病院から訪問看護師へ転職

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1.訪問看護師はキャリアのある看護師が多い

国家試験に合格し、晴れて看護師となってからの「新卒での就職先」は、先輩看護師の就職先を見ると大半が病院やクリニックです(参照:看護師の勤務先の分類)。ですが昨今の診療報酬の動向等を見ると、病院看護から在宅看護へと医療の流れが変わっている傾向もあり、訪問看護の仕事も注目されてきています。求人としても訪問看護師は今募集が多く、狙い目の求人でもあります。ここでは訪問看護師について解説します。病院看護師から訪問看護師へ転職するメリットなどにも言及しますのでご参考下さい。

看護師転職相談Q子

転職相談Q子
私は過去に転職を3回行い、今は関東の病院で働くICU勤務の看護師(28歳)です。実習の時に訪問看護の実習があって、とても面白そうで興味がありました。ですが、訪問看護師は一人で業務を行うなどベテラン看護師さんが多い印象もあり、同期では訪問看護に転職した人もおらず、まだキャリアの浅い私が行ってもいいのかと悩んでいます。
キャリ姉
看護師になると大半(約70%)の方が新卒で病院へ就職をします。ですので若いうちは病院勤務の看護師さんが多いのが実態です。訪問看護の従事者は転職相談Q子さんが言うように平均年齢が高く、2014年訪問看護実態調査報告書では、経験年数は22.3年、年齢は47.0歳が平均値になっています。

訪問看護師の年齢分布

訪問看護職の経験年数分布

転職相談Q子
本当ですね。訪問看護師=ベテラン看護師というのは、なんとなくわかっていましたが、データで見るとまた違いますね。これだけ経験年数の長い方が多いとまだ私が転職するには早いですよね?
キャリ姉
確かに平均してみると、経験年数の多い方が割合を占めていますが、40歳未満の方は17.8%ほどいます。また最近は新卒からの採用や第二新卒での採用をしているステーションもありますので、一概に年齢や経験だけが目安ではありません。若いうちに訪問看護師に転職をするケースも多く見てきましたし、求人を見つけることは十分可能だと思います。

訪問看護師の平均年齢・平均経験年数

 

2.病棟看護師と訪問看護師の年収(手取り)の違い

転職相談Q子
ありがとうございます。少し勇気が湧きました(笑)でも、訪問看護は病院より「給料(手取り)が安くて」「仕事が大変で」「体力的に辛い」って聞きましたがこれは都市伝説!?
キャリ姉
訪問看護ならではの辛さや大変さはありますが、病院と比較して圧倒的に辛いとは聞きませんよ。どうしてそのように思ったんですか?
転職相談Q子
転職してみたいなと思い、看護師転職エージェントなどで求人情報を調べてみました。そうすると手取りが今より100万以上ダウンしたり、営業をしなければいけなかったり、自転車でたくさん回らなければいけなかったり、生活面含めてやっていけるか心配になる情報ばかりでした。
キャリ姉
転職相談Q子さんが調べたような就業先もありますが、そうでない就業先もたくさんあります。ここ数年で多くの訪問看護ステーションができましたので、実情をネットだけで調べるのは少し難しい面もあります。ちなみに、転職相談Q子さんの今の就業状況や雇用条件はどんなものですか?
転職相談Q子
ICUは二交替で、月に4回ほど夜勤があります。残業は月に10時間あるかどうかです。手取りは30万ほどで、ボーナスに60万くらいはもらえています。各種手当はありますが、昇給はあまりありません。年間休日は100日くらいで、通勤は電車で30分です。私が看護師転職エージェントで調べた訪問看護ステーションは、手取り25万ほどで、ボーナスは2ヶ月と書いてありました。年間休日は100日なのですが、一日自転車で5件回り、空いてる時間は病院などに訪問することもあると書かれていましたので結構大変かなあという印象は受けました。
キャリ姉
病棟看護師の給料内訳は、基本給+諸手当+夜勤手当となり、夜勤の回数によって収入が変わることがありますが、月によって大幅に夜勤の回数が変わることはありませんので比較的給料は安定していますよね。転職相談Q子さんの現状だとおそらく年収500万くらいじゃないかと思います。

訪問看護の求人を見られたということですが、訪問看護の給料は基本給+諸手当+オンコール手当ですのでこちらも安定はするんですが「手取り25万」という基本給の数字に引っかかっているという感じですかね。訪問看護は緊急時の対応をすることがあり緊急時の対応への時間外はもちろん支払ってくれますし、就業先によってはインセンティブがあり一ヶ月で訪問した回数が一定数を超えると支給をされます。積極的に患者を受け入れ、緊急や訪問件数の多い就業先では、年収500万以上という場所も多くありますよ。手取りで500万以上になるともう少し限定されますが。

転職相談Q子
なるほど緊急の出勤とかが病棟よりも多い分、求人に書いてる給料よりも高くなる可能性があるということですね。手取りも結構高くなる可能性もあるんですね。

訪問看護師の給料

 

3.訪問看護で働く看護師がそこまで多くない理由は?

転職相談Q子
私が知っていた情報と違う点が多くて、なんだかびっくりです。でも話を聞いていると、なんだか私でもできるような気がしてきました。でも気になることがあるのですが、どうして訪問看護師は少ないんですか?先ほど教えて頂いた看護師の勤務先のデータだと訪問看護師は全体の3.5%程度のようですし、私のように訪問看護師が気になっている方や経験年数の多い方は転職もされると思うのですが。
キャリ姉
そもそも訪問看護師に興味関心がある割合は全体の看護師の2割程度というデータを昔見たことがあります。まだ訪問看護師が誕生して、日が浅いこともありますが、「①スキルや環境、②勤務形態や給与(手取り)、③キャリア形成」などに対する不安が訪問看護師への転職がそこまで増えない原因なのかなと思います。

訪問看護師の仕事は、一人で利用者の自宅に訪問するという点の他は、全身状態を観察するバイタルサインのチェックに始まり、更衣、清拭、足浴、入浴介助、爪切りなど、病院看護師でも日頃行っているようなことです。呼吸器管理、点滴管理、ストマ管理など、医療処置も最近は増えてきましたが、これも病院勤務と大きな差はありません。ですが病院のように気軽に相談できない環境、医師への連絡や判断の仰ぎ方の違いなどに不安が強いという声はやはり聞きます。病院であればすぐに医師や同僚看護師、コメディカルに聞くことができますし、採血などができなければ変わってもらうこともできます。そのような、病院と在宅での違いに戸惑う人がまだ多いのでしょう。

転職相談Q子
私も病院だとすぐにリーダーや主任に確認してしまいます。やっぱり何かがあった時に不安ですし、自分で判断できるかわかりません。訪問看護ならなおさらですよね。
キャリ姉
その不安は、訪問看護師になりたい多くの方が抱かれていると思います。ただ、以前の訪問看護師は情報も紙カルテが主流で、瞬時に情報を確認できず判断に困ることもありましたが、最近はインターネットの普及、情報技術の向上がめざましく、訪問看護の環境はとてもよくなりました。例えば、一人一人に携帯が支給され電話でもメールでも連絡がとれるようになっていますし、電子カルテがクラウド形式になりインターネット環境があればすぐに情報を確認できるようになっています。また往診専門のクリニックでは24時間連絡できる体勢をとっています。担当看護師、主治医に連絡を取り、指示を仰ぐこともできます。多くの場合は、看護師が全てを判断することは求められなくなっています。
転職相談Q子
訪問看護師への環境の不安も実は緩和されている実態があるんですね。
キャリ姉
そうだと思います。あとは勤務形態や給与・手取りに対する不安を抱く人もいますが、勤務形態や給与は先ほども説明した通り、病院とはシステムは異なりますが、オンコール、緊急対応、インセンティブなどで相応の金額がもらえる事業所もあります。

キャリア形成については、病院で長く勤めて師長や主任などになるという自身のキャリアを考えたときに、大学病院や大きな病院にいることでメリットが多いのは事実です。転職してしまうことによって勤続年数や退職金の年数はリセットされてしまいます(経験年数は考慮されますが)。そういう意味でキャリア形成という点で新しく訪問看護に挑戦する人が少ないという理由にはなっていると思います。

訪問看護師への転職の不安

 

4.訪問看護師の魅力①夜勤がない・固定の休みも可能

転職相談Q子
今までと違った環境に行くのって、転職した時、私も辛かったな。新しい職場や人間関係は新鮮で楽しいけど疲れもしますよね。今後の生活を考えると、今のところにいた方がいいって思っちゃうこともあります。訪問看護に転職した方は、どのような理由で転職する人が多いのですか?
キャリ姉
病院などから訪問看護に転職した方は、病院とは違う働き方ができることに魅力を感じて転職をされることが多いようです。

まず訪問看護ステーションでは、実質夜勤という制度がなく日勤専従となります。その代わりにオンコールというものがあり、夜間や休日に交替で緊急時の待機をするものです。自宅に転送される電話を持ち利用者からの電話に対応します。時には緊急で訪問し対応をすることもありますが、多くは電話で対応ができます。また緊急性が高い場合は、看護師が訪問する前に救急要請をお願いすることもあります。

転職相談Q子
オンコールですか。仕事をしながら自宅で待機ができて、なんか得しちゃった気がしますね。でもオンコールの時の費用や緊急時のときはどうなるのですか。
キャリ姉
就業先にもよりますが、オンコールは1回1000~3000円で、緊急的に訪問した場合は、時間外や休日出勤として手当が支給されます。時間外の際に支給される給料は、基礎賃金と呼ばれる基本給と一部の手当を足して月の通常の勤務時間で割った金額がベースです。これに割増率1.25を掛けた金額が、時間外分の給料となります。さらに、深夜の緊急対応であれば、割増率は1.5倍となります。利用者からの訪問依頼がなければ、自宅にいながらお金がもらえて緊急対応時には給料が増えるということです。

また土日が休みにできたり、休みを固定できたりすることも転職の理由にもなっています。お子様のいる看護師やパラレルキャリアを希望する看護師は、固定の曜日に休みがあることを好む人が多く、土日休み・曜日固定休み・シフト制などから選べる訪問看護ステーションもあります。

訪問看護師のメリット(1)

 

5.訪問看護師の魅力②一日一件からできる!多様な働き方

転職相談Q子
私はよく音楽フェスやイベントに行くんですが、いつも土日が仕事で行けませんでした。その点、訪問看護師は土日休み固定もできる可能性があるのであれば私にピッタリです。こんなこと聞いてしまって申し訳ないのですが、今の病院でICU勤務で働きながらアルバイトとかってこともできるんですか?
キャリ姉
もちろんです。訪問看護は、通常のアルバイトのように○時間以上という制約がないこともあります。利用者の自宅に訪問する時間は、30分から1時間と時間が決まっています。そのためパートやアルバイトであれば、1件単位で働くことができるメリットがあります。ですので多様な働き方ができると言われています。私が担当した方では、訪問看護を午前と午後1件ずつやって、その間は家事をされるという方もいました。

また転職相談Q子さんのように、病院で働きながら訪問看護でアルバイトをされている方は多くいます。アルバイトをされている間に管理者と親しくなり、そのまま転職をされるケースも多くあります。いきなり転職することが怖いと思われている方は、アルバイトから経験されることもありだと思います。

訪問看護師のメリット(2)

 

6.訪問看護師の魅力③病棟よりも深く患者さんに関われる

転職相談Q子
病院の常勤と訪問看護師のアルバイトの二刀流でもいいんですね。訪問看護ってメリットもありますね。自分の生活に合わせた働き方や頑張った分だけもらえるお給料、魅力的ですね。あ、もう一つ気になっていることがあるんですが、病棟だと多人数を受け持ちますが、自分の納得のいくケアができないことが不満に感じることがあるんですよね。訪問看護の場合、受け持ちや利用者へのケアは、どのようになっているのですか?
キャリ姉
訪問看護は、状態によって訪問回数は異なります。毎日2回訪問する方から月に1回の方までと幅広いです。長期的なお付き合いとなる方も多く、10年以上同じ訪問看護ステーションが訪問していることも少なくありません。担当固定性の就業先では同じ看護師が訪問するので、信頼関係も深くなります。訪問看護と病棟看護との違いは、訪問中は目の前の利用者の方に集中できるということはあると思いますよ。ほかの受け持ちの方がナースコールを鳴らすことも、先輩から呼ばれることもありません。30分、1時間と決められた時間いっぱい、ケアを行うことができます。

また病院は患者が利用をしに「来ます」が、訪問看護は自宅へ「行き」看護を行います。病院にいる間だけ関わるのではなく、生活全般を含めた人生に関わる看護ができるのは、訪問看護の特徴と言えます。病気や医療にとらわれず、家族関係、友人関係、金銭管理、介護サービスの相談など、多職種間の要としての役割も求められています。退院までではなく、人生の終焉まで寄り添って看護を行えます。

転職相談Q子
以前、終末期の方を受け持った時に「どうして家族は来ないんだろう」「どうしてここまで悪くなるまで受診しなかったんだろう」と疑問に思っていました。訪問看護に転職すれば、私が今まで見てきたものの前後、入院前と退院後がわかるんですね。
キャリ姉
はいその通りです。病棟看護師は入院前の情報を収集し入院時には退院支援を行いますが、実際にどのような生活を送りどのような経緯で入院したかはわかりません。訪問看護ではそのわからない部分を知ることができるので、もし訪問看護経験後に病院に出戻った場合は、訪問看護の経験を活かして「違った視点」で看護ができます。

訪問看護師のメリット(3)

転職相談Q子
少し話ずれるんですが、訪問看護ステーションの運営母体って、病院、診療所、介護施設に加え、株式会社やNPO法人など、多くの法人がありますよね?このあたりの違いを解説して欲しいです。
キャリ姉
おっしゃる通り、訪問看護ステーションはいろんな形態のものがあり、大きな病院が母体のものもあれば、中には看護師さんが独立して社長兼管理者みたいな形で経営している事業所もあります。訪問看護は保険診療はもちろんありますが、各種保険を使わず自費で訪問することもできますので、自費ですと冠婚葬祭の付き添い、旅行の付き添い、長時間の見守り看護など、どんな場面においても看護師が付き添うことができ、保険治療外でサービスを広げていくような企業もあります。一応下記に、訪問看護ステーションの開設の概要をまとめてみます。

 

訪問看護ステーションの開設要件

法人設立株式会社、医療法人、NPOなど法人であれば何でも。
人員常勤換算で看護師2.5人以上(常勤看護師2人+非常勤看護師1人など)
管理者看護師のみ。法人の代表兼任もできる。
資金3~5ヶ月分の人件費と運営費。500~1000万円程度必要。
開業準備書類や事務所、指定申請など。利用者獲得に向けたPRも必須。

 

新卒から訪問看護師を育てる取り組みは進んでいる?

訪問看護ステーションでは、ほとんどの就業先で看護師歴3年目以上の方を募集しています。キャリアラダーにおいても、3年目終了時には一人で受け持ちができ、チーム医療の一人を担うことができるとされていますのでそういう背景もあるでしょう。

ですが、最近その壁を壊すため、新卒の看護師から訪問看護師に育成する動きが始まっています。看護協会はじめ、大学病院、各訪問看護ステーションが訪問看護師向けの新卒教育プログラムを作っています。一部を例にあげると、インターネット学習であるe-ラーニングを活用した学習プログラム、研修センターでの訓練、多様な疾患のある患者への同行、地域連携をしている施設への出向など様々な取り組みがあります。新卒教育プログラムでは、採血や点滴、尿道カテーテルの挿入など、在宅では頻回に行わない手技も、経験が積めるように考えられています。医療・介護施設全体として、訪問看護師を育てる環境を整備しているのです。

また、病棟と在宅での一番の違いは単独での訪問で判断に困っても周囲へ助けを求められないことにあります。そういった不安は、携帯電話での通話やテレビ電話による観察、クラウドシステムによるカルテの共有、先輩看護師の訪問フォローなどで解決する動きも活発化しています。病院であれ在宅であれ、看護をする内容は変わりません。新卒から訪問看護を始めるキャリアがあっても良いという流れは今後本格化していきそうです。

 

新卒の訪問看護師

訪問看護ステーションへの転職成功のポイント

訪問看護ステーションの従事者は全体の看護師の約3.5%とまだまだ少数派ですが、今後在宅看護の需要増加が予想される中で、訪問看護師の需要もさらに増加していくでしょう。訪問看護ステーションの転職先を実際に探す際には、マイナビ看護師などの看護師専門の転職エージェントを利用することで、その職場の詳しい情報だったりを教えてもらえます。また職場見学もしたいと希望すれば交渉してくれますし、年収交渉なども代行してくれます。中には「病院から訪問看護ステーションへ転職して夜勤がなくなり年収も上がった」という看護師もいて、求人探しを徹底的に行うことが訪問看護ステーションへの転職の成功のポイントです。