看護師として子供たちと関わることができる仕事のひとつに、修学旅行や合宿などの引率のバイトがあります。添乗ナースとも呼ばれますが、子供たちの旅行に同行して健康管理やメンタルのケアを行う業務です。
今回は、看護師の引率バイトを経験した方にインタビューを行い、仕事内容や、引率バイトで得た経験、苦労などをお伺いしました。病院の小児科や保育園などとはまた違った立場で看護師として子供たちと触れ合える、旅行や合宿の引率バイトのリアルな体験談を是非参考にしてみてください!
1.40人の小学生の健康管理!泊りがけのイベントの引率バイト!
性別 | 男性 |
年齢(引率バイト経験時) | 30歳 |
現在の職場 | 有床クリニック(整形外科病棟) |
業務 | 小学生の泊まりがけの地域イベントに引率スタッフとして参加 |
使った転職エージェント | 友人を通じて連絡があり頼まれたので、転職エージェントは使っていません。 |
引率バイトに挑戦したきっかけ | 子供たちの旅行に同行するということで、子供と接点があるのは楽しそうだと思ったから。 |
1日目はビデオ上映や講演などが多く、近くで見守る程度でした。その間に小学生のプロフィールカードを一通り確認しました。夜には全員とお話しを聞いて健康チェックをし、明らかに体調が悪いなどが見られた子は親へ連絡し迎えに来てもらうことにしました。風邪が流行っていたからか、4人も帰すことになり帰りたくなさに泣きじゃくる子もいましたし、帰ってから朝早くに体調がよかったら送ってもらってまた来る!と言って聞かない子もいました。
寝る時には、ホームシックになってしまった子が、1人部屋だった僕の部屋に3人も押しかけてきたため、その子達が寝入るまでお風呂にも入れませんでした。ちなみに女の子は全員大丈夫だったようです(笑)
2日目はTV番組で人気の鬼ごっこのようなゲーム「逃走中」を午前いっぱいやっていました。帰りたくなかった子達の目的はこれだったようです。40人近くが走り回るので、転んだり足を痛めたりということが多く、手当てに追われていました。幸い大きな怪我などは無く終わることができました。最後にまた1人ずつ健康チェックをして終わりとなりました。ちなみに、朝に来ると言って聞かなかった子は、朝早くに本当に来ていました(笑)。
違う学校から集まっているので協調性に乏しく、話を聞いてくれない子ケンカをする子やホームシックなど苦労は絶えませんでした。ですがせっかくの機会なので出来るだけお話しを聞いたり一緒に楽しんだりと、健康のことだけではなく、精神的な部分にも気をつけて関わりました。終わってみると帰りに寂しくて泣いてくれた子もいたほど子供達との距離がグッと近づいてとても嬉しく思いました。
なので、今回のように一泊二日の旅行ともなれば長時間の勤務で責任もあるので、次回からは看護師の目線で準備が行えるように会議の段階から参加させてもらうように伝えました。実際に何も知らない、何もない、だと何もできないと改めて感じました。
2.小学生の民泊の添乗ナース・引率バイトを経験!
性別 | 女性 |
年齢(引率バイト経験時) | 29歳 |
現在の職場 | 専業主婦 |
業務 | 公立小学校の民泊の添乗ナース・引率業務(単発バイト) |
使った転職エージェント | 名前は忘れてしまいましたが、看護師の派遣会社に登録していて、依頼を受けました。 |
引率バイトに挑戦したきっかけ | 宮古島で小学生が民泊をすると聞いて面白そうと思ったから。 |
看護師として行う業務については、旅行の前に一度小学校の担当教諭と顔合わせを行いました。その際にアレルギーや喘息、夜尿症のある生徒など注意が必要な生徒の情報交換を行いましたが、大きな病気を持つ子がいなかったので簡単に終わりました。このアルバイトの特徴は、旅行会社の添乗員と子供のレクリエーションを担当する委託の人が仕切っていたということです。先生たちは生徒のことを見守るだけでよかったので、余裕があったように思います。以前他の林間学校や修学旅行の引率のバイトをしたときは、先生がすべて行っていたのでとても大変そうでした。
民泊学習当日は、飛行機に乗らないといけないので事前に飛行機に乗ったことのない生徒を確認しました。また民泊なので生徒がバラバラに泊りにいってしまいます。なので添乗員の方と先生とグループを作って民泊先を車で回って健康チェックを行いました。小さい怪我は家庭のお母さんが対応してくれたようでしたが、息ができないと生徒が言っているとの緊急連絡が入り急いで添乗員と先生と車で向かいました。着いたときには落ち着いており、泣いているだけでした。夜になりホームシックになったようでした。
その他には喘息発作を起こしてしまった生徒がいたので、緊急病院へ受診しましたが、症状も軽く薬で軽快したので経過観察で課外は継続できました。喘息発作の生徒は民泊先には泊らず先生と一緒のホテルに泊まり、バイタルも注意していましたが、他大きな問題もなく無事に終了できたと思います。民泊学習終了後には派遣会社から指示がありお礼状を小学校に送りました。
民泊だったので、喘息発作が起こるだろうな、と予想はしていましたが実際発症してしまった生徒がいたのは残念でどうにかして防げなかったか、と悩みました。しかもその生徒は注意が必要なリストに載っていない子だったのです。その生徒とかかわる機会が多かったので子供に分かりやすいように喘息の指導を行いました。指導ができたことはよかったのですが、‘‘小学生に分かりやすく喘息の指導する‘‘ことの下準備が足りなかったのは残念でしたし、自分の反省点でもあります。私は今後も修学旅行や合宿の添乗ナースや引率バイトをやりたいので、次回に生かしたいと思います。
また、子供たちの引率や健康管理などの看護師の業務とは関係のないところでちょっと困ったことがありました。人間関係の話になるのですが…。
私は先生と添乗員、レクリエーション担当の委託の人と市内のホテルに泊まりました。添乗員さんたちと軽く部屋飲みをしてそれは楽しかったのですが、あとからレクリエーションの委託の人から部屋に来ないか、と誘われたんです。最初は丁重に断りましたが、しつこくFBのメッセンジャーでメッセージが送られてきて…。仕事仲間だしFBを軽い気持ちで承認してしまったんです。その人とホテルの部屋は向い合せて、正直怖かったです。最終日はその人と一切話せず気まずい雰囲気でした。単発のバイトなので人間関係に悩まなくていいのがメリットのひとつだと思っていたのですが、SNSなどを迂闊に教えてしまうと厄介だなと思いました…。
3.宿泊合宿の引率バイト・特別支援学級児童を担当!
性別 | 女性 |
年齢(引率バイト経験時) | 30歳 |
現在の職場 | 産業保健師 |
業務 | 公関東の公立小学校の宿泊学習4泊5日(長野県)の特別支援学級児童の添乗ナース・引率業務(単発バイト) |
使った転職エージェント | 転職エージェントは使っていません。病院に募集が来たとのことで、私が養護教諭の資格を持っていたので、上司から声をかけられました。 |
看護師として行う業務については、1週間ほど前に特別支援学級の担任教師と児童本人が、データベース書類(内服:あり、排泄:自立、お風呂:声かけ促しが必要、などが書かれたもの)を持って来てくれました。その時に、顔合わせ兼挨拶をして、細かいことについて担任から教えてもらいました。親御さんとの面談はありませんでした。
宿泊学習中は、対象児童は1人でしたが、一般学級担当の看護師が高齢の方で色々と不手際があり、熱中症や怪我の処置、熱のある児童の対応など、結局全ての生徒を私がみるといった形になっていました。高学年であったこともあり、ホームシックで泣く子はいませんでしたが、おねしょをしてしまった子がいて、シーツについたおしっこが濃黄色なのですがこれは大丈夫でしょうか、という質問を先生からされて、ちょっと驚きました。
あとは、お腹が痛いという子が何人かいましたが、子供らしく訴えがぼんやりしていて、不定愁訴なのか、一次的なものなのか、緊急を要するものなのか、表情から推測することもありました。
また、成人ではない小児という未経験の分野でしたが、子供が笑ったり泣いたりしながら成長している姿を間近で感じることができて、とても感動しました。
苦労したことは、日頃使っている物品ではないので使い慣れなかったです。私は不安だったので、聴診器やハサミなど、いくつか自前の物品を持って行きました。