クリニック看護師への転職

1.クリニックの役割を知ろう!病院との違いは?

診療所(クリニック)とは、「病床を持たない、または19床以下の病床の医療施設」のことです。クリニック勤務に対して「仕事が楽そう」というイメージを持つ看護師は意外に多いのですが、一概にそうとは言えません。良いイメージのまま転職して「こんなはずではなかった」「思ったよりも忙しい」とショックを受ける人もいます。また、昨今は地域包括ケアシステムの推進の中で、かかりつけ医としてクリニックに求められる役割も変化しています。看護師がクリニックへの転職を考えているなら事前に情報収集することが大切ですので以下をぜひご参考下さい。

看護師復職相談D美

復職相談D美
30歳の看護師です。新卒からずっと同じ大学病院で病棟看護師として働いていましたが、昨年の出産を機に退職しました。核家族で親も近くにはいません。辞めたくはなかったけれど、交代勤務はどう考えても無理でした。子供が1歳になったので最近は復職を考えています。クリニックは日勤だけで日曜・祝日が休みですし、魅力を感じますが、復職には不安もあります。クリニックの看護師のことについて教えて下さい。
キャリ姉
スケジュール管理のしやすいクリニック勤務はママさんナースに人気ですね。無床のクリニックならば夜勤もありませんし。ところで復職相談D美さんは、外来診療においてクリニックがどんな役割を果たしているかご存知ですか?
復職相談D美
みんなが最初からいきなり大きな病院に行くと医療のリソースが足りないから、まずは町医者(クリニック)で看てもらおうとかそういう感じですよね?
キャリ姉
正解です!病院を受診するとき、たいていの人は専門医がいて設備の整った大きな病院を選びたくなりますが、そのような患者さんが大きな病院の外来に殺到すると、重症患者さんの診察が遅れてしまいます。大きな病院には重症患者さんへの対応が期待されていますが、その役割を果たせないことになります。そこで厚生労働省は、このような状況が起きないように「まずはかかりつけ医を受診して、大きな病院を受診する必要があれば紹介してもらいましょう」と言っています。クリニックや中小病院と大きな病院の外来機能を分けようということです。そのため、復職相談D美さんがお勤めだったような大きな病院を受診する際には紹介状が必要ですし、紹介状なしで受診しようとすれば自己負担が発生します。
復職相談D美
概ね理解しているつもりです。
キャリ姉
あ、でも結構勘違いされやすいんですが、クリニックに重症の患者さんが来ないと思っている看護師さんって結構います。でも実際はクリニックの患者さんの中は重症の人も含まれています。これは私の知り合いの話ですが「頭痛で家の近くにかかったら実は脳出血だった」という話もあります。看護師は医師よりも早く患者さんに接触しますし、クリニックの役割の一つに「重症の患者さんを大きな病院に繋ぐ」というのがありますから、フィジカルアセスメントの能力はクリニックの看護師にとっても重要なんですね。

クリニックの役割

 

2.クリニックの看護師は楽って本当?多岐にわたる仕事内容を紹介

復職相談D美
クリニックの役割は概ね理解できました。引き続いてクリニック看護師の仕事内容や勤務体系について教えて下さい。クリニックの仕事って、診療の介助がメインですよね?検査も採血、心電図、レントゲンくらいで難しい処置や検査はなさそうな印象です。あと日・祝日は休みだし夜勤もないので、病棟勤務に比べたら体は楽そうだなと思いますが、実際のところはどうでしょうか?
キャリ姉
確かに看護師業務だけで比べると、クリニックのほうが楽かもしれませんね。しかし「診療所における看護職員確保アンケートの概要2017年調査」によると、クリニック(無床)の看護師雇用状況は、平均で正職が2.25人、パートは1.55人となっています(クリニックのうちほとんどは無床)。臨床検査技師や放射線技師などを雇用しているクリニックは多くありませんので、少ないスタッフでクリニックを運営しなければならないということがわかります。必然的に看護師の業務も多くなります。
復職相談D美
業務の内容としてはハードでないけど、人数とかで言うと少なくて個々がかなり責任を持って働かなければいけないという感じなんですね。平均約2.25人の勤務ということはほぼ自分で色んな判断をしていかないといけないですね。
キャリ姉
そうなりますね。病院にはいろんな業務が細分化されていて、それぞれに専任の担当者がいますが、クリニックにはいません。例えば掃除一つとっても、病院では自分たちの控室を掃除することはあっても病棟内を毎日掃除することはありませんよね。ほとんどの病院が専門の清掃業者に委託していますから。しかし、クリニックでは業者に毎日依頼する余裕はありません。控室だけでなく、待合室から診察室、トイレまで毎日自分たちで掃除しなければならないのです。高齢者や小児がメインのクリニックでは1日に数回トイレ掃除をするそうですよ。クリニックの看護師の業務内容は多岐に渡るんです。
復職相談D美
技師さんがいないので心電図やレントゲンのセッティングも看護師がしないといけないということですよね。院内に薬剤師さんもいないでしょうし院内処方の場合は薬の管理も看護師がやらないといけないんですかね?
キャリ姉
そういうことになりますね。以下に、クリニックの看護師の仕事を挙げてみます。もちろん、すべてのクリニックに当てはまるわけではありませんので、参考例として見てみて下さい。

 

○診療の介助(問診、血圧測定、検査の説明、医師の補助など)
○検査や処置(採血、注射、点滴、心電図、X線・CT・MRI検査等のセッティング及び撮影後に医師のコンピュータへ転送、血液検査及びデータの転送など)
○器具の洗浄、滅菌
○X線、CT、MRI装置のエージング(慣らし運転のようなもの)
○各種機械の保守点検
○薬剤や物品の管理(在庫確認、期限切れのチェック、発注など)
○タオルやシーツ類の洗濯
○電話対応、受け付け、呼び出し

 

キャリ姉
上記は一例で、クリニックの看護師の仕事内容は採用先の方針とかでも違ってきます。クリニックによってはレセプト請求を総出で行っているところもあります。クリニックへ転職するときは、どの程度の規模のクリニックなのか、専門は何なのか、院内で行う検査は何か、院内処方か院外処方かなど色々確認することがありますね。

クリニック看護師の仕事内容

 

3.クリニックの看護師に求められるスキルや適性は?

復職相談D美
クリニック看護師の仕事内容は理解できてきました。あと私は病院勤務の経験しかないのですが、クリニックに転職しても大丈夫でしょうか・・・。クリニックの看護師に必要なスキルや適性などがあれば教えて下さい。病院とは違いますかね?
キャリ姉
クリニック勤務にあたって新たに必要なスキルはありません。病院勤務経験があれば大丈夫ですよ。しかし、クリニック勤務に向く・向かない(いわゆる適性)はあるかもしれませんね。

まず、クリニックでは即戦力になる人が望まれます。先ほどお話したように、クリニックの常勤看護師は平均で2.25人です。もちろん、新卒の看護師が就職することもできますが、病院のようなきめ細やかな新人指導は時間的に難しいでしょう。採血、注射、心電図測定などはすぐに必要なスキルであり、復職相談D美さんのように実務経験のある看護師は有利です。実際に“即戦力になる看護師”に絞って募集しているクリニックも多いですよ。

次に適性として挙げるなら、患者さんとののコミュニケーションを円滑に行える人です。病院勤務でも患者さんとのコミュニケーション能力は必要ですが、クリニックではさらに重要です。スタッフの人数が少ないので、スタッフ一人ひとりの言動がクリニックの評判に直結します。個人経営のクリニックにとって患者さんの口コミは軽視できません。患者さんとのコミュニケーションは大切です。

復職相談D美
採血、注射、心電図などは日常的に行っている看護技術なので大丈夫だと思います。患者さんとのコミュニケーションについてはどのような点に注意しなければならないのですか。
キャリ姉
クリニックにおける患者さんとのコミュニケーションで最も重視しなければならないのは、“待ち時間への対応”でしょう。厚生労働が行った調査では、外来では“診察までの待ち時間”が不満と答えた人が最も多いというデータがあります。実に4人に1人以上が待ち時間を不満に思っているそうです。

予約制の導入や、診察の順番が近づいたら知らせるシステムなど、待ち時間を短くする努力はもちろんですが、一番は“スタッフがどんな対応をするか”です。看護師は診察室や処置室にこもったままで待合室の対応は事務職員に任せきりというのはよくありません。少なくとも1時間に一回は待合室へ出て患者さんの様子をみるなどの行動が必要です。長く待っている人、いらいらしている人、具合の悪そうな人がいないかを確認し、積極的に声をかけましょう。多くの患者さんは「なかなか呼ばれない」「あとどれくらいで自分の順番が来るのだろう」と考えながら待ち時間を過ごしているのです。“あと○○人ですのでもう少しお待ちいただけますか”と声掛けをするとともに、診察が終了したら“長くお待たせして申し訳ございませんでした。”というねぎらいの言葉もかけたほうが良いでしょう。長い待ち時間のストレスを軽くするも重くするもスタッフの対応次第ですよ。

復職相談D美
ちょっと見ただけでは、患者さんがどう考えているのかを把握するのは難しそうですね。1日来院患者数が100人を超えているクリニックもあるようですし、コミュニケーション能力だけでなく観察力も要求されますね。クリニックの看護師に求められる適性として、即戦力になれること・患者さんとのコミュニケーションをとれること以外に何かありますか?
キャリ姉
これは「コミュニケーション能力」にも分類されるんですが、患者さんとのコミュニケーションだけでなくスタッフ間のコミュニケーション能力も重要です。復職相談D美さんが昨年まで働いていた大学病院は看護師の数が多かったと思いますが、その点クリニックは少人数でアットホームな感じです。ですがクリニックには少人数だからこその“人間関係にまつわる悩み”を抱く人も多いです。転職したクリニックが看護師2人態勢だったとして、もう一人の看護師と全く合わなかったら、復職相談D美さんはどうしますか?結構困りますよね?看護師だけでなく、医師も事務職員も少人数だからこそ、うまくいかなかったときのダメージは大きいでしょう。転職後に人間関係で悩んでも、退職して再度転職するにはかなりのエネルギーが必要になります。ですので「スタッフとの人間関係も円滑に行える人」というのも適性に挙げられるかもしれません。

クリニック看護師の適性

 

4.看護師がクリニックで働くメリット・デメリット

復職相談D美
次にクリニック看護師に転職するメリット・デメリットについてお願いします。
キャリ姉
ではまず、デメリットについてお話ししましょうか。これまでの会話のなかで、すでにいくつかデメリットを取り上げましたが改めてまとめてみますね。

 

○人間関係の難しさ(少人数であるため)
○休みがとりにくい(看護師数は平均2.25人)
○スキルアップは個人の意識による(自ら行動しなければスキルアップできない)
○雑務が多い(掃除なども含む)
○病院勤務に比べて給与水準が低い

 

キャリ姉
ざっと挙げると上記のような感じでしょうか。スキルアップに関してはあまり言及していないので触れておくと、クリニックの看護師がスキルアップしたいなら、自ら行動しなければなりません。毎日たくさんの患者さんに処置をしますから、採血や注射、心電図測定などの看護技術は日常の勤務でスキルアップできるでしょう。しかし、医療や看護の最新情報は意識しなければ得ることは難しいです。復職相談D美さんも大学病院に勤務していた頃は、黙っていても勉強会が開かれ、定期的に最新情報がアップデートされていましたよね。折に触れて研修に参加する機会もあったと思います。しかしクリニックでは、何もしなければ最新の情報は入ってきません。
復職相談D美
外部研修などに参加することはできるのでしょうか?
キャリ姉
クリニックでは多くの場合、個人で行きたい研修を調べ、自分の時間を使って参加することになると思います。勉強熱心なクリニックでは院長先生が主導して勉強会を開催したり、スタッフ全員で研修に参加したりすることもあるようですが、個人的に勉強したい分野については個人参加という形が多いでしょう。
復職相談D美
自ら勉強する姿勢がなければスキルアップも難しいということですね。
キャリ姉
医療や看護の最新情報を得るという意味ではそうですね。でも先述の通り最新の治療や検査、処置に最前線で関わりたいのでしたら、クリニックでは難しいと思います。それこそ、以前お勤めだったような大きな病院でなければ難しいでしょう。最新の情報は自ら勉強しつつ、クリニックならではのやりがいを求めるのでしたら、復職相談D美さんの希望に合ったクリニックへ転職すれば良いと思います。
復職相談D美
確かに大学病院では新しい治療や検査・処置に携わって、三次救急を担う病院に勤務している誇りみたいなものも感じていました。やはり大学病院時代は経験を積むという意味では恵まれていたんですね。あ、引き続いて転職メリットの方もお願いします。

 

○夜勤がない
○日勤のみなのでママさんナースも働きやすい
○土日・祝日・年末年始などはしっかり休める
○病院のような急変は少なく、精神的に楽である
採用先の数が多く家から近い職場なども探しやすい

 

キャリ姉
上記ざっくりまとめてみました。大学病院との違いを感じるんじゃないでしょうか。なかには「昼休みはゆっくり休める」「仕事は楽だが時給は良い」などの意見もあります。復職相談D美さんは今子供がいらっしゃるので夜勤がない点や日勤のみの点などはメリットが多いですね。

クリニック看護師になるメリット・デメリット

 

5.クリニックで働く看護師の給料事情や福利厚生は?

復職相談D美
クリニック勤務のデメリットの項でもありましたが“給料が安い”というのは、具体的にどのくらい違うものなのでしょうか。
キャリ姉
まず、夜勤がなければ当然“夜勤手当”はありません。夜勤手当の平均(日本看護協会の調査)をみると3交代制準夜勤手当の平均が3,812円、3交代制深夜勤手当の平均が4,635円、2交代制夜勤手当の平均が10,119円となっています。これまで2交代勤務を月5回行っていた方なら夜勤手当は10,119×5ですから、単純計算で月50,595円のマイナスとなります。
復職相談D美
夜勤をしなければその分の給与が減ることは仕方がないと承知しています。基本給だけで比べてもクリニックの給与はそんなに低いのでしょうか?
キャリ姉
クリニックの給料は院長、つまり経営者の考え方次第ということもあり、クリニックによって差があります。看護師転職エージェントの求人情報などをみると、都内の無床診療所・正職員の給与は22~35万円くらいと結構な幅があります。同一の診療所でも5万円程度の幅をもたせていることがありますが、これは正看護師か准看護師か、経験年数、年齢などに応じて基本給に差をつけているためです。

復職相談D美さんは都内在住なので今お話しした給与水準が目安になりますが、勤務地による違いもあります。地方ですと無床・正職員と条件が同じでも給与水準は16~30万円くらいのように見受けられます。アルバイトの時給でも、私がプライベートで付き合いがありよく連絡する看護師の方は、地方在住・40歳で時給1400円だと言っていましたが、昔都内のクリニックで働いていた時は時給1800円だったと言っていました。都心と地方の看護師の年収格差に関しては下記もご参考下さい。

復職相談D美
経験年数、年齢、勤務地などで給与水準が違うのですね。でもそれは病院も同じですし、基本給がとても低いのかと心配でしたが、考えていたほど低くはありませんでした。お話を聞いていて、アルバイトからスタートして復職するのもありかなと思いました。子供の成長に合わせて勤務時間を長くしていくという働き方も良いですよね?
キャリ姉
最近は小さな子供さんがいる看護師さんも働きやすい環境が整ってきましたしクリニックは特にその傾向が強いです。クリニックは、半日勤務や時短勤務などが選べるのも利点ですね。アルバイト勤勤務から始めるのも転職方法の一つだと思いますよ。ただ、その場合、福利厚生についてはしっかり確認しておいた方が良いでしょう。福利厚生の充実度は施設の規模に左右されるところが大きいです。
復職相談D美
福利厚生…。お恥ずかしいのですが、私、福利厚生のことがよく分からなくて。
キャリ姉
案外そういう方は多いですよ(笑)。福利厚生は大きく分けると「法定福利厚生:社会保険(健康保険・厚生年金)・労働保険(雇用保険)」「法定外福利厚生:職員旅行やレクリエーションなど」があります。法的福利厚生のなかでもクリニックへ転職する場合は特に、健康保険について気になるという人が多いでしょう。というのも個人経営のクリニックの場合、社会保険は常勤スタッフが5人以下なら任意加入だからです。社会保険は雇用する側が一部負担しなければならないので、小規模なクリニックは加入していないことも多いです。アルバイトとして復職したとしても、数年以内には常勤に戻りたいと考えているのであれば、社会保険に加入しているクリニックを選びたいですね。充分に調べて復職相談D美さんの条件に合ったクリニックを見つけてくださいね!
復職相談D美
この度は色々と教えて頂いてありがとうございました!

クリニック看護師の給料

看護師がクリニックへの転職を成功させるポイント

夜勤がなく土日休みが多い「クリニック」は特にママナースなどに人気です。夜勤手当などがない分、年収などは大きな病院と比較すると劣る傾向がありますが、それをカバーするほどのメリットも多いです。ただクリニックの看護師の求人といっても本当に様々で、驚くほどに待遇がいいクリニックもあればどう見ても労働環境に見合わないような条件の求人もあります。ですので本気でクリニックの求人を探すのであればナースフルマイナビ看護師などの大手を看護師転職エージェントを複数使うことで情報収集を進めましょう。決して妥協せず理想の勤務先を見つけましょう!