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1.高齢化で患者数が急増!ニーズが高まる呼吸器科

超高齢化社会ともいわれる現在の日本ですが、呼吸器系の疾患を抱える患者数も急増しています。例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの病気は「肺の生活習慣病」とも言われ、看護師の生活指導や看護が重要です。COPD以外にも呼吸器系の患者は増えていて、実際に呼吸器科専門病院は新設ラッシュが続いているような状況です。呼吸器科では新しい看護師の力を必要としている現場がたくさんあり、今こそ呼吸器科へ転職する絶好のチャンスかもしれません。ここでは呼吸器科の看護師について解説します。

転職相談W子
私は2交代制の総合病院に勤務する看護師(26歳)です。今は内科の混合病棟で働いています。楽な病棟ではあるのですが、慢性期の患者が多くてイマイチやりがいが感じられないのです。先輩には、若いうちに急性期をやった方がいいって言われることも多くて…。やっぱり転職を考えるべきなのでしょうか?

キャリ姉
確かに「若くて体力があるうちに急性期を…」というのは、よく聞く話です。実際に、急性の病棟は急変や残業も多く、バタバタ動きっぱなし…なんてことも珍しくないので、まさに「体力勝負」です。加えて若いうちは記憶力も抜群でスポンジのように知識と技術を吸収できますので、個人的にはこの意見は一利あるのではないかと思います。特に転職相談W子さんの場合は、やりがいが感じられない…とお悩みなのですよね?まだ年齢も26歳と若いですし、転職のタイミングの1つかもしれないですね。内科の混合病棟にお勤め、とのことなので、「高齢の患者さん」も多いのではないですか?例えばですが「呼吸器科」への転職などは考えたことがありますか?
転職相談W子
呼吸器科ですか?あまりイメージが湧きません。確かに、誤嚥性肺炎の看護経験はありますが・・・。
キャリ姉
そもそも呼吸器科とは「肺や気管などの呼吸器の病気の治療を行う診療科」です。肺炎や風邪、肺がんなど、様々な病気の治療や看護を行っていますが、実は近年、呼吸器科の患者数は急増していて、これには「高齢化」が大きく関わっています。平成29年の総務省の公表によると65歳以上の高齢者が占める割合は人口の27.7%で4人に1人以上が65歳以上の高齢者なのです。さらに高齢者の中には喫煙者が多いというデータもあり、平成27年の国民健康・栄養調査結果によると、特に男性は高齢者の喫煙率の高さが顕著で、男性60代の喫煙率は29.4%、70歳以上でも15.2%という数字があります。つまり高齢化が進む中で高齢者の喫煙率もそこそこ高いという状況なのです。この状況だとどういう病気になりやすいかわかりますよね?
転職相談W子
喫煙は様々な病気の原因だと思いますが、特に影響が大きいと言われているのが「肺」ですよね。だから冒頭でおっしゃってた呼吸器科の新設ラッシュに象徴されるように呼吸器科のニーズが高まっているのですね。
キャリ姉
実際に、新設される呼吸器専門病院も後を絶ちません。新規の求人もたくさん出ているので、キャリアアップを図りたい転職相談W子さんには転職先の候補の1つに挙げてもいいかしれませんね。

 

2.呼吸器内科と呼吸器外科の違いは?

転職相談W子
呼吸器には、内科と外科がありますが、何が違うかなど改めて聞いておいてもいいですか?
キャリ姉
文字通りですが、一般的には「内科的な治療を行う→呼吸器内科」「外科的(手術など)な治療を行う→呼吸器外科」となります。呼吸器内科の場合は、慢性期の患者がほとんどで、患者の年齢層も高めで、高齢者が多いです。一方、呼吸器外科は急性期です。年齢層はさまざまですが、気胸の場合は若い男性が多いですね。基本的には、ほとんどの患者が手術を受けます。中には外科的な処置だけの場合もありますが。周手術期の看護を習得したいなら、呼吸器外科のある病院がおすすめかもしれませんね。
転職相談W子
「呼吸器科」と表記されている場合は?そういう病院も多いですよね?
キャリ姉
確かに「呼吸器科」表記の病院も多いです。病院によって異なりますが、呼吸器内科と呼吸器外科を合わせて呼吸器科と呼んでいる場合があります。そのような病棟では、抗がん剤治療中の患者の横に、オペ後の患者が入院していることも。念のため、事前に確認しておくと安心ですね。

治療法の違いで、診療科を分けていると考えた方がわかりやすいですかね?例えば、肺がんは、死亡者数が最も多いがんとしても有名です。年間約7万人前後の方が亡くなっています。肺がんの治療は、他の部位のがんが肺に転移した患者も状態によっては呼吸器科で治療を行う場合がありますのでこういった患者の治療も含めて、酸素投与や吸引、投薬など、内科的な治療を行うことがありこれは呼吸器内科の対象です。一方で手術可能な肺がんもあり、この場合は呼吸器外科の対象になります。呼吸器内科と外科、扱う疾患は実は似ているんですね。

 

3.呼吸器科の看護師の仕事内容を具体的に紹介

キャリ姉
では続けて呼吸器科の看護師の仕事内容も説明させていただきますね。転職相談W子さんは、酸素投与や吸引は現在の職場では行っていますか?
転職相談W子
えぇ、もちろんです。慢性期ですから、吸引はしょっちゅうやっています。酸素も鼻カニューレの方ならたくさんいます。
キャリ姉
それならば安心ですね。呼吸器科は、酸素投与と吸引が必要な患者が多いですから。加えて、定期的な呼吸状態の観察と、バイタルチェックは欠かせません。酸素流量に応じて、カニューレやマスク、リザーバーマスクと器具を変える必要もあります。在宅酸素を導入している患者の場合は、歩行時の酸素吸入も必須です。酸素ボンベの残量を確認して、適宜交換を行います。痰の量が多い患者も多いので、吸引も大切です。この辺りは、他の病棟と同じですね。また、中には人工呼吸器を装着している患者もいます。呼吸器の設定の確認や、数値の観察、吸引や加湿の確認なども大切ですね。勤務の終わりには、次の勤務者と設定の確認を行います。命に関わる医療機器ですので。

あとは、肺がんの抗がん剤治療放射線治療の看護なども業務になります。抗がん剤は使用する薬剤によって、点滴の内容が大きく異なります。当然ミスは許されません…かなり神経を使う仕事です。どちらの治療も、苦痛を伴う副作用が出現する場合があります。吐き気や嘔吐、下痢などの消化器症状をはじめ、皮膚の炎症や脱毛、食道炎などさまざまです。副作用の看護も大切な役割です。患者の様子をしっかりと確認し、早めに対処できるよう心がけます。

さらに呼吸器科の大切な仕事のひとつが、「緩和ケア」です。肺がんは死亡率も高いですし、呼吸器科にはターミナル期の患者も多いのです。痛みに対するケアはもちろん、患者が安楽に過ごせるよう配慮を行います。特に肺がんの場合は、息苦しさを訴える患者も多いです。息苦しさは非常に苦痛が大きいので、少しでも楽に過ごせるように、体位を調整したり、温罨法を施してみたり、医師との連携も密にとり投薬の調整を行います。同時に家族のケアも大切な役割です。不安や悲しみを傾聴し、メンタル的なフォローを行います。本人だけでなく、家族も大きなダメージを受けていることが多いですからね。「緩和ケア認定看護師」が家族のケアを行っているケースもあります。

また、呼吸器外科の場合は、周手術期の看護も大切な仕事です。オペの前準備やオペ出し、オペ後の全身状態の観察などを行います。

転職相談W子
緩和ケアの知識は、どんな病棟でも応用が効きますから経験しておいて損はなさそうですね。周手術期の看護に関してもオペ前後の準備はすべてマニュアル化されているでしょうし、オペの術式によって「クリニカルパス」を導入している病院も多いですよね。時間ごとにバイタルチェックを行ったり、抗生剤の点滴や尿量や排液の確認をしたり。この他にも、排痰を促す吸入や内服確認など処置は多少多いのかな・・・?
キャリ姉
さすが現役看護師さん。おっしゃる感じであってると思います(※私も看護師ではなく又聞きした話が中心ですので・・・)。呼吸器科の看護師の仕事内容を理解して頂いたようでよかったです。

 

4.呼吸器科の看護師の給料は高いか?平均データとの比較は?

転職相談W子
仕事内容や需要の増加などは理解できてきたのですが、呼吸器科の看護師って給料はどの程度もらえるのでしょうか?すみません、下世話な話を(笑)実は今の病棟、慢性期の患者が多いからか残業がほとんどないのです。すぐに帰れるのはすごく魅力的なのですが、やっぱり給料は少なくて。せっかく転職するなら、もう少しもらいたい!と思っていまして…
キャリ姉
とても大切なことですよ!せっかく転職するんですから今よりも高待遇の職場に行きたいというのは普通ですよ。ところで転職相談W子さんは20代ということですが、20代の看護師の平均年収ってご存じですか?一応全看護師の平均年収はここでまとめているんですが年齢別のデータってご存知ですか?
転職相談W子
知らないです。上記で全看護師の平均が30代後半で480万くらいなのであれば、20代だと400万くらいですか?私はそのくらいですね。
キャリ姉
おおよそ当たってますね。厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査」で年齢別の看護師の給料データが公表されているんですが、例えば10人以上の事業所で勤務する看護師の年齢別の年収は以下のようになっています。20代前半だと284,600円×12+474,600円=3,889,800円、20代後半だと317,700円×12+750,000円=4,562,400円になっています。一応参考に他の年齢の数字も掲載します。10人以上の事業所というのはおおよその小さなクリニックなど以外の医療機関は該当しますので平均値として信憑性のある数字と言っていいでしょう。そういう意味で20代前半だと400万弱、20代後半だと400万円台半ばを一つの目安と考えて下さい。

 

年齢別の女性看護師の年収平均

年齢額面月給額面賞与
20~24歳284,600(円)474,600(円)
25~29歳317,700(円)750,000(円)
30~34歳323,600(円)774,000(円)
35~39歳331,200(円)829,800(円)
40~44歳346,100(円)894,500(円)
45~49歳353,600(円)918,800(円)
50~54歳362,200(円)952,200(円)
55~59歳359,900(円)962,600(円)
60~64歳313,200(円)657,800(円)
65~69歳292,700(円)570,500(円)
70歳以上277,900(円)348,300(円)
転職相談W子
働く病院の規模や地域によって年収は大きく変動するとは思いますが、平均値ということで理解しました。
キャリ姉
話進めますね。それで呼吸器科の看護師の給料についてですが、結論から言えば「呼吸器科だから高いとか安いというのはない」というのが正しい表現になってしまいます。「看護師は夜勤をするから給料がいい」とかいう話を聞いたことがありますよね?基本給はそんなに高くなくて夜勤手当や残業手当が付くから、給料が良くなるというのが一般的なんですが、呼吸器勤務だとしてもどれくらい夜勤があるかによっても違いますし、例えば2交替と3交代でも夜勤手当の額は違います。2交代制の方が夜間の拘束時間が長い分、夜勤手当も多くつきます。このように呼吸器だから年収がどうこうという数字は実際にはなくて、ここの病院の待遇により年収が変わってきます。夜勤や時間外手当などがついて基本給にプラスして上乗せされた方が年収が上がるというのは言うまでもありません。
転職相談W子
なるほど、じゃあ転職の時は上記の平均データを一つの目安にして考えるとよさそうですね。

 

5.呼吸器科の看護師に転職するメリット

転職相談W子
ところで呼吸器科で働くメリットって何かありますか?濃密な看護ができそうな気はするのですが。
キャリ姉
メリットはたくさんありますよ!まずは幅広いスキルが身に付くことです。呼吸器疾患の知識はもちろんですが、呼吸状態の観察スキルや、がん看護のスキルまで、幅広く得ることができます。特に呼吸状態の観察スキルが身に付くことは、看護師として大きな強みです。どこの病棟に行っても必ず行いますから。あとは、人工呼吸器の管理スキルですね。呼吸器の数値の見方や確認方法はもちろんですが、吸引や口腔ケア、挿管チューブの固定などの技術も身に付けることができます。人工呼吸器の看護方法を得る機会は、意外とありませんので貴重です。
転職相談W子
確かにスキルはたくさん身に付きそうですね!あっ、人工呼吸器の管理方法も学べるのか…。ICUとか脳外のイメージがありました。でも確かに呼吸器科にもいますよね。肺がん患者も多いから、がん看護も学べるし…すごく勉強になりますね。
キャリ姉
加えて、コミュニケーションスキルも磨くことができますよ!呼吸器科に入院している患者の中には、呼吸苦や息切れに見られる方も多いです。発語がはっきりしなかったり、声がかすれていたり。患者の呼吸状態を確認しながら、慎重に訴えをくみ取る必要があります。また、最近はCOPD患者も増加傾向です。COPDの患者の中には在宅酸素療法(HOT)を導入している方も多くいます。HOTは患者指導や家族指導がとても重要で特に禁煙指導が非常に大切です。わかりやすく説明するのはもちろんですが、患者の思いに寄り添いつつ指導を行う必要があります。中には、禁煙ができない方もいて、そういう場合は根気強く指導を続けますよ。このように、呼吸器科にはコミュニケーションスキルを磨く機会がたくさんあるのです!その分大変ですけど、やりがいはありますね。

 

6.呼吸器科の看護師に転職するデメリット

転職相談W子
呼吸器科の良いことばかり聞いたのですが、実際にはそんなことばかりじゃありませんよね?嫌なこととか絶対にありますよね?!
キャリ姉
確かにそうですね(笑)残念ながら、辛い部分もあります。まずはとにかく忙しい!ということですね。これは働く病院にもよるとは思うのですが、中には休みなしで走り回っていたという転職者さんもいました。特に抗がん剤治療に放射線治療、オペ出しに急変などが全部重なると、本当に大変だそうです。勤務中にカルテなど全く記載できないので、もちろん残業も多いです。夜勤中も仮眠どころか、食事休憩すら取れないことすらあるようです。
転職相談W子
あぁ…きついですね。想像つきます。でもその分、残業代はつきますね!
キャリ姉
残業代はつきやすいかもしれないですね。あとはデメリットと言えるかわかりませんが看取りが多いことです。先ほども説明しましたが、肺がんは最も死亡者数が多いがんですから看取りは多いです患者の中には、治療のために入退院を繰り返している方も多くて。何度も入院するうちに、だんだんと信頼関係も芽生えるし、それなりに仲良くなったりして。でもだんだん症状が進行して、ADLも落ちて亡くなってしまうケースもあり、辛さを感じることもあるかもしれません。
転職相談W子
こういう人は呼吸器科の看護師になった方がいいという条件みたいなのって改めて聞いていいですか?
キャリ姉
一概には言えませんが・・・私的に呼吸器科をおすすめしたいタイプをまとめると以下のような点が挙げられます。

 

呼吸器科はこんな看護師におすすめ

  • いろいろなスキルを身に付けたい人(疾患の知識や、さまざまな看護技術が身に付く)
  • がん看護を極めたい人(肺がんの看護を通して、がん看護を学ぶことができる)
  • 緩和ケアに興味がある人
  • コミュニケーションスキルを高めたい人

 

転職相談W子
なるほどここまでの説明を踏まえて非常に納得いきました。
キャリ姉
あとは言わずもがなですが、自分一人で転職活動をする時代じゃないという点は大丈夫ですかね?自分一人で情報収集をしても内部情報まではわからないのですよね。例えば、夜勤手当やスタッフの年齢層や職場の雰囲気とか離職率とか、働くうえで大切な情報は、開示されていないのです。そんな時の強い味方こそ、「看護師転職エージェント」です。例えば「マイナビ看護師」とか「レバウェル看護」とかですね。スマホひとつで簡単にできますし、きっとピッタリの転職先が見つかるサポートをしてくれますのでまだ未登録であれば是非登録してみましょう。