目次
1.妊娠・出産で離職する看護師はどれくらいいるの?
女性が多い看護師ならではの離職理由に「妊娠・出産」があります(※看護師の退職理由ランキングも参照)。採用する病院側としてはなるべく長く働いてもらいたいので、妊娠・出産・子育て中でも看護師として働けるように様々なサービスや手当を用いしていますが、残念ながら「妊娠・出産」がきっかけで離職する人が多いのも事実です。産休があれば休職した後に落ち着いた段階で復職する方法もありますが、職場によっては産休すらないという事もありますし、産休すらないような職場だと子育て中の看護師が同じ職場に復職できるわけでもないので、再就職する場合は新しく再就職する職場を探さなければいけません。一昔前のように、「子供を育てたいなら仕事は辞めろ」というような職場は、今はほとんどありませんが、場合によっては看護師キャリアを分断して再スタートしなければいけない場合もあります。ここではママナースが出産後に新く求人を探す場合を想定して、再就職するためのポイントや、出産時の失業給付の受給方法などの情報も解説していきますのでご参考下さい。
2.出産後に新しい職場に転職するメリット・デメリットは?元の職場への復職との比較は?
<※新しい職場へ再就職したいママナースと再就職を躊躇するママナース>
看護師不足が叫ばれる中で出産後のママナースが医療現場へ戻ってくるのは業界としても喜ばしいことですが、ママナースの中には「なるべくすぐに再就職したい」という人もいれば、様々な理由で「再就職を足踏みしてしまう」という人もいます。今は子育て中であってもすぐに再就職したいという看護師に多いのは、1つは「収入など金銭的な問題」はあります。やはり経済的に支出だけでは不安が募ります。他には「看護師自身のスキルアップに対する意欲が旺盛になっている事」なども感じます。最近の若い看護師さんにはエネルギッシュな人も多いように思います。再就職しやすくなった背景には、社会全体の子育てへの理解が芽生えつつある事や、子育て中でも再就職できる環境が増えたことなどもあり、再就職しようとする看護師側の意欲だけでなく、再就職しやすい環境ができた事が、昨今の「子育て中でも看護師として再就職する」という活発な動きにつながっているのかもしれません。
一方で、再就職を躊躇してしまう看護師の声で多いのは「子供の突然の体調不良」です。子供は小さければ小さいほど、突然熱を出すなど、急な体調不良を起こしやすいものです。まして、保育園などで集団生活をしていれば伝染病などをもらって来てしまう事も多く、家庭だけで健康管理を必死に行っても防ぎきれない病気の発生が必ず起こります。このような子供の体調不良に理解のある職場なら問題はないのですがなかなか少ないのが現状です。また核家族化により親との同居が減り、離婚率の上昇でパートナーの子育てサポートが受けられない点なども、背景にはあると思います。
3.退職によってもらえる《失業給付》とは?
雇用保険とは労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活および雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度のことです。そして、雇用保険の被保険者である労働者が様々な理由で離職し、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日でも早く再就職できるように支給されるものを基本手当または失業給付といいます。失業給付を受給するためにはハローワークに行って「働ける・働きたいという意思を示す」必要があり、例えば病気・ケガ・妊娠・出産・育児等ですぐには就職できない時は失業給付を受けることができません。また離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることも条件です。
4.出産退職後に失業給付をもらうために必ずすべきこと
今回の受給期間延長の申請期限の変更により以前は限られた期間内で延長申請をしなければならなかったのが、期間内であればいつでも延長申請ができるようになったため、私たち被保険者である労働者がより柔軟に対応できるようになりました。しかし、出産後は育児に追われるあまりに延長申請を忘れてしまい受給期間終了ぎりぎりで気づいて、失業給付金を満額受給できなかったというトラブルが起こらないよう、妊娠中の体調のよいタイミングで延長申請を済ませておくことがベストです。また、体調面などで直接自分の居住する住所を管轄するハローワークに足を運べない場合、延長申請は代理人または郵送でも受け付けているため安心してください。
5.出産後に失業給付を受給するには?
1,受給延長期間内に受給開始手続きをする
まず失業給付を受給するためには、必要な書類を揃えて自分の居住する住所を管轄するハローワークへ出向く必要があります。なお必要な書類はコチラをご参考下さい。また、受給延長をしている場合は、受給延長申請時に受給期間延長通知書というものが渡されるため、受給期間延長通知書と延長申請の理由が証明できるもの(母子手帳)を持参する必要もあります。必要な書類の詳細については、受給延長申請時にもしっかりと教えていただけます。不備があるとせっかくハローワークに出向いても手続きを行うことができないため、必ず確認してからハローワークへ向かいましょう。
2,雇用保険受給者初回説明会に参加
受給手続きが終わったら、次は決められた日程で雇用保険受給者初回説明会に参加する必要があります。説明会には、ハローワークで受給開始手続時に渡される「雇用保険受給資格者のしおり」と、印鑑、筆記用具等を持参しましょう。説明会の時間は約2時間ほどで、雇用保険の受給方法についての詳しい説明が行われます。説明会は子連れ厳禁のため、必ず説明会時にお子さんを預けられる方を探しておくなり、託児施設を利用するなど対策をしておきましょう。
3,失業認定日までに最低2回の求職活動実績を残すこと
失業給付の受給のためには、4週間(28日)に1回の指定された日時に受給者自身がハローワークに出向き、失業状態であることを申告する必要があります。そして、失業認定には、一定範囲の求職活動実績による判断基準が設けられており、前回の認定日から次回の認定日の前日までの期間に求職活動実績として認められる活動を原則として最低2回以上行う必要があります。求職活動実績は主に、求人への応募や、ハローワークなど公的機関の職業相談、職業紹介、セミナーへの参加などがあります。求職活動実績にあたるかどうか不明なものは、必ずハローワークに問い合わせて確認するようにしましょう。なお、雇用保険受給者初回説明会自体も求職活動実績に含まれます。そのため、初回認定日は雇用保険受給者初回説明会参加が1回分の活動実績になるため、初回認定日の前日までに残り1回以上の活動実績が必要となります。
4,決められた認定日にハローワークへ行き失業認定を受ける
求職活動実績を2回以上行ったら、決められた認定日に失業認定申告書と受給資格者証を持参し、管轄のハローワークへ出向きます。失業認定日および時間帯はこちらで決めることはできず、決められた日時に必ず行く必要があります。万が一認定日にハローワークに行かなかった場合は失業の認定を受けることができないため、失業給付の支給を受けられませんので注意しましょう。そして、認定日に失業認定を受けたら、また次回の認定日を教えてもらえるため、それまでにまた求職活動実績を2回以上残し、次の認定日に失業認定を受けに行くという活動を受給期間が終了するまで繰り返すことになります。
6.産後に求職活動をするときのポイント
ポイント①自分の希望する働き方を明確にしよう
まず1つめのポイントは、出産後に自分がどんな働き方がしたいのかしっかりと明確にしておくということです。ママ看護師が新たに求人を探す際に最初に考えるポイントは、正社員として働くのか、それともパートとして働くのか、はたたま派遣で働くのかということです。なお、正社員として働く場合でも、夜勤もしっかりと入るような勤務から、日勤常勤といって夜勤業務はないが、土日祝日も出勤する必要がある勤務など、病院の雇用形態によって様々な働き方が設けられていることがあります。また、正社員ではなくパートとして働く場合でも1日何時間程度、また週にどれくらい働きたいのか、土日祝日は出勤できるのかなど考えておく必要があります。これらの働き方の希望をしっかりと明確にしておくことで、希望に沿った条件の求人を探しやすくなるばかりではなく、募集を出している病院側にとってもどれくらいの勤務ができるのか明確に知ることができるため、転職後に希望する勤務条件で働くことができなかったというような雇用条件のトラブルを防ぐことができます。その他にも、今や看護師の働き方は多種多様であり、病院勤務だけでなくクリニックでの外来勤務や老人介護施設、デイサービスといった施設での看護業務、または保育園やテーマーパークに常駐する看護師、ツアーナースやイベントナースなど派遣会社を通して単発で行う仕事など様々です。そのため、子育てと両立しながら働くためには自分はどんな内容の仕事をしたいのか、どんな勤務条件で働きたいのかなど、しっかりと考えておきましょう。
ポイント②求職活動時に子どもを預けられる場所を探そう
2つめのポイントは、求職活動時にお子さんをどこに預かってもらうのか探しておくということです。失業給付の受給の際の初回説明会はもちろんのこと、実際に求職活動をする際はお子さん連れが困難な場合も多くあるため、そんな時に備えて託児を依頼できる親族の確認や、自宅近辺で託児施設があるかどうかしっかり確認しておきましょう。現在、各市町村自治体が一時預かり事業といって、求職活動や就職、妊娠出産など様々な理由により一時的に自宅で保育が困難になった乳幼児を地域子育て支援拠点などで一時的に預かり、保護する制度が整えられています。一時預かりを実施する施設によって対象年齢や料金も異なったり、事前に面接が必要であったりと様々なため、ぜひ自分の居住する地域の一時預かり事業を行っている施設について調べておきましょう。なお、一時預かり事業はママのリフレッシュ目的でも利用することが可能なので、求職目的でなくても一度は調べておいて損はないといえます。
ポイント③地域の保育園の空き状況を確認しておこう
3つめのポイントは、地域の保育園の空き状況を確認しておくということです。転職先の病院によっては院内保育を利用できる場合もありますが、医師や正社員優先であったり、定員によっては院内保育を利用できないこともあります。また、院内保育のない施設やクリニックへ転職した際も必ず保育園の利用が必要になることから、求職活動と合わせて地域の保育園の空き状況の確認や、申し込み方法などについて、役所に問い合わせておきましょう。
とくに0歳児から2歳児までは定員が少なく、母子家庭やすでに仕事をされている方が優先となり求職活動中は優先順位が低く、待機児童が多い地域では保育園に預けることが困難なこともあります。そのため、地域の保育園の状況を早めに確認しておくことで、院内保育のある病院も検討したり、認可外の保育園への見学や申し込みを早めに行うことができるため、スムーズに求職活動を進めることができます。
7.失業給付以外の子育て中の看護師を支援する制度
「産休」については解説不要かと思いますが、出産休暇の事です。この産休制度が整備されている職場なら、「産前6週間および産後8週間」は産休として認められています。この期間の給与に関しては職場によって規定が異なりますが、給与支給がない場合には健康保険などから手当が支給される事もあります。また、出産を理由に解雇する事は法律で禁止されていますので、産休ではなく退職をと求められても、応じる必要はありません。「育休」は、子供が1歳になるまでの間、連続して休暇を取る事が出来るという制度です。また、期間内であれば必要に応じてその期間を延長する事も可能です。公立病院など職場によっては、初めから最長3年まで取得可能としているところもあります。「所定外労働免除」もよく知られており、産後1年未満の場合、夜勤や残業の免除を申請する事ができます。あと知っておいてほしいのは「公的保育サービス」です。一時保育や学童保育、地域子育て支援センターやファミリーサポートセンターなどの事を指します。これらは、普段は預けていないけれど一時的に預かってほしい場合や、留守家庭の子供が授業の後に預かってもらえるという制度で、各自治体ごとに実施しています。
看護師の求人を探すには、先ほどから述べているようにハローワークや都道府県の看護協会が指定を受けて運営しているナースセンターなどを利用するという方法があります。しかし、ハローワークやナースセンターは、実際にその場所に出向いて初回の登録をする必要があったり、求人案内の閲覧や職業相談などをしたい場合もその都度出向いて、求人を探したり、職業相談を受けるのに待ち時間が発生したりと時間がかかることが多いです。そのため小さなお子さんがいるママナースにとっては負担が大きいといえます。
しかし、マイナビ看護師のような転職相談エージェントのサービスでは、登録はインターネットで行うことができ、また転職エージェントの担当者が病院や施設と求職者の仲介役となり、その人にあった求人の紹介や面接などの日程の調整を行ってくれるため、一から自分で条件に合う求人を探していくよりも時間がかからず、子育て中のママでも負担なく求職活動が進められます。また担当者とのやりとり自体もメールや電話で可能なため、まさに自宅にいながら求職活動ができると言えます。出産後に求職活動をする際は転職相談エージェントのサービスを利用するのがベストです。子育てに理解のある常勤の職場、子育ての障害とならないパート勤務など、子育てを中心に考える事のできる職場を幅広く紹介してくれますので、子育ても仕事もそして家族も満足できる環境を手に入れましょう。