年収600万以上・残業なし等の「人気求人」をランキングで見る

ランキング1位マイナビ看護師 マイナビ看護師 ランキング2位看護師ワーカー ランキング3位レバウェル看護 レバウェル看護  

1.一般企業と医療職におけるキャリア形成の違い

「キャリア形成」という言葉は、一般企業の会社員と同じく看護師の仕事においても重要なキーワードです。医療従事者は看護師も含めて競争社会の中で仕事をしておらず、比較的閉鎖的な社会で仕事をしています。そのため「キャリア形成」や「昇格」などに対して消極的であり、役職に就くことなく定年を迎える看護師も少なくありません。ですが一方で、看護師もキャリアによっては給与や待遇、定年後の働き方さえも変わってくるという事実もあり、「キャリア形成は積極的に考えていこう」という看護師が増えてきている現状もあります。転職理由に「キャリア形成」を挙げる看護師もいて、資格取得などに支援、補助をしてくれる医療機関への転職を希望する看護師もいます。ここでは看護師のキャリアプランを解説しますので、是非この記事を読んでどのような看護師人生を今後過ごすか、考えるきっかけにして下さい。

転職相談X子
初めまして、地方の病棟で働く看護師(30歳)です。看護師になって8年が経ち、病棟の副主任を任されています。転職はしたことがなく、今までに循環器、脳神経外科、消化器外科の病棟を経験しました。特に今の病院や生活に不満はないのですが、このまま管理職としてのキャリアでいいのか悩んでいます。

キャリ姉
看護師人生を考える上で、キャリア形成は避けては通れないですね。師長、主任は世の中でも「中間管理職」と言われ、気苦労の多い役職になります。でもその分やりがいがあり、楽しみも多いとも言えます。看護師は、一般的に1~3年目で一人立ちをし、5年目でチームでの役割を任されます。その後20年目までが中堅となり、病棟での役割を任されます。それ以降は特に呼び名はありませんが、多くの方が病棟や病院での役割を任されるようになります。ちょうど転職相談X子さんの経験年数の方から、役職に就き始めることが多くなります。
転職相談X子
同期でも同じように役職に就き始めて、大変という話をしています。ですが、大学病院や大きな病院に行った同期は、特に役職には就いていないのですが、この違いはなんでしょうか?大きい病院は役職に就くのやはり遅いんですか?
キャリ姉
一般企業と比較してみると、少し分かりやすいかと思います。一般企業でも、役職に就き始めるのは30歳前後からと言われています。以前は年功序列により、3年でリーダー、5年で主任など決められていましたが、時代とともに変化をしています。年齢だけにとらわれず、業績はもちろん、人柄や周囲への配慮、他者評価などを用いて昇格を決めています。そのため、一般企業では若くして管理職になる人や年齢を重ねても昇格が遅い人がいます。看護師の場合、経験年数や勤続年数が大きく関与し、年功序列の傾向が強いです。大学病院や大きな病院では、経験年数に応じたキャリアラダーが決められていて、課題を順序よく超えていかなければいけませんので若くしていきなり重要な役職というケースは少ないです。小中規模の病院では、看護師の入れ替わりが多かったり、キャリアラダーが作られていないことがありますので、経験年数が短くても、勤続年数や人柄、他者評価などによって若い管理者になることもあります。看護師のキャリアは、経験年数や勤続年数が必要なこともありますので、早くから考えておくことも大切になります。

 

一般企業役職病院役職(医師、看護師)職務・職責
代表取締役理事長(法人)組織の代表、責任者
取締役理事組織運営の責任・権限
執行役員院長、副院長組織責任者の指揮下で業務管理を行う
部長部長、看護部長課や病棟の管理
課長主任医長、師長中堅管理職として
一部門、病棟を管理・監督
係長医長、主任一部門、病棟を分割した最小単位の係りを管理
主任チームリーダー管理職には属さず、従業員
の熟練者

 

2.新人1年目から始まる看護師のキャリア道

転職相談X子
通常の企業では、モノやサービスを売り上げて利益を生むことが目的だけど、医療機関は病気の人を治すことが目的なので、働く人の評価も違ってきますよね。でも、経験年数が関係するなら、とりあえず地道に長く働いているのが得策なんですかね?
キャリ姉
それは少し違います。確かに経験年数や勤続年数が関係してきますが、誰もが同じキャリアを進むことはできません。そのため、早くからどんな看護師になりたい、どんな将来にしたいか、考えて働くことが必要です。
転職相談X子
でも、看護師を続けていけば、自ずと管理職にはなれるんですよね?あと「どんな看護師になりたい」と言われてもあんまりピンとこないというか・・・。
キャリ姉
もちろん勤務期間はキャリア形成で1つ大事です。同じ病院で長く勤めたり、看護師としての経験が長ければ、管理職を任される可能性は高くなります。ですが、一つの病棟に20人の看護師がいたとしたら、師長、副師長、主任、副主任の4人しか役職につけません。また、全部で3病棟、60人の看護師がいたとしたら、病棟管理者に加えて看護部長、副看護部長の14人程度しか管理職になれません。ほかの46人は、現場看護師として勤務することになります。全員が同じように働いていても、同じようなキャリアを積めるとは限らないのです。

看護師管理職のピラミッド

転職相談X子
本当ですね。ただ働いても、将来どんな自分になりたいかイメージできていないと、何をしていいかわからなくなってしまいそうですね。
キャリ姉
看護師のキャリア形成は、入職時から始まるといっても大げさではありません。どんな病院に就職して、どの科に配属になるかによって、自分が目指すキャリアまでの年数は大きく違ってきます。そのため1年目からキャリアについて考え、5年目までには方向性を決めておくとスムーズに進むことができます。
転職相談X子さんが考えている管理職の他に、看護師のキャリアにはスペシャリスト、ジェネラリストがあります。その他にも最近誕生した特定看護師や医療機関以外で働く看護師など、活躍のフィールドが広くなりました。そのため、今まで以上にキャリア形成は大事になってきています。以下のフローチャートも併せてご参考下さいね。

看護師キャリア形成のフローチャート

 

3.看護師のキャリア形成例①管理職

転職相談X子
看護師って、いろんな働き方ができるんですね。管理職もスペシャリストも特定看護師もすべて特色がありますね。せっかく今は副主任をやっているので、最初に管理職としてキャリア積む方法を教えてください。
キャリ姉
わかりました。看護師が管理職としてキャリアを積むには。前提として看護師としての経験を積むこと必要です。まず入職後、5年目までは看護業務に専念し、看護師としての技術と知識を培います。その後、看護師業務を行いつつ、10年目までの間にチームの管理を行います。多くはチームリーダーと呼ばれ、実際に看護業務を行いつつ、メンバーの教育やサポートを行います。

チームリーダーとして、リーダーシップが身につくと、病棟全体を管理する役職に就きます。副主任、主任、副師長、師長が、病棟を管理する役職になります。主任は、チームリーダーの上長となり、主に現場の管理を行います。病棟スタッフの能力に合わせた教育やサポート、要望、不満などに対応します。概ね現場経験が10年前後で副主任に就き、各役職を経験し昇格をしていきます。主任までは現場業務と並行しつつ行うことが多いので、看護師業務と管理業務を半分ずつ担当します。

さらに上位職の師長、副師長になると、病院によっては現場を離れ、病棟全体の調整や管理業務を担当します。病棟稼働率やコスト、スタッフの勤怠管理と、病院全体に関わる業務も入ってきます。また病棟以外に委員会の委員長を任されることもあり、看護師経験15年以上かつ主任経験5年以上など、ハードルが高くなります。さらに上位職になると、看護部全体を管理する看護部長があります。病院内の看護師の教育方針や職員数、キャリアラダーの管理など、看護部内をすべて統括します。病院の運営会議や看護部の顔として、HPやパンフレットなどにも掲載されます。看護師経験20年以上看護師長経験5年以上など、看護師としても管理者としても十分な能力を持った人が任されます。

 

看護師の役職経験年数例
看護部長、副看護部長看護師経験20年以上
師長、副師長3年以上
師長、副主任看護師経験15年以上
主任、副主任3年以上
主任、副主任看護師経験10年以上
チームリーダー2年以上
チームリーダー看護師経験5年以上
プリセプター経験者
転職相談X子
管理職と一言で言っても、細かく分かれてますよね。じゃあ私が管理職としてキャリアを積むならば、とにかく看護師を続けて、徐々にステップアップしていけばいいんですね。
キャリ姉
単純に看護師経験や管理職経験を積めば、看護部長まで慣れるわけではありません。日本看護協会が認定している認定看護管理者という資格があり、多くの看護部長はこれを取得しています。看護部長に就く必須条件ではありませんが、持っているか持っていないかでは選ばれる可能性が大きく違います。認定看護管理者は取得するまでに、ファーストレベル、セカンドレベル、サードレベルという教育カリキュラムを終了する必要があります。その後、書類、筆記試験を受けた後に認定看護管理者となります。認定看護管理者は、看護職員の能力向上や労働環境を整えることだけでなく、患者・家族や地域順民に対して質の高い医療サービスが提供できるよう調整し、安全な組織の管理までを担っています。看護部長職と業務範囲が似ていることから、認定看護管理を取得することが看護部長になるために必要となってきます。
転職相談X子
この前、師長がセカンドレベルを受けていました。まずは副主任、主任でファーストレベルを受けることからですね。そして、認定看護管理者を取り、看護部長になるというのが管理職のキャリアの道ですかね。
キャリ姉
多くの医療機関では、看護師の役職は看護部長までとしています。ですが、これが一番上位職ではなく、希ですが副院長までなることができます。病院は、管理者を医師にしなければいけないと法律で定められています。しかし、あくまで管理者を医師にしなければいけないだけで、ほかの役職を医師がやらなければいけないわけではありません。そのため看護師が副院長に就き、病院の運営や人事、経営においても強い影響力を及ぼすことができます。看護部長を経て就く場合が多いですが、副院長という役職自体希なため、経験年数よりも院長や病院との関係が左右すると思われます。実際に副院長が看護師である病院で勤続することが、副院長になる可能性を広げるポイントだと思います。

 

4.看護師のキャリア形成例②スペシャリスト

転職相談X子
看護師で副院長になれるなんて、夢のような話ですね。でも今は現場も楽しいと感じるので、管理職になろうか悩みます。聞いた話なのですが、専門看護師や認定看護師になると管理職に就くという話は本当ですか。
キャリ姉
一概に専門や認定看護師が管理職になるということはありませんが、管理職を兼務している方は多くみられます。専門・認定看護師は、特定の分野において卓越した技術、知識を持っている看護師をいい、スペシャリストと呼ばれています。看護師として5年以上経験があり、特定分野で3年以上の経験が必要になります。その上で、専門看護師は大学院を卒業し、認定看護師は養成機関を卒業し、試験に合格することで専門・認定看護師になることができます。ほかの看護師とできる看護業務に差はありませんが、専門看護師には6つ、認定看護師には3つの役割が任されます。詳しくは以下のページも見て下さい。

専門看護師と認定看護師の違い

キャリ姉
上記は日本看護協会HPにも掲載がありますが、認定看護師は、主に現場で個人や家族に対して、専門的な看護を行うものとされています。特定分野も細かく分かれており、認定された分野で看護を実践し、スタッフへの教育や相談、援助をおこないます。専門看護師は、認定看護師よりも看護技術やケアシステムの研究など、現場外で業務をすることが多くなります。どちらもスペシャリストではありますが、求められている役割が異なります。どちらも特定分野における教育や調整という役割を担うため、管理職に就くことが多いのだと思います。
転職相談X子
少し欲張りかもしれませんが、専門や認定として興味がある分野があれば、スペシャリストとして管理職を兼務して、どちらが向いてるか考えることもできるんですね。
キャリ姉
そういう方法もあるかもしれませんね。ですが、専門や認定看護師は5年毎に更新があります。その更新要件には、研修や研究発表の実績が含まれています。管理職としての業務を並行しつつ行うことは、とても負担が大きいように思えますので、自身のキャリアに沿った方法を選ばれるのが賢明ですね。

また、専門・認定看護師になるためには、学費や生活費を合わせて200~400万円が必要と言われています。教育機関によっては、休職をする必要があったり、夜間や休日通学ができるところなどあります。さらに、所属病院によっても支援してくれる体制が異なるため、所属する病院選びは大切になってきます。例えば、教育機関費用をすべて支払ってくれたり、休職扱いも給与を支給してくれたり、卒業後勤務することを条件に借金を免除してくれたりと、様々な支援方法があります。スペシャリストのキャリアを考える時には、勤める病院選びや今の病院の制度を確認しておくといいと思います。

 

5.看護師のキャリア形成例③ジェネラリスト

転職相談X子
専門や認定看護師の取得は結構な費用がかかるんですね。でも専門や認定看護師には、やっぱり憧れますね。実際ほかの病棟で働いている専門看護師をみると、自分がやりたい看護を専門的にやっていきたいと思います。その点、先ほどおっしゃていたジェネラリストは、響きはかっこいいですが、単純な和訳からイメージするとなんか広く浅くという印象がします。
キャリ姉
それは違いますよ。ジェラリストこそ、今の医療を支えていると私は思います。
転職相談X子
え、そうなんですか。でも、管理職やスペシャリスト以外の方は、みんなジェネラリストになってしまいませんか。
キャリ姉
ジェネラリストは簡単になれるものではなく、管理職やスペシャリストのようにラダーや資格で表せないものなので、一番大変かもしれません。ジェネラリストの定義は決まっていませんが、特定の分野に限らず、どのような疾病や状態においても適切なアセスメントをし、的確な対応がとれる看護師をいいます。具体的には、領域を超えて一定水準の知識と技術を持ち、どんな場面においても対応ができることです。

看護の領域は診療科とは別に、急性期、回復期、慢性期、終末期があります。同じ病気であっても、年齢や性別、どの期間にいるのかによって治療や対応は異なります。それらを培った知識と経験をもとにアセスメントし、医師の方針に沿って看護業務を行うことができる看護師がジェネラリストと呼ばれています。病院のキャリアプログラムには、ジェネラリストを経てから管理職、スペシャリストへとステップアップするルートも示されていることもありますので、管理職やスペシャリストの前段階のような感じがしますが、ジェネラリストも立派な看護師のキャリアの1つと言えると思います。

 

6.看護師と医師を繋ぐ「特定看護師」の存在

転職相談X子
ジェネラリストがこんなにも大切な役割を担っているとは、全然知りませんでした。私が副主任としていられるのは、ほかの先輩や同僚看護師がサポートしてくれているからなんですね。自分のキャリアを考えていくって、とても大切なことなんですね。
キャリ姉
その通りですね。看護師をしている間になりたいキャリアが変わることはよくあるので、今から考えてみても遅くはありませんよ。それに、最近は看護師の働き方も変わってきましたので、多くの方がキャリアについて悩んでいます。例えば「特定看護師、またの名を診療看護師」という制度ができたのをご存知でしょうか。特定看護師は、スペシャリストと違って資格ではなく、研修を受けることで特定行為ができるようになるというものです。特定行為とは、今まで医師しかできなかった医療行為のうち38行為が、医師の指示書のもと看護師が単独でおこなうことができるようになります。例えば、医師に報告するほどのことではないけれど、看護師判断で行えなかった調整が行うことができます。それにより、きめ細やかな治療ができ、緊急時においても迅速な対応ができるようになりました。将来的には医師に変わり軽傷の方の外来診療、初期診療を担うことが期待されています。まだ始まったばかりの制度のため、各方面との調整や業務の分担、責任の所在など問題はあります。ですが、医師と看護師の間を繋ぎ、医療を必要としている方に対しては、今後重要な役割を果たすと期待されています。今後作り上げていく段階にある特定看護師になり、新しい看護の役割や業務を確立していくこともキャリアの1つだと思います。
転職相談X子
話には聞いていましたが、今までできなかった呼吸器や薬の管理ができるのは、迅速な対応ができそうでありがたいです。どうしても当直医や担当医と連絡がつかなったり、報告していいかわからず困ってしまうことがありました。同じ看護師を持っている特定看護師になら、もっと気軽に相談ができそうです。
キャリ姉
医師への報告や連絡は、とても苦労する点だと思います。こんなこと聞いていいのだろうか、連絡したら怒られるのではないか、それによって医療事故につながってしまうことも少なくありません。特定看護師は、同じような境遇を経験しているので、看護師と医師のコミュニケーションエラーの解消にもつながりますね。

 

7.医療現場以外で作るキャリアの可能性

転職相談X子
看護師のキャリアって、とても広いものから選べるんですね。自分の将来が、少しですけど楽しみになってきました。管理職がすべてでなく、もっと広い視野で看護師という仕事を考えてみます。
キャリ姉
広い視野という意味で言うと、医療機関以外で働く看護師のキャリアもあります。看護師の一般的な仕事は、医療機関で医師の指示の下で看護業務を行うことですが、その知識と技術を活用することで、例えば、健康や予防医学のセミナー、地域で行う健康チェックなどを仕事にする人もいます。これは医師の指示の下ではなく看護師単独で行える仕事です。

他にも医療機関以外で働く看護師の例は多いんですが、例えば医療機器メーカーでは、スペシャリスト枠として、看護師を募集しています。人工呼吸器や創傷治癒機器などは、医師と看護師双方が理解していなければいけません。その際に、実際現場で働いたことがある看護師が、病院で実演することにより、メーカー社員やほかの医療職が説明するよりわかりやすいものになります。また、どの点が看護師にとって使いづらいか、どこが改良したことがポイントか、的確に説明ができます。また患者と医療者の間に立ち、仲裁、仲介をする医療コーディネーターという仕事をする看護師もいますし、求人数は少ないですが保険会社で働く看護師もいます。保険会社の看護師は、入院や手術において保険を申請するときに、この病名や術式は保険請求に対応しているか、本当に病気と手術が合っているかなど、医療査定事務を行います。デスクワークが基本で、憧れの9時出社、17時帰社や都心で仕事をすることができます。

医療現場以外で作るキャリアの例を挙げれば看護師は、医療機関や介護施設で医療、看護を提供するだけでなく、その知識と技術を活かして、多くの方を助けることができます。特に身体的にも精神的にも負担が大きい看護師ですので、自分が一番活躍できるキャリアを探していただき、もっと輝けるように頑張ってください。

転職相談X子
相談者X子:ありがとうございます。看護師は医療機関や介護施設で働くもの、と決めつけていました。特に病気や介護を必要としていない人に対しても、看護師ができることはたくさんあるんですね。もっと看護師のことを知って、何が自分はしたいのか考えていきたいと思います。