この記事では、消化器外科への転職経験がある看護師の方にインタビューを行い、消化器外科看護師の求人探しのポイントや、転職時の志望動機のアピール方法、仕事内容ややりがいなどをご紹介しています。消化器外科の実務経験に基づいた貴重な情報が満載ですので、転職を検討中の方は、求人を探す時に参考にしてみて下さい。
1.消化器外科の看護師求人探しのポイントは?2つのパターンに分けて解説!
①消化器外科の経験を積みたくて病院を探す場合
②消化器外科で働きたいが、忙しくなくて待遇もそこまで悪くない病院を選びたい場合
①消化器外科の経験を積みたくて病院を探す場合
新人看護師であれば、総合病院に勤務した場合、選択科目の希望はほとんどの場合通りますので、他の科目の経験を積んでいけるメリットや福利厚生などの待遇面のメリットから考えてもやはり総合病院勤務が最もお勧めです。
下記は愛媛大学の認定看護師在籍情況です。このように大病院になるとネットで検索するだけで認定看護師の在籍状況などが分かりますので、求人探しの参考にするとよいと思います。
②消化器外科で働きたいが、忙しくなくて待遇もそこまで悪くない病院を選びたい場合
例えば賞与についての記載は前年度に支給した賞与額(賞与倍率)を記載していることがほとんどで、前年度とその前からならばらつきがあることがあります。そのため転職エージェントに前年度以前の賞与倍率を確認しておくことが大切です。また賞与は基本給からの倍率になりますので、いくら賞与の倍率が高くても基本給が低ければ賞与は高くはなりません。これらは丁寧なエージェントであれば教えてくれることかもしれませんが、ほとんどの場合は確認しなければわかりませんのでご注意下さい。
昇給については病院の実績によって変動するため正確に教えてくれる病院はあまりありません。こちらの求人も「登録後に問い合わせ」と記載されています。実際にエージェントに確認をとってみても教えてもらえないか、病院から直接病院での面接時に聞いてくださいと言われていると返答されることが多かったです。こちらから質問しなくても、面接に行ったときに給与の詳細や昇給額などを教えてくれる病院は安定してその昇給額を保つことの出来ている病院ということになりますので判断する指標にしてみて下さい。
2.消化器外科看護師の仕事内容・やりがいは?
私はタイムスケジュールを組むことが非常に苦手なタイプでしたが、毎日のように次々と業務が立て込む忙しい現場であるため嫌でもスキルが身についていきました。最近ではクリニカルパスの導入によって業務のマニュアル化が進み、患者様への説明内容や医師からの指示がルーチン化されている場面も多くなってきましたが、まだまだ医療者が臨機応変に対応せざる負えない場面も多く、勉強範囲と専門性も広く深いものになっています。
また、急性期であるため命に直結する場面が本当に多いです。それに加えて初めて当たる処置に担当することも最初の頃は日常茶飯事で、先輩との連携や相談する能力も大切になってきます。
また、他の科とは違い看護師の能力が患者の状態に直結しやすい現場であり、術前術後の観察から患者様の異常にすぐに気が付き、命が助かったという場面も多くあります。これは看護師の能力が特に優れていたから見つけられるような小さな変化ではなく、術前術後の医療知識があれば見つけられるような事例がほとんどです。しかし術後の患者様の状態を誰よりも密に観察し異常をキャッチできる立場にある職種は看護師であるため、何よりやりがいに感じているスタッフも多い印象です。
消化器外科ときくと多くの人は胃や腸の病気を思い浮かべると思いますが、消化器外科の専門範囲は食道→胃→十二指腸→小腸→大腸→肛門に加えて肝臓、膵臓、脾臓、胆道系疾患と多岐に渡ります。そのため看る臓器の数が最も多い看護領域であり、数が多いだけではなく食べることや排泄することなど生命を営む上で重要な役割を持つ臓器ばかりであるため学習範囲は広大になります。
総合病院等の規模の大きい病院では学習カリキュラムが組まれていることが多く、順番に学習していくことになりますが日々の学習は必須です。その反面勉強をしきればルーチンに思える場面ばかりであるため、勤務を開始してから数年が最も頑張り時になります。忙しい現場であり学ぶことも多いですが、最初の数年を超えれば、大変さもやりがいへと変化していくはずです。
また点滴や採血などの手技に触れる回数も圧倒的に多いためそれらの技術も磨かれます。外科的な手術術式と術後の観察ポイントは消化器外科独特のものになりますが、実際に私が4つの看護科目で働いてきて一番知識と技術がついたと思えたのは消化器外科での経験でした。これは消化器分野が解剖学を幅広く理解しておかなければ適切なアセスメントが困難であることや、周術期看護であるため様々な既往歴を持つ患者様とその疾患についても学ぶ必要があったからです。
看護実践において最初に学んでおくべきことはタイムマネジメントと基礎看護技術だと私は考えます。この点で考えると消化器外科看護は手術室への入室と退室などスケジュール上動かすことの出来ないイベントがあるため、タイムマネジメントを上手く組むことが出来ないと仕事を円滑に行うことが出来ません。術後の患者様に対するケアも多くあるため看護ケア技術が磨かれ、先にも述べましたが点滴や採血などを行う回数が圧倒的に多いことに加え、CVC挿入介助やドレーンの抜管を行う際の介助など多岐に渡って実践する技術があります。そのため看護師として力をつけたいのであれば消化器外科での看護経験を私は強くお勧めします。やりがいも保証できると思います。
3.看護師が消化器外科に転職する際の志望動機の書き方のポイントは?
私のいた消化器外科では皮膚・排泄ケア認定看護師をとられて活動されている看護師の方がおられました。皮膚・排泄看護はストーマ看護に特化した看護師であり、ストーマは消化器外科特有の看護領域になります。他の科でのストーマ増設後の方をみることはありますが、増設前から増設後まで見ることがあるのは消化器外科のみです。そのため消化器外科への志望理由としてストーマ看護に関わる経験を積み、消化器外科看護のスペシャリストを目指すことをアピールすれば消化器外科での看護を強く学びたいと考えていることになりますので、志望動機として強いものになります。
それ以外にも、消化器、呼吸器、循環器領域の看護は命に直結する分野であるため新人が最も学んでおくべき領域です。そのため消化器外科での経験を通して自分の看護アセスメント能力の向上と、看護技術の向上を目指し、どのような患者様も看ることの出来るジェネラリスト看護師を目指したいことを志望動機としてアピールしていく方法もあると思います。志望動機に悩んだ時は参考にしてください。
消化器外科の求人を探す場合は、経験を積みたい方は総合病院での勤務がおすすめです。消化器外科の経験を活かして、忙しさや待遇がほどほどの病院に行きたいという場合は、自分の働きたい条件を明確にして転職エージェントに伝えましょう。
消化器外科は看護師としての経験を積む現場として最適であり、消化器外科で経験を積むことで将来的にどこでも働ける看護師になれます。消化器外科への志望理由は、自分のなりたい看護師像を見据えてアピールしましょう。