、このような状況ではやはりワークライフバランスが充実しているとは言えません。この点の改善に関してもやはり同じ職場で抜本改善を行うのは難しく、残業の多さの悩みなどと総合的に判断して転職の道をとる人もいます。実際に探してみると有効な有給休暇の消化率が高い職場や求人情報というのはあります。ですが有給休暇の消化率が高いところは、看護師の就業環境が整っているところが多く、人気も集まりやすくなっていることなどから、求人情報が出てもすぐに募集終了となってしまったり、倍率が高く狭き門となりやすいです。看護師転職エージェントを利用している人はまず「休暇をしっかりとってワークライフバランスを充実させたい」という希望をキャリアアドバイザーに伝えて、「有給休暇の消化率が80パーセント以上」「年間休日120日以上」などの職場を探してもらいましょう。
ここからは新しく整備されつつあるライフワークバランス重視の転職方法をお伝えします。看護師の女性比率は90%以上で、女性は結婚・妊娠・出産・育児といった人生の節目や変化が大きく、長く定職に着くことが困難なのでどの病院も夜勤や休日勤務の短縮・免除、院内保育の設置といった職場環境の整備に力をいれています。なかでも最近特に効果を挙げているのが、多くの医療機関が導入している「短時間正職員制度」です。この制度は、正職員でありながら短い時間の勤務でokで、キャリアも分断せずに勤務でき、社会保険の適用、退職金、昇進・昇格、福利厚生などの待遇も受けられるもので、出産や子育てなどで生活スタイルが変化することでの離職を防げるということで広く活用されつつあります。
こんなのうちの病院にあったかな?詳しく聞かせて下さい。
看護師の離職理由の上位を占める「妊娠や出産」「結婚」、離職した看護師の未就業理由の大半を占める「育児」「家事と両立が困難」といった点を合わせて見ても分かるように、ライフイベントと看護師の仕事の関係性は大きいことが分かります。その問題の改善策として短時間正職員制度を導入することで、実際に離職率が低下しているという調査結果が出ていて各病院で導入が進んでいます。短時間正職員制度を利用している看護師や病院側の実際の声をいくつか掲載しますね。
女性看護師(35歳)
一人目の出産時に勤務先の病院が短時間正職員制度を導入した事で、早速制度を利用しました。産休育休明けでの通常勤務と育児の両立に不安を感じていましたが、週3回の勤務で我が子との時間も多く持つことができ、仕事も正社員待遇のまま続けることができました。一時は今の職場を退職しようとまで覚悟していたので、制度を利用できて本当に助かりました。
女性看護師(40歳)
3人の子供を育てながら短時間正職員制度利用し時短勤務をしています。先日看護師の友人との話の中で「うちの病院もそんな制度が導入されていたら出世を諦めずに済んだのに」と言われました。彼女は将来を期待されていた幹部候補だったのですが、過酷な勤務を理由に出産を機に退職せざるを得ず、今は専業主婦として育児に専念しています。優秀な看護師が出産、育児で看護師をやめて行くのを見るのはとても辛いです。もっとこの制度を導入する病院増えるといいなと強く思います。
大学病院採用担当者(43歳)
求人に応募してこられる看護師さんは、給与面だけでなく「長く仕事を続けられる制度が整っているか?ワークライフバランスに力をいれている病院なのか?」という点も重視する看護師さんが増えています。つまり、短時間正職員制度は現在在職する人材の離職を防止するだけでなく、新たに採用する人材を確保するためにも有効な制度と捉えています。
病院看護師長(49歳)
まだ結婚していない若い看護師さんから、「結婚したら、自分もこの制度を利用したい!」「先輩のように仕事と家庭を上手く両立させたい!」という声を多く耳にします。イキイキと仕事をするママさんナースの姿は、若い看護師にとっては憧れの姿としてうつり、お互いを支え合って業務を行う事で、病棟の雰囲気も活気が出てきました。そんな良好な職場環境が看護師の間でもウワサになり、近年見学会希望者やや採用試験の受験者数が増えています。
離職率の低下だけでなく、短時間正職員制度により看護師の採用試験志願者数の増加も見られるんですね。深刻な看護師不足への有効な対策であることは間違いありませんね。短時間正職員制度のメリットは十分わかるんですがこれで給料一緒なわけないですよね?デメリットもありますよね?
基本的に社会保や昇進昇格や福利厚生などは一緒ですが、基本給はフルタイム常勤を基準に、労働時間で計算されますし、残業代もないので年収はもちろん下がります。あとは短時間正職員制度は、昇格などもある点は普通の常勤看護師と変わらないので、担当する仕事が勤務時間に対して多いという話は聞いたことがあります。こういった点は「短時間勤務者は慢性期病棟や外来を担当」「病棟間で応援体制を取る」「夜勤専従看護師の配置」など各病院で解決策を編み出すことも必要なのかもしれません。その結果、常勤スタッフにだけしわ寄せがいくようでは不公平感も生まれますので、課題がある制度であるのもの事実です。
看護師の働き方として、まだまだ認知度が低く、制度としてもまだ未形成な部分の多い短時間正職員制度ですが、この制度が定着する事で、長く同じ職場で勤め上げキャリアを形成できることで、看護師の社会的地位の上昇にも繋がると感じています。制度を利用する側の看護師さんは「子育てが一段落したら、今度は後輩のママさんナースの力になろう!」、制度を利用していない看護師さんは「いつか自分も出産や介護、体調を理由に制度を利用する日が来るから、その時はよろしくね!」という「お互い様」の精神を持つことが重要ではないでしょうか。こうしてみんなのワークライフバランスが常に整っていけばベストなのかと思います。
参考に自分の病院の短時間正職員制度についても調べてみようと思います。
看護師がワークライフバランス充実の転職を成功させるために!
看護師は多様な働き方ができるからこそ、子育て期間中などどうしても仕事以外の時間を確保させないといけない時があれば、ワークライフバランスを重視した勤務方法も可能です。具体的には「夜勤がない日勤のみの職場で働く」「一時的にアルバイトや派遣で働く」「残業が少なく休みがとりやすい病院で働く」「短時間正職員制度を利用する」など方法は様々です。看護師は国家資格ゆえにこのようなフレキシブルな選択が出来るというのは素晴らしいことです。
しかしそういったワークライフバランス重視の勤務先は転職市場でもかなり人気があります。特に夜勤がなくてもいい職場や、残業が少なくて定時帰りの職場、休みの数が多い職場などは、一般転職市場に出回る前に埋まってしまうようなこともしばしばです。より性格な情報をいち早く収集するためには、マイナビ看護師のような看護師の転職エージェントの利用が必須です。人気の求人はすぐにありつけるわけではないですが転職エージェントのキャリアアドバイザーと二人三脚でじっくり探すのもいいでしょう。ワークライフバランス重視の求人は人気ゆえに確実に転職活動を進めるようにしましょう。