目次
1.精神科病院の看護師の仕事内容、1日のスケジュール
「残業や夜勤がキツくて看護師を辞めたい」と体力面の悩みを抱える看護師は多いです。そんな方にお勧めの1つが「精神科病院」です。精神科病院で勤務すれば、プライベートと仕事の両方を充実させやすくなります。「楽な勤務は給料が安いのでは?」という給与面の心配もあると思いますので、ここでは給料や仕事内容の話はもちろん、看護師が精神科病院に転職したらライフスタイルがどう変わるのかなど精神科病院の看護師について詳しく解説します。
時間 | 業務内容 |
9:00 | 朝礼、申し送り、環境整備 |
バイタルサインチェック | |
入浴の介助、医療処置など | |
12:00 | 昼食、与薬 |
13:00 | 記録入力 |
カンファレンス、作業療法など | |
16:00 | 記録入力、残薬確認 |
17:10 | 終礼、夜勤へ申し送り |
あと精神科病院特有の業務に保護室の看護があります。急性期や慢性期の増悪期で自傷他害の恐れなどがある時には「保護室(隔離室)」を使用することもあります。保護室は個室の作りで、患者さんを守るために内側からはドアを開けられない構造です。行動範囲や部屋に入れて良いものなど患者さんごとに細かく決まっています。行動制限があると看護師が代わりにしなければならないことも増えて少し大変のようです。
2.看護師が精神科病院で働くメリット・デメリット
精神科病院で看護師が働くメリットの一例
メリット①残業が少なく、業務に余裕がある
一般病棟にいれば残業がないというのは正直考えられません。一般病棟では、イレギュラーな対応も多く、残業が2〜3時間は当たり前で、過去の日本看護協会による調査では、23人に1人は月60時間を超える長時間労働をしている、つまり単純計算すれば1日平均3時間は残業していることになります。一方で精神科病院では医療処置が少なく患者さんの自立度が高いため定時に終わることがほとんどです。精神科病院では育児中や親の介護が必要な看護師が多く働いているのもこの点が関係しているのかもしれません。
メリット②人間関係で悩む看護師が比較的少ない
看護師の職場は「女性の職場」であり、怖い先輩がいたりパワーハラスメントがあったり、人間関係に悩むことが多い印象です。実際に看護師の転職理由でも「人間関係」は上位です。しかし精神科病院の看護師の職場は少し雰囲気が違う傾向があり、精神疾患の患者さんを対象としているため、高いコミュニケーション能力をもった看護師が多く勤務しているためか、人間関係が良好な傾向があります。時間に余裕があると心にも余裕ができ「たのしく」「ラクに」働けるのかもしれません。チーム医療を実践していく上でも人間関係は良くないと仕事に支障が出ます。人間関係で悩むことが減れば、精神的な負担も減ります。
メリット③患者さんとじっくり関わることができる
精神科病院では医療処置に費やす時間が少ないため、患者さん一人ひとりにじっくり関わることができます。精神科の看護では、患者さんの生い立ちや家族環境など「その人の人生」を知る必要がありますので、様々な背景の患者さんがどう病気と向き合っていくかを一緒に考えることができます。長期に入院していた患者さんが退院できた時はとてもやりがいを感じますし、これも働く上でのメリットと言えるでしょう。
精神科病院で看護師が働くデメリットの一例
デメリット①医療処置が少なく、スキルアップしづらい
精神科病院では薬物療法や行動療法などがメインになり医療処置が少ないため、採血や点滴などの技術的なスキルが進歩しない点がデメリットとしてあります。しかし医療処置が全くないわけではなく、頻度が少ないだけで、採血や点滴などが必要になることもあります。医療処置に定期的に触れていたい人の中には不定期のアルバイトなどで看護技術を磨く人もいます。
デメリット②患者さんに暴力・誹謗・中傷を受けることがある
精神疾患ならではの症状により、患者さんに暴力、暴言を受けることもあります。一生懸命看護しているにも関わらず、傷つくことを言われることもあります。病棟では患者の暴力に関する研修に参加したり、CVPPP(包括的暴力防止プログラム)をチームで実践したり、あらゆる工夫しています。対応に困った時は、チームで解決することが徹底されているため、あまり心配しなくても大丈夫なのかもしれません。
また、精神科病院では男性看護師が多く活躍しています。私の知るある精神科病院では男女比が、男性:女性=3:7で、看護師10人のうち3人が男性です。男性看護師は身体介護など肉体労働で頼りになるだけでなく、精神状態が悪化した患者さんには複数の男性看護師で対応するため心強い存在です。危険を伴う患者さんの対応には、ひとりで無理をせず男性看護師の力を借りることができます。女性看護師の場合は転職先の病院に男性看護師が多いか聞いてみると良いでしょう。
デメリット③患者さんに巻き込まれ精神疾患になる
精神科病院では患者さんに影響されて看護師自身が精神疾患になってしまうケースも0ではありません。しかし患者の病気に巻き込まれる点に関しては、病院であらゆるサポートが充実しているので大きな心配はいらないかもしれません。また、プライベートの時間を持てるようになることでリフレッシュできる時間が増えますので患者さんとのコミュニケーションに少し疲れてしまっても、気持ちを切り替える「時間」と「余裕」があると言えます。
3.精神科病院の看護師の気になる年収・待遇
また、精神科病院の年収を知る上で知っておきたい手当が危険手当です。危険手当とは患者さんからの暴力を受ける危険性がある場合に支給されるもので、月額平均1万円程度が相場になります(※これも病院によって違うのでまちまち)。中には危険手当がない精神科病院もあり、転職や就職の際には確認しておくことをおすすめします。
下記のページに国内の看護師の平均年収が掲載されており、女性平均で4,770,800円、男性平均で4,894,200円ですが、危険手当なども含めるとここから大きく下回る傾向があるわけでもないですし、残業が少なく余裕を持って働ける点を考慮すれば、多少年収が下がったとしても業務内容に見合ったもしくはそれ以上の年収ではないかと思います。むしろ「精神科病院は残業代がつかない・・・」と診療科で考えるよりも、転職時に年収アップをしたいなら個々の病院の待遇をくまなくチェックすることですね。看護師転職エージェントに「年収いくら以上の精神科病院の常勤」と明確にオファーを出しておけば年収面で恵まれる病院が見つかります。
4.精神科病院の看護師のスキルアップの種類
5.精神科病院の看護師に転職した体験談
総合病院のICUから精神科病院へ(転職時29歳・女性看護師)
私は3年前くらいに子育てと仕事の両立に悩み、総合病院のICU勤務から精神科病院に転職をしたママ看護師です。子育て中の看護師にとっては、保育園のお迎えや家での子守りなどもある中で、時間外勤務が多いと子供に迷惑がかかりますよね。私は実際に精神科病院に転職したんですが、私が感じている精神科病院勤務のメリットは「定時で上がれてプライベートが充実するようになった」「看護にやりがいを持てるようになった」「人間関係に悩まなくなった」「看護師としてのスキルアップも欠かさずに取り組めている」「充実した研修に参加できるようになった」などでしょうか。
一方で年収面は30万ほど下がったりとデメリットも多少はあります。これは理由は明確で、残業がほとんどないことが影響しています(※一方で危険手当などのプラスもある)。でも世の中いいとこだけを総取りするのは難しいので取捨選択が必要です。私は、年収は少し下がるかわりに子育てに集中できている今の環境には満足しています。看護師もひとりの人間なので、プライベートが充実していれば、心に余裕ができます。余裕ができれば、質の良い看護につながるのではないでしょうか。無理をせず、母親や妻、看護師などそれぞれの役割を果たすことができれば、楽しく仕事を続けられると私は思います。
大学病院の外科病棟から精神科病院へ(転職時27歳・女性看護師)
私の学生時代の話からしますと、私は学生時代に精神科領域の病棟実習に行って衝撃を受けました。他の科とは全然違う病棟内の雰囲気に戸惑いましたが、精神科の看護の重要性を感じて「いつかは精神科病院で働いてみたい」と思っていました。でも同級生のほとんどが総合病院に就職したり進学したりするなか、卒後すぐに精神科病院に就職するに至りませんでした。親は精神科病院に少し偏見を持っていたようだし、友達や先生も「まずは一般的な診療科で経験を積んだ方がいい」と言うし。結局精神科病棟がある大学病院に就職して、外科病棟で頑張りました。でも看護師4年目の時に「そろそろ看護師としての基礎も備わってきたかな」と思った頃に看護師転職エージェントに登録し実際に動き出しました。独身のうちに色々動いておこうと思ったのもあります。
看護師転職エージェントには、ゆくゆくはリエゾンナースを目指していることや、そのためにも精神科病院での経験が必要になること、資格取得も行いたい旨は伝えました。結果的には前職と同じ程度の年収で精神科病院への転職ができました。一般病棟とは何もかもが違いますが、なかでも一番私の気持ちが変わりました。やはり自分が興味を持っている診療科で仕事をするとなると、モチベーションが上がります。勉強会や接遇マナー研修などへの参加もイヤイヤではなく積極的に出来るようになりました。大学病院では検査や手術目的等の患者さんも大勢入院していましたが、ここでは療養がメインです。とにかく時間の流れ方が穏やかで、1人1人の患者さんだけではなくスタッフにもしっかりと向き合いながら関わることが出来ます。また、今の病院は福利厚生も充実しているし有給消化率は毎年90%以上なのでこの点も満足しています。あとうちの病院では24時間保育所があるので、ママさんナースの比率も高いです。きっと院内の雰囲気が落ち着いているのは、そのせいもあるのかもしれません。ここなら私も結婚・子育てしながらでも働けると、心から安心しています。
随分遠回りしてしまいましたが、今後はリエゾンナースになる夢はあきらめていません。大学院に進学するには先立つものが必要となりますので、経験を積みながら貯金も頑張ろうと思います。患者さん達だけではなく、看護師達のメンタルヘルスにも目を向けられるリエゾンナースを目指したいです。「遠回り」と表現しましたが、私は大学病院での経験や転職をマイナスに考えているワケではないです。人生って自分の思い通りに事が運ぶとは限らないので、巡って来る運命とか出会いを大切にしながら、ある程度流れに身を任せてみる期間も大切だと思います。実際に外科領域や全科対応の病棟で学んだ看護の基礎は、今の仕事の礎となっていると思います。
ストレス社会の中でメンタルヘルスケアの領域は拡大しており、精神科で活躍する看護師も増えています。上記で解説した通り、精神科病院に勤務する看護師になれば「残業が少ない」などのメリットを享受できますが、「給料がいい精神科病院」「資格取得支援のある精神科病院」「立地のいい精神科病院」などは正直応募がすぐに殺到してしまします。好条件の精神科病院の求人をいち早くキャッチするにはマイナビ看護師などの大手の看護師転職エージェントを味方につけましょう。これらは完全無料で利用できて、条件に合う「現在募集中の最新求人」を常にチェックして教えてくれます。すぐに精神科病院へ転職したい方も、まずは情報収集から始めたい方も気軽にご利用下さい。