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救急外来という名前を聞いただけで緊張感がはしるこの部署は、一刻を争う病気や怪我の患者さんがたくさん訪れます。救急外来で働く看護師には、予測不可能な状態の患者さんの来院に即座に対応できるよう、幅広い知識と看護技術が要求されます。非常に緊迫した場面も多く、肉体的、精神的に過酷な勤務の時もありますが、その分やりがいも大きく、向上心のある看護師なら誰もが一度は働いてみたいと思うことでしょう。しかし同時に「私なんかに救急外来の仕事が務まるのだろうか?」と思う人もいることでしょう。救急外来は誰でも働ける部署ではないかもしれませんが、魅力のある仕事で求人も比較的多くあります。ここでは、救急外来の求人を看護師転職サイトから分析し、実際の仕事内容や救急医療現場の種類、看護師に求められるものなどを紹介していきます。

1.救急外来の看護師求人事情は?地域別・雇用形態別の求人数は?

救急外来の看護師の求人は比較的多く、「マイナビ看護師」で実際に検索してみると140件の求人がヒットします。

救急外来_1

 

また、看護roo!で検索するすると176件の求人がヒットします。

他の看護師転職サイトでも配属先や担当業務で「救急外来」を選べるものが多く、いずれも数十件~100件以上の求人が出ています。救急外来の看護師はニーズが高いことがうかがえます。

次に「看護roo!」の救急外来の求人をもう少し詳しく見てみましょう。都道府県別・雇用形態別(常勤・パート)の救急外来の求人を調べると下記のような数字になりました。(2019年10月調べ)

求人数常勤パート(非常勤)
東京413317
神奈川24242
千葉19196
埼玉15153
茨城111
栃木111
群馬111
宮城330
愛知440
大阪33316
京都330
兵庫762
滋賀212
奈良110
岐阜111
徳島111
香川110
広島220
新潟330
北海道751
福岡110
長崎110
熊本221
沖縄220

救急外来の求人数は全部で176件、その中で一番求人の多い地域は東京都の41件、次いで大阪府の33件でした。雇用形態別では、常勤が162件、パート(非常勤)が45件で常勤の方が求人数が多いことがわかりました。(※常勤とパートの合計が全体の求人数と合わないのは、常勤で募集している求人がパートでも募集をかけているためです)

勤務の時間帯については、救急外来の求人の中には、夜勤だけの勤務を募集しているものが38件ありました。夜勤常勤可のもの、パートでの募集など雇用形態も色々あります。一方で日勤だけの求人も30件あります。色々な雇用形態・勤務形態があるので、ご自身に合う求人を探してみるとよいでしょう。

 

2.救急医療の種類と勤務先

救急医療には、大きく分けて3つの種類があり、対応できる患者、提供できる医療が違います。自分の行きたい病院を決める時の参考にしましょう。

初期救急医療 ・・・ 入院の必要がなく、帰宅可能な患者さんに対応し外来診療のみを行います。休日夜間救急センター、小児初期救急センターなどがそれにあたります。

二次救急医療 ・・・入院治療や手術を必要とする患者さんにも対応できる医療機関です。24時間体制で患者さんを受け入れます。中規模病院や、当番制救急指定病院、地域周産期母子医療センターなどがそうです。

三次救急医療機関・・・急な心臓病、脳血管障害、頭部外傷など、一次・二次救急医療では対応できない重篤な患者さんに対する医療を行い、救命救急センターと呼ばれることもあります。24時間対応で患者さんを受け入れます。大学病院や、日本赤十字病院など日本全国に289ヵ所あります(平成29年度末)(参照:厚生労働省「救急・災害医療に係る現状について」)。

看護roo!の求人の多くは二次救急の施設ですが、数は少ないものの三次救急の施設の求人もあります。上記の通り、二次救急と三次救急では役割が全く違うので、求人を探す時には必ず確認しましょう

3.救急外来の看護師の仕事内容・大切なこと

★救急外来におけるトリアージ

救急外来は、いつ、どのような状態の患者さんが来院するか予測がつきません。時間帯や日によっては一人も患者さんがいない時もあれば、同時に何人もの患者さんが来院することもあります。このような特色を持つ救急外来において重要とされるのが「トリアージ=緊急度による選別」です。来院した順に患者さんを診察するのではなく、重症度や緊急性に応じて診察の流れを調整します。

優先度は、救命可能で重症度の高い患者さんです。トリアージを実行するには、怪我や病気、治療の可能性について正しく判断できる知識が必要なことはもちろん、その他の患者さんの理解を得られるよう対応することも大切です。そのためトリアージナースを育成する研修も行われています。

★救急外来で大切なこと

救急外来で働く看護師は、いつどのような患者さんが来た場合でも素早く対応できるよう高い知識と技術が必要とされます。また来院する患者さんは、内科、外科、整形外科、耳鼻科など多岐に渡りますから、幅広い知識はもちろん、各科の医師との連携を良くし、スムーズに業務が行えるようにすることも大切です。また緊急のレントゲン撮影、CT検査、血液検査、投薬などほかの医療スタッフの協力が必要な場合もありますから、病院全体の業務の流れを把握し、コメディカルとのチームワークも欠かせません。

このように、救急外来の仕事は医療業務以外に高いコミュニケーション能力が必要とされます。中でも救急外来に来院した患者さんやその家族の不安を軽減するための声掛けや、治療に対する説明はとても大切です。

★救急外来で働く看護師のストレスとやりがい

救急外来は生死に直結する場面が多々あり、患者さんの命を救う一方で、残念な結末になることもあります。そのためたとえ最善を尽くしても「もっと自分にできることがあったのでは?」、「あの時こうしておけば…」という後悔の念にさいなまれることがあります。また救急外来は、そこで働く医師にとっても緊張の場なので、診療の補助を行う看護師にも高いレベルのスキルが要求され、激が飛ぶことも良くあり、自信を喪失してしまう看護師も多いようです。

しかし、そのような場合でも気持ちを切り替え仕事のモチベーションを保つ強い平常心が救急外来で働く看護師には必要です。責任感が重く、緊張感も高いため、救急外来はストレスの大きい部署と言えますが、自分の身に付けた知識と看護技術を駆使し、医療チームの一員として貢献し、患者さんの命を救うことができる点では非常に大きなやりがいがある職場でもあります。また「これで十分」ということはなく、常に知識や技術を磨く必要があり、いつまでも向上し続けることができるのが救急外来の看護師だと言えます。

4.救急外来の看護師の給与は?

救急外来で働く看護師の給与は、それぞれの病院で違いはありますが、基本給は他の科の看護師と同じで、救急外来だから他の科より給料が高い、低いということはなさそうです。救急外来だから特別手当がつくという訳でもありません。

しかし、24時間救急指定病院であれば、「外来」と言えども夜勤(当直)があるため夜勤手当も加算されます。例えば下記は看護roo!の求人の一例(東京都内・二次救急)ですが、救急外来・病棟・ICU系のモデル年収はすべて同じです。

つまり、救急外来に転職、勤務したからといって給与がアップする訳ではありませんが、夜勤がある施設ならば給与がダウンすることもありません。そして、救急看護認定看護師になれば、給与面で優遇されるだけでなく、転職でも有利でしょう。

 

5.救急外来の看護師にまつわるFAQ

ここからは「救急外来の看護師」にまつわるよくある疑問・質問について、救急外来での勤務経験がある看護師Yさんの体験談をもとにご紹介します。

キャリ姉
一般病棟と救急外来の求人の違いについて、実際の経験から感じたことや知ったことはありますか?
看護師Yさん
大きな違いは、一般病棟は配属先が一つで、その病棟の仕事だけを行います。しかし、救急外来では配属先が複数ある場合があります。例えば、内視鏡室と救急外来を兼務、救急外来と一般外来を兼務、救急外来と救急病棟を兼務、などです。兼務することでより多くの知識を身につける事ができるというメリットがあります。もちろん救急外来だけの仕事で募集している求人もありますので、求人を探す時はよく確認し、ご自身に合った求人を見つけるのがよいと思います。
キャリ姉
病院によっては救急外来と他の科を兼務する場合があるということですね。救急車が来ない時は救急外来ではどのような業務を行っていましたか?
看護師Yさん
これは病院にもよりますが、救急車で来る人の対応だけをするのではなく、一般の外来で来院した患者さんの中に緊急性の高い患者さんがいたら、救急外来で対応する事もあります。救急外来との兼務がある場合には、もちろんそちらの仕事を行います。

救急外来は、環境を整えておくこともとても重要です。重症の患者さんが運ばれてきた時に物品が不足している事がないように、常日頃から環境整備を行わなければなりません。物品の電池が切れていないか等、細かいところも確認するなど、救急車が来ない間も沢山の仕事があります。

私が働いていた病院は、救急外来との兼務はなく、救急外来だけの仕事でした。日中は一般の外来が開いていますが夜間は閉まるため、歩いてくる患者さんも救急外来で診察しました。その為、インフルエンザの時期は夜間に多くの患者さんが来院され、忙しかったです。また、週に3日だけ小児科を夜間救急で診察していましたが、とても沢山のお子さんが来院され、いつも小児科のある日は忙しかったです。

夜間、当直医が病棟での急変に当たったりすると、患者さんの受け入れをストップする事がありました。患者さんを受け入れても、すぐに医師が対応できない為です。そのような時は、少しだけゆっくりする事ができました。しかし、当直の医師は内科系と外科系で必ず2人いましたので(実際は研修医もいる為、わりと沢山の医師がいました)内科系の医師が対応できなくても、外科系の医師は対応できるので、完全に受け入れをストップするということはほとんどありませんでした。

キャリ姉
救急車が来ない時にも沢山の業務があるということですね。救急外来を希望する看護師の方がどのような疾患を勉強すればよいかなどのアドバイスがあればお願いします。
看護師Yさん
救急外来には本当にいろんな疾患の患者さんが来院されます。まずは、「救急看護」とついている参考書などで勉強すると良いと思います。そして、働く病院が何次救急の病院か、どんな分野に強みのある病院かによっても受け入れる患者さんは変わってくるので、そこを確認して、必要な知識を少しずつつけていきましょう。

私の働いていた病院では、医師が定期的に勉強会を開催してくれていました。専門的な知識を分かりやすく教えてくれ、とても勉強になりました。もちろん看護師の中でも勉強会を行っていましたので、安心して働く事ができました。初めて救急外来で働こうと思っている人は不安もあると思いますので、求人を探す時に勉強会などを行っているか、教育に力を入れているかなども併せて調べた方が良いと思います。

 

救急外来の看護師求人の探し方は?

救急外来の必要性はますます高まっており、求人も比較的多く見つかりますが、高度でハードな業務内容から就職・転職をためらう看護師も多く人手不足が深刻です。そのため入職後の指導に力を入れている病院や、高待遇で迎えている病院もありますから、興味のある人は救急外来で働いてみることをお勧めします。ただ上述の通り、救急外来と言っても提供する医療に違いがありますから、自分のレベルにあった病院を選ぶことも、失敗しない就職先を見つける上で大切になってきます。看護師の転職サイトを使う場合は、ただ単に求人を紹介するのではなく、「マイナビ看護師」のように、経験や希望に沿った病院を親身になって探してくれる看護師転職サイトを利用するのがお勧めです。救急外来への就職・転職は、不安も大きく、努力も欠かせませんが、その分大きなやりがいが得られるはずです。