1.地域包括支援センターに転職して充実した看護師生活を送ろう!

高齢化社会が進む中で、看護師を必要とする職場が介護分野にも増えてきています。「地域包括支援センター」も看護師が活躍できる機関の1つで、業務内容としては地域に住む高齢者の保健・福祉・医療の向上、介護予防マネージメントなどを総合的に行います。高齢者の方の利用が中心なので「在宅の高齢者の困りごとを解決する窓口」とも表現できるかもしれません。

地域包括支援センターでは、看護職(保健師・看護師等)・ケアマネージャー・社会福祉士と言った医療や介護に関係する複数の職種のスタッフがチームとなって、地域の高齢者の方々が安心で健康な暮らしができるように相談に乗ったり、健康推進事業やイベントの計画をしたりしています。看護師の働き方としては、夜勤がなく、福利厚生が充実しているため、子育てとの両立がしやすいといった特徴もあります。ここでは「地域包括支援センターの看護師」について、気になる仕事内容や給料、転職するメリット・デメリットを解説していきます。

転職相談H美
私は、現在5年目の看護師です。夜勤もあって大変だけど、病棟でキャリアを積んできました。患者さんと接していくうちに、退院支援にやりがいを感じるようになってきています。患者さんは「生活者」であるという視点をきちんと理解した看護師になっていきたいです。また、プライベートでも子育てをしていて、2人目が欲しいと考えています。2人の育児となると、夜勤は難しいのではないかと思っています。ネットで検索していると、地域で働く看護職である「地域包括支援センター」などは夜勤もなさそうだし、いいかなあと思ったんですが、具体的に業務などについて教えて欲しいです。そもそも「保健師の資格が必要なのでは」と思いましたがどうでしょうか?
キャリ姉
地域包括支援センターでは、保健師看護師という看護職が働いています。つまり看護師でも働けるんですよ。実際にネットで検索しても看護師の求人もあります。地域包括支援センターには保健師を含む看護職を必ず配置しなければなりませんが、厚生労働省による保健師の実態調査では、保健師の配置が0人の地域包括支援センターも10%強あるのが実態で、人口規模の小さい市区町村では保健師の配置がない場所も多いです。仮に保健師がいたとしても、看護職は頼りになる存在のため、複数人、採用をしている地域包括支援センターもあります。
転職相談H美
なるほど、では看護師資格のみでも働けるんですね。ですが求人とかはあんまり出回らないイメージですよね?
キャリ姉
数はそれほど多くないですし出回りにくいので求人票だけで探すのは難しいかもしれません。実際に地域包括支援センターで働いている看護師の中には、求人はなかったけれども直接電話で聞いてみたら採用枠があったという話も聞いたことがあります。医療現場もそうですが、介護の世界も人手不足に悩んでいるため、求人票はなくても意外と「誰か来てほしい!」と思っている所が多いのかもしれません。

介護予防のための計画を作成したりする地域包括支援センターの仕事は、直接患者のお世話をする病院の仕事とは随分違いますが、臨床で培った観察力、解剖・生理などの知識、コミュニケーション能力、精神的支援等は十分に活かすことができます。勤務は日勤のみですし、未経験者には研修を行ってくれる事業所も多いので、子育てで休職していた潜在看護師の復職にも適した職場かと思っています。

 

2.地域包括支援センターの4つの大きな役割

転職相談H美
病棟にいると、地域包括支援センターはどのような役割があるのか想像がつきません。一応「高齢者の総合相談窓口」という点は理解はしていて、地域で生活する高齢者の困りごとを地方自治体と一緒に解決していくというkメージでいます。看護師にも様々なスキルが求められると思うんですが、もう少し具体的に教えて欲しいです。
キャリ姉
おっしゃるように仕事内容としては、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」になります。地域包括支援センターは各市町村(地方自治体)が設置主体で、直営もあれば委託のものもあります。厚生労働省は、2025年を目処に、住み慣れた地域で最期を遅れるよう、住まい、医療、介護予防、生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を目指していて、「地域包括ケアシステム」の構築の中核となるのが「地域包括支援センター」です。少し難しい話になりましたが、困った高齢者の相談窓口になり、地域をつなげる重要な役割を担っているということです。
転職相談H美
地域のネットワークづくりのために、地域包括支援センターはひと役買うのですね。相談以外にもどのような役割があるのですか?
キャリ姉
役割は大きく4つに分かれます。それぞれを理解していると業務内容のイメージがしやすくなりますよ。では、それぞれ説明していきましょう。

 

1,介護予防ケアマネジメント
介護保険で要支援1・2に認定された高齢者(認定されなくても介護予防の必要性がある高齢者)に対して、自立した生活を継続できるようマネジメントをします。要支援認定を受けた高齢者であれば、介護予防ケアプランの作成をします。一般的にはケアマネージャーが作成することの多い業務ですが、看護職でも介護予防ケアプランの作成ができます。ケアプラン作成には、アセスメント、課題の抽出、計画内容、モニタリング、評価など看護過程と同じような流れで進めていきます。将来、介護状態になるかもしれない高齢者に対しても、「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能向上」「閉じこもり予防」「認知機能低下予防」「うつ予防」などの観点からアプローチをしていきます。どのようなサービスを組み合わせれば、介護予防につながり、自立した生活ができるかどうかが重要なポイントです。利用するデイサービスや訪問看護ステーションとの連絡・調整業務も行います。サービス導入時や変更時は、利用者さんだけでなく、ご家族に対してもきちんと説明をして同意を得なければなりません。介護保険が認定されなかった高齢者でも「介護予防教室」を行うなど、要介護状態にならないように予防的なサービスを提供していきます。

2,総合相談
地域包括支援センターでは、高齢者の各種相談に対応します。相談内容は、介護保険の申請や認知症高齢者の相談が多いです。相談内容によってはすぐに訪問する場合もあります。

3,権利擁護
高齢者が地域で安心して暮らせるように、様々な権利を守ります。高齢者の虐待被害の対応、虐待防止、成年後見制度活用のサポートなど権利を守る取り組みです。高齢者の虐待被害では、早急な対応を必要とするケースもあります。

4,包括的・継続的ケアマネジメント
地域ケアシステムの構築のため、医療・保健・福祉や自治体、地域とのネットワークづくりを進めていきます。具体的には、地方自治体やケアマネージャー、病院関係者などさまざまな専門職が集まる地域ケア会議の開催や困難事例への対応などです。困難事例に対しては、継続的に関われるよう、関係機関との密な連携が重要になります。

 

転職相談H美
地域包括支援センターでは、高齢者の困りごとを解決していくんですね。ケアマネージャーのような業務もあるとは思いませんでした。高齢者の相談窓口以外の役割も多いんですね。地域包括支援センターでの業務経験があれば病棟に戻った時に役立つ知識も多そうです。

3.地域包括支援センターで働く3つの専門職(ケアマネージャー・社会福祉士・看護職)

キャリ姉
引き続き働いて、地域包括支援センターにいる専門職について解説しますね。地域包括支援センターの専門職はケアマネージャー、社会福祉士、看護職の3つで構成されています。看護職は保健師もしくは経験豊富な看護師が多く、看護職は介護予防事業やケアプラン作成が主な役割です。ケアプラン作成で困った時は、専門性のあるケアマネージャーに相談できます。看護職は唯一の医療職なので、医学的知識で困った時は頼りにされます。困難事例で身体状況が悪い時にも、知識と経験を活用して関わることができます。

1つ事例を紹介しますね。ある利用者さんは、がんと診断されていました。抗がん剤治療の途中ですが、運動機能は低下しておらず、自宅での療養生活となります。申請時は、要支援の認定だったので、地域包括支援センターにケアプラン作成の依頼がありました。看護職員は、念のため検査データや内服薬などの情報を収集しておきましたが、訪問のたびに顔色が悪いことに気づき受診を促したところ、がんの進行が早く検査データも悪い結果であったことが判明します。運動機能が低下する前に、早めに介護保険の区分変更を申請して、訪問看護の導入を検討しました。看護職員の早急な対応により、大きく体調を崩さずに済むことができました。既往歴や現病歴が進行性の疾患であっても、運動機能や認知機能が低下していないと要支援認定になることがあります。適切な身体状況のアセスメントができる看護職だからこそ、介護度を上げないような予防的な関わりがでたという事例ですね。

転職相談H美
なるほど。病院での医学的なアセスメント能力が、利用者さんの状況を把握する上で役立つのですね。
キャリ姉
はい。看護師としては「医学的知識」「高齢者全般の看護」「介護保険制度の知識」「進行性疾患の予後や治療の知識」などのスキルがあると必要なサービスを上手にマネジメントができるようになります。また、「報告、連絡、相談がこまめにできる」「話を聞くことが得意」「メリハリをつけて仕事ができる」のような性格であれば、無理なく仕事を続けられるのではないかと私は思います。地域包括支援センターの看護師はケアマネージャーのような役割をするため、連絡調整がこまめにできる人材であれば、業務をきちんとこなすことができますし、また、コミュニケーションが上手に取れると、相談業務でも役立ちます。業務量が多いため、適度に手を抜きつつ、メリハリをつけて仕事ができると無理なく続けられるでしょう。

 

4.病棟より楽? 地域包括支援センターでの看護師の業務の流れ

転職相談H美
さらにイメージを持ちたいので、具体的にはどのようなスケジュールで看護師が仕事をこなしていくのかについて質問させて下さい。1日のスケジュールと特徴的な業務を教えて欲しいです。
キャリ姉
地域包括支援センターでの1日のスケジュールを見ていきましょう。一例ということで紹介しますね。それぞれの業務の間には、移動時間が含まれています。

 

時間業務内容
8:30朝礼、ミーティング
9:00訪問
10:30退院前カンファレンス
12:00お昼休憩
13:00記録整理、相談対応
14:00教室運営※準備、開催、片付け含む
16:00記録整理、相談対応
17:15勤務終了、明日の業務の準備
転職相談H美
結構ぎっしりとスケジュールが埋まっていますね。
キャリ姉
移動に時間が取られてしまうため、効率よく訪問や教室の調整をしないと仕事が終わらなくなってしまいます。記録整理をしながら相談対応もするため、初めは慣れるのに時間がかかるかもしれません。地域包括支援センターによっては「電話当番」と呼ばれる業務もあります。1日もしくは半日、訪問や教室に行かずに電話などの相談対応だけを行う業務です。電話当番の時にまとめて記録を整理するなどメリハリをつけて仕事をこなせれば、自由に時間を使えるそうです。病棟では患者さんの対応に追われて精神的に疲れてしまうこともありますが、地域包括支援センターでは、デスクワークも多くあるため、対人サービスの精神的な負担が軽減されるでしょう。
転職相談H美
確かに、患者さんの対応で疲れてしまうことはよくあります。自分のペースで仕事ができるのは、とても魅力がありますね。ところで1日のスケジュールで「教室運営」とありましたが、主に介護予防がメインの業務なのでしょうか?
キャリ姉
そうですね。要支援に該当しなかった高齢者に対しても、介護予防の働きかけを行いますのでその1つの業務ですね。地方自治体から委託されている介護予防事業なので、地域包括支援センターならではの業務と言えるでしょう。また、地域のニーズを見い出し、地方自治体から都道府県などの行政へ発信する役割も担います。つまり、利用者さんの声を行政へ届ける役割があるんですよ。

 

5. 高待遇?地域包括支援センターで看護師働くメリット4つ

転職相談H美
地域と行政との橋渡しのような存在でもあるんですね。とてもやりがいがありそうです。引き続いて看護師が勤務するメリットについても詳しく教えて下さい。
キャリ姉
多くのメリットがあると思いますが4つ挙げてみます。

 

1,ほぼ土日祝休みでプライベートが充実
土日休みですし、まとまった休みが取れるので、子育てをしているママ看護師などにはメリットが多いです。事業所によっては休日出勤する場合もありますが、おおよそ土日祝日休みです。公務員をイメージしてもらえれば分かりやすいでしょう。病棟のようにシフト制ではなく休みが定期的に決まっているので、2交替などよりも体調管理もしやすいです。

2,準公務員扱いの職場が多い
地域包括支援センターは地方自治体直営のものと委託されているものがあります。設置主体の割合は直営約3割・委託約7割で、傾向としては委託が増加傾向にあります。直営の地域包括支援センターでは公務員扱いで、委託の地域包括支援センターでは「公務に従事する」ということで準公務員はという扱いになることが多く、福利厚生などの待遇は公務員と大きく変わりはありません。ただし、委託されている企業が民間であれば、福利厚生は公務員とは異なるので福利厚生についてはきちんと確認することをおすすめします。

3,程よいデスクワークで、精神的負担が少ない
二交替の病棟などに比べると程よいデスクワークで、対人サービスにおける精神的負担が少ないです。完全に事務作業というわけではなく、訪問や教室の開催など利用者さんと触れ合う時間もあります。メリハリをつけやすい仕事内容のため、精神的ストレスが軽減されるでしょう。

4,病棟に戻った時に看護の質が上がる
医療技術に関してはブランクがあることになりますが、地域での生活を知っているからこそ、病棟での看護の視点が変わります。地域看護の実績があれば、地域連携室の看護師として退院調整の業務に関わることができますし、病棟に限らずケアマネージャーの資格を取得してスキルアップすることも可能です。

 

6. 克服できる? 地域包括支援センターで働くデメリット4つ

転職相談H美
地域包括支援センターで働くイメージがだんだん湧いてきました。合わせてデメリットも聞いておきたいです。地域包括支援センターでは、超高齢社会に伴い業務量が多いことが課題になっていると聞いたことがありますが実際はどうでしょうか?
キャリ姉
もちろんメリットだけではなくデメリットもあると思いますので私の視点で紹介しておきます。時間あたりの業務が多いのは合っていると思います。

 

1,業務量が多い
残業や時間外勤務などは少ないですが、業務量の多さはデメリットとしてあります。厚生労働省の報告によると、地域包括支援センターの約8割が「業務量が過大」と認識しています。職員1人あたり、20〜30名は受け持つことが通常で、書類の整理や訪問でも時間を費やしてしまいます。効率よく仕事をこなすためには定期的な業務カンファレンスは欠かせませんが、転職の時には「一丸となって業務改善に努めているか職場かどうか」などは確認すると良いでしょう。

2,看護師1人の責任が重く、休みづらい
看護職が多くいるわけではないので休みにくい点は挙げられます。病棟だと休みやすいというわけではないですが、教室運営は1人でする場合もありますし、担当の利用者さんの訪問日やカンファレンス日が決まっていれば急に休むのが難しくなります。子育て中で突発的に休むことがあれば、どのようなフォロー体制があるのかは確認しておくと良いでしょう。重要な訪問やカンファレンスの時は、他の職員が代わりに参加する場合もありますので、日頃から他職員とコミュニケーションを取り情報共有をきちんとしておくことでデメリットを克服できます。

3,車が運転できないと困る
業務の間に移動があるので車の免許があった方が良いです。地域包括支援センターでの業務は、移動がとても多いです。また、限られた時間の中で多くの業務をこなすため、車が運転できないと業務に支障が出る恐れがあります。しかし、都内など移動が簡単にできる場合には、運転免許がない場合でも、自転車などで訪問可能です。運転免許が必須の条件かどうか、転職先に確認するようにしましょう。

4,スキルアップが限られる
医療技術のスキルアップは病棟に比べると限られます。しかし、ケアマネージャーの資格を取得するなど介護に関するスキルアップはできます。資格取得以上に、地域看護の知識と経験があれば病棟に戻ったとしても看護の視点が変わりますし、地域連携室の看護師としても働けるでしょう。スキルアップは工夫次第で可能ですが、医療現場の看護技術の向上は難しい面があるというのはデメリットでしょう。

 

7. 気になる給料は?ボーナスや手当を解説

キャリ姉
最後に給料面について紹介しておきます。まず地方自治体によって階級や手当が異なるため、年収には幅があります。ボーナスや手当も地方自治体の規定に準ずる場合が多く、それぞれに異なります。私が担当した転職事例では、地域包括支援センターの年収は約350〜450万あたりのレンジでした。多くの求人では、保健師の資格があると給料が高い傾向です。

コチラで解説していますが看護師の年収は平均で約480万程度なので、地域包括支援センターの年収は、看護師の平均年収よりは若干低めではないかと思います。夜勤手当がないことも影響していると考えられます。土日祝日休みで、夜勤がないことを考慮すれば、それほど気にならない年収なのではないでしょうか。

転職相談H美
確かにそうですね。きちんと休みがあって夜勤がないのは、子育てとの両立ができそうですし十分な待遇ではないかと思います。病棟の看護師は、残業手当で年収が上がる場合があるように、業務量の多い地域包括支援センターへ転職する場合は、残業手当がきちんとつくのか調べておくと安心ですね。

ここまで話を聞いて、地域包括支援センターでの看護師の仕事は、激務の病院勤務と比べてゆとりがあり、精神的にも体力的にも負担が軽減されるような印象を受けました。一分一秒を争う蘇生術や、鳴りっぱなしのナースコールなどからは解放されて、昼夜の区別のない勤務でお肌が荒れることもないのかもしれないですね。一方で、介護や福祉職員が多数を占める中で働くことの難しさも感じましたので、転職する時は「あれっ?こんなことしたいんじゃなかったのに」「なんだか自分だけ浮いているみたい」と思わないように、しっかり情報収集したいと思います。

 

看護師が地域包括支援センターへ転職を成功させるために!

地域包括支援センターの業務は、高齢者の困りごとを解決する大切な役割があります。看護師としても地域を支えるやりがいのある仕事で、福利厚生も良く子育てと仕事の両立も可能です。地域で学んだ知識と経験は病棟でも活かすことができます、地域で活躍する看護師として長く勤務して楽しく仕事をする看護師さんも多いです。

地域包括支援センターに興味がある人は、まずはそこでの仕事や内部事情などを情報収集したいところですが、探してみると意外と情報が少ないのです。病院の場合は、そこで働いている看護師の数も多く、人づてに内部の話を聞くこともあるでしょうが、地域支援包括センターでの仕事の情報収集はそうはいきません。そんな時は、マイナビ看護師のような看護師の転職エージェントが協力してくれます。正直すぐに求人を紹介できるかと言えば地域包括支援センターに関しては数が少ないのでケースバイケースですが、少なくとも情報収集から求人の有無、待遇など、転職希望の看護師が知りたいと思うことを細かく調べてくれます。転職活動のパートナーとして無料利用することで効率よく情報収集が可能です。