看護師が転職時に考えるのが「勤務体系」です。無床の外来のクリニックなどでは日勤専従が主流ですが、病院勤務になると交代制勤務になることがほとんどです。交代制勤務でも二交代制と三交代制がありどちらにもメリット・デメリットがあります。ここでは二交代制と三交代制について比較しながら解説していきます。最近増加傾向にある「変則変則二交代制」についても解説しています。
29歳の都内在住の看護師です。今転職を考えていて、三交代制の病院で働くか二交代制の病院で働くか悩んでいています。前職は三交代制の病院で働いていたため、転職先も慣れている勤務形態の三交代制の病院を探そうと思ったのですが、私が希望する条件で探してみたところ二交代制の病院が多いんです。二交代制での勤務は未経験のため、自分が本当に夜勤が16時間もある二交代制の病院で働けるのか不安なんです。
なるほど。転職相談I香さんのお悩みは「看護師転職のあるある」ですね。転職時には多くの看護師が二交代制の病院か三交代制の病院のどちらで働こうか必ず考えます。特に三交代制では、主に日勤で8時間、準夜勤で8時間、深夜勤で8時間と、どの時間帯の勤務でも8時間労働になるのに対し、二交代制では日勤が8時間で夜勤は16時間と、長時間の勤務時間を経験することになるので、今まで三交代制での働き方に慣れていた方は二交代制で働けるか不安に思われる方が多いです。
実際、二交代制と三交代制では、どちらの勤務体制を採用する病院が多いのでしょうか?
2017年の病院看護実態調査では、看護職員の労働条件において適用されている夜勤形態は
三交代制が22.0%に対し夜勤1回あたり16時間以上の
二交代制は56.5%であり、
二交代制の病院が多いといえます。また、2016 年の調査と比較しても、三交代制が25.4%、夜勤1回あたり16時間以上の二交代制が53.5%であることから、
16 時間以上の夜勤を行う2交代制の割合が増加しており、現在は二交代制が主流の勤務体制といえるでしょう。(※「夜勤1回あたり16時間以上の二交代制」と表現したのは後述する変則二交代制が「夜勤1回あたり16時間以下の二交代制」のため。)
だから、転職先を探すにあたって二交代制の病院が多いということですね。なぜ、看護師の働き方は三交代制から二交代制が主流へと変化したのですか?
これは、病院の二交代制導入に対する考え方は色々あるため一概には言えませんが、背景のひとつには、2006年に導入された患者7人に対し看護師1人を配置することで高い入院基本料を医療機関がとれる「7対1病床」により、業界全体として看護師不足になっている点が影響していると言えるかもしれません。看護師が不足している中で、二交代制での勤務の方が三交代制と比較して看護師の疲労度が低くなったり二交代制の方が職務満足度が高かったりなどの研究結果も報告されていることから、より看護師に就業満足度を満足度を高めてもらおうという意図で二交代制が普及したという見方はできます。また、交代が増えるほどその都度申し送りが必要になるため、申し送りによる伝達ミスを防ぐためや、申し送り自体の無駄を省くこと、患者さんの就寝前から起床後までの一連の看護を同一看護師がすることで患者さんの安心につながるなどの理由もあり二交代制導入を進める病院もあるようです。
ということは二交代制の勤務の方が働き方としてはオススメということですか?
二交代制または三交代制どちらがいいかは、働き方の希望やそれぞれのライフスタイルによって大きく変わってきます。そのため、二交代制と三交代制のどちらがいいとははっきり答えられないのです。また、病院によっては、同じ病院内でも病棟によって二交代制を導入している部署もあれば、三交代制を導入している部署もあるなど、院内で異なる場合もあり、この背景には各部署や病棟ごとの業務内容や考え方も影響しているといえます。ですのでここからは、転職相談I香さんに合う働き方は二交代制か三交代制のどちらなのか考えるきっかけになるよう、それぞれのメリット、デメリットをお話ししていこうと思います。
<※看護師の二交代制勤務とは?>
二交代制は、1日24時間を二分割、「日勤・夜勤」に別れシフトが組まれる勤務形態です。一般的なシフト方法は、日勤が朝から夕方までの8時間、夜勤が夕方から朝までの16時間という体制となっています。シフトの具体的な時間は病院によっても異なりますが、日勤:8:30~17:30、夜勤:17:00~9:00などの求人は多く見られます。後述しますが、日勤早出や日勤遅出、日中勤といった体制を取って、その病院の忙しい時間帯に合わせてシフトが組む変則二交代制というのも出てきています。
<※看護師の三交代制勤務とは?>
三交代制は、1日24時間を三分割し、「日勤」」準夜勤」「深夜勤」に分けてシフトが組まれる勤務形態を指します。こちらも具体的な時間は病院によっても異なりますが、日勤:8:00~16:30、準夜勤:16:00~00:30、深夜勤:00:00~8:30などが多いです。申し送りをするため、就業時間の始まりと終わりが各勤務帯で重ね合うのが一般的です。
(※)休日については、二交代制、三交代制に関わらず、大病院を始め、公立の総合病院や大学病院の殆どが年間休日数を120日に定め、年次有給休暇・介護休暇・育児休暇などの福利厚生にも力をいれています。一方、患者数の少ない私立の病院や個人病院では休日数や福利厚生面に大きなばらつきがありますから、転職時は交代制の種類と共に確認が必須の項目です。
まずは二交代制のメリットからお話しますね。まず二交代制の1つめのメリットは、
三交代制と比較するとひと月の夜勤回数が少ないということです。「
看護職の夜勤・交代制勤務ガイドラインの普及等に関する実態調査」では、
三交代制勤務での平均夜勤回数は7.8回に対して、二交代制勤務での夜勤平均回数は4.5回と報告されています。そして、二交代制では夜勤時間が長時間になるため夜勤明けの翌日は必ず休みとなり、三交代制と比較すると休みが多く連休が取りやすいというメリットがあります。多くの医療機関では自分でスポットの休みをとれることもあり、希望すれば明け後に連休を取ることも容易なので、プライベートを充実させることが可能です。
確かに三交代制だと準夜勤後の休みは、休みという感覚がないし、連休が取りにくい印象でした。二交代制の長時間の夜勤は大変そうだけど、その分その後の休みがしっかりとれると考えば魅力的ですね。
おっしゃる通りですね。また、看護職の夜勤・交代制勤務のガイドラインでは,夜22時以降におよぶ勤務に関しては、実労働時間が8時間を超える場合には連続2時間以上の仮眠を取ることを検討するよう定められています。そのため二交代制は夜勤時間が長いので休憩時間に加えて仮眠時間を設けており、休憩時間1時間に加えて、仮眠時間も2時間とれる場合があります。こういった点もメリットになりますね。ただし、仮眠時間は患者さんの急変や業務の多忙度によって連続して取ることができない場合もありますので、その点は注意が必要です。
確かにそうですね。しかし、二交代制による長時間の夜勤業務に対しても、ガイドラインなどで休憩時間や仮眠時間などが取り決められていることに安心しました。
よかったです。続いてメリット紹介しますね。二つ目のメリットは、
三交代制と比較すると二交代制の方が夜勤手当が高い傾向にあるということです。「
病院勤務の看護職の賃金に関する調査報告書」によると三交代制の準夜勤の手当額は平均3,812円、深夜勤の手当額は平均4,635円に対して、二交代制の夜勤の手当額の平均は10,119円と二交代制の夜勤手当の方が高いという調査結果があります。
そのため、夜勤でもしっかりお給料を稼ぎたいという方には二交代制の方がおすすめといえます。確かに三交代の夜勤手当は私もそんなものですね。二交代だと夜勤回数は少ないですが手当の総額は大きくなりそうですね。病院によっても手当の額は大きく異なりますし、夜勤手当額は転職時の重要チェック項目ですね。
その通りです。
そして三つ目のメリットは、二交代制では夜勤の時間が16時から翌朝9時までの場合が多く、出勤や退勤は公共交通機関を利用できる時間帯で通勤可能な点です。都心部の職員駐車場の少ない病院など車通勤が困難な場合の通勤は公共交通機関での通勤になります。そのため、自分の働きたい病院の通勤方法も検討の上、二交代制か三交代制を考えることも大切です。
あとは「疲労感を持ち越さない勤務形態」というのもメリットに入れていいかもしれません。三交代制だと、日勤が終わって自宅に帰っても、次が深夜勤務だと短時間しか休息が取れない上、数時間後には出勤しなくてはならないプレッシャーから熟睡できないという声を良く耳にします。その点、二交代制の勤務ならば、日勤~夜勤であれば、日勤終了から次の夜勤開始まで20時間以上の間隔が空くので、夜の睡眠と夜勤前の仮眠を取ることが可能ですし、夜勤明けの翌日は休日となるシフトが殆どなので、夜勤の疲れを十分に癒すための時間が確保できます。
<※看護師の二交代制のメリット>
・ひと月の夜勤回数が少ない
・夜勤手当が高い傾向にある
・公共交通機関を利用できる時間帯で通勤できる
・疲労感を持ち越さない勤務形態
なるほど。二交代制についてもメリットがよくわかりました。ありがとうございます。引き続き二交代制のデメリットについても教えて下さい。
二交代勤務のデメリットは、やはり16時間という長時間の勤務により肉体的にも精神的にも疲労度が高くなるということです。二交代勤務のメリットの箇所で、休憩時間と仮眠時間について、二交代制では休憩1時間に加えて仮眠時間も最大2時間とることをガイドラインで推奨していることをお話ししましたが、仮眠や休憩は業務の多忙度によって変わってしまいます。万が一多忙により休憩や仮眠が取れなかった場合、三交代制ではどんなに長くても8時間で業務を終えることができますが、二交代制ではその倍の16時間勤務のため疲労度は高くなってしまうことがあります。そのため、二次救急や三次救急などの比較的救急搬送が多かったりや重症患者さんが多かったりする病院は休憩もとりにくいことがあるため注意が必要です。また、長時間の業務により集中力が切れやすく、インシデントやアクシデントを起こしやすいともいえます。患者さんの命を預かる仕事であるからこそ、小さなミスも許されないのが医療現場です。そのため、三交代制に比べて二交代制ではより長時間の集中力が求められることがあります。
そうですよね。今まで働いていた三交代制の職場でもよく急変対応や緊急入院などの対応で、夜勤中に全く休憩がとれず疲労困憊になったことがよくありました。二交代制の病院でも同じことは言えるので、仮眠時間があるといっても必ずしもとれるわけではないことを改めて理解しておく必要がありそうですね。他にはデメリットありますか?
これも夜勤の長時間労働と関係する話ですが、夜間勤務により生活リズムが狂いやすいというのをデメリットに挙げる人もいます。入りの夕方から明けの翌朝までの長時間勤務は、途中の仮眠時間があるものの一晩ほぼ寝ずの勤務となるため、睡眠時間帯が狂い、生活リズムが取りにくい難点があります。生活リズムが崩れると不眠や免疫力の低下を引き起こす可能性があります。特に若い看護師さんは、長い緊張状態から、夜勤明けはテンションが上がっているため十分な休息をせずに遊びに出てしまう事も多いのですが、なるべく体の疲れをリセットしてからプライベートを楽しむことが大切ですね。
<※看護師の二交代制のデメリット>
・夜勤の長時間勤務により肉体的にも精神的にも疲労度が高い
・夜間勤務により生活リズムが狂いやすい
引き続き、三交代制のメリットについてお話ししますね。現在の夜勤体制の主流は二交代制ではあるものの、まだまだ三交代制を導入している病院も多くありますのでメリットも多いのです。三交代制のメリットの1つは、勤務時間が日勤・準夜勤・深夜勤ともに8時間であり、二交代制の夜勤と比較して勤務時間が短く集中力を保ちやすいという点はあります。特に急性期病棟などの多忙な病棟では、夜勤中に休憩をとることも困難なことも多くあります。その際にも三交代制の勤務であれば、連続勤務時間は最大でも8時間となるため、集中力が途切れることなく業務に携わることができます。二交代制の様に8時間を超える勤務は、常に生死に関わっているという緊張感と医療処置に高い集中力を必要とする看護師にとってかなりの負担になります。特に新人や異動間もない看護師にとっては、長時間の勤務は心理的な不安感も重なり強いストレスが生じる為に、三交代勤務のほうが心身共に無理がないという人もいます。できるだけ短い勤務時間で集中して働きたい方や、多忙が予想される病棟での勤務を希望する際は二交代制よりも三交代制勤務を選択した方がメリットとなる場合も多くあります。
たしかに三交代制での勤務で働いていると、勤務時間である8時間はあっという間に過ぎていたように感じます。これが二交代制の場合だともう8時間連続で勤務となるため、集中力は三交代制勤務と比較すると途切れやすいかもしれないと自分でも思いました。
また三交代制では、8時間勤務ごとに自宅に帰宅することができます。そのため、長時間家を空けずに済むというメリットもあるのです。例えば、シングルマザーとしてお子さんを育てている看護師にとって、二交代制での夜勤は16時間以上お子さんを託児施設に預かってもらったり、場合によっては親族の家で過ごしてもらうなどの対応が必要となってしまい、お子さんへの負担も大きくなってしまします。しかし、三交代制での勤務であれば、日勤後にお子さんと一緒に夕食を食べて、お風呂や寝かしつけをしたのちにまた深夜勤で仕事に出かけるなど、長時間家を空けずに勤務と勤務の間でお子さんと接する時間をとることが可能となります。そのため、二交代制勤務が増えている中でも、ライフスタイルによっては三交代制勤務を希望される方もまだ多く存在しています。
たしかに子育て中の看護師などには三交代制はメリットが多いですね。
<※看護師の三交代制のメリット>
・勤務時間が日勤・準夜勤・深夜勤ともに8時間と短く、集中力を保ちやすい
・長時間家を開けずに済む
三交代制のメリットについて今までしっかりと考えたことがなかったのでとても勉強になりました。ぜひ、デメリットについても教えてください。
三交代制のデメリットの1つには、二交代制勤務と比較して通勤回数が多い点はあります。三交代制でのシフトは、そもそも二交代制よりも通勤回数は増えますし、ときに日勤業務後を終えたあとに一度自宅に帰り再度深夜勤の時間帯に出勤するなど、長時間の連続勤務ではないものの、1日の中に複数の勤務帯で業務を行わなければならない場合も出てきます。自宅が職場から遠く通勤に時間がかかるなどの場合、通勤時間だけでも貴重な休息の時間が奪われてしまい、日勤後に十分な休憩が取れず再度深夜勤のために出勤をしなければならない事態になることもあります。また、準夜勤後や深夜勤前の出退勤は深夜帯となるため、公共交通機関を利用することができません。そのため、自家用車やタクシーなどを利用して帰宅や出勤をすることになるため、職場への通勤方法も配慮が必要となりますし、暗い夜道の中帰宅することになるため、安全面でも注意が必要となります。
確かに通勤に時間がかかる人とかは通勤回数が多いとデメリットになりますね。他にはどんなデメリットが?
「まとまった休息時間の不足」というのはあるかと思います。上記の通勤時間の話もそうですし、例えば家庭を持っている看護師ならば、日勤のあとに家事などで殆ど休息する間もなく次の深夜帯の勤務に出勤しなくてはならず、十分に休みを取れないまま慢性的な疲労感に悩まされる看護師も多くいます。あとは業務効率の悪さもよく挙げられる点です。三交代制では、一日の間で3回看護師が入れ替わるので、勤務帯が変わる毎に申し送りが必要ですし、情報の共有が上手く為されなければ最悪医療的なミスにも繋がります。そのため、直接業務に取り掛かるまでに時間を要する点が結果的に残業という形に変化せざる負えない状況を作り上げています。
<※看護師の三交代制のデメリット>
・通勤回数が多くなりやすい
・まとまった休息時間をとりにくい
・申し送りの回数が多く業務効率が悪く感じることもある
二交代制と三交代制の勤務それぞれについて、メリットやデメリットがよく分かりました。どちらの勤務体制も一長一短なので、自分がどんな働き方を希望しているのかを考慮した上で勤務体制を選んでいく必要があるんだなと改めて感じました。
その通りです。働き方は人それぞれ異なるため、「まとまった休みが多くほしい」「夜勤手当がたくさんほしい」などと希望される方は二交代制の方が向いているかもしれませんし、反対に「家を長時間空けたくない」「長時間労働は自分には向いていないから短時間がいい」という方は三交代制の方が向いていることになります。自分の希望やライフスタイルを見つめ直すことで、自ずとどちらの勤務体制が向いているのか明確になるかもしれませんね。
実は現在の医療の現場においては二交代制でもなく三交代制でもない新たな勤務体制があることをご存知でしょうか?ここ最近増えてきているのが、新たな勤務体制である【変則二交代制】という働き方です。
ぜひその変則二交代制についても詳しく教えて下さい。
日本看護協会は、看護の職能団体として夜勤・交代制勤務による健康・安全・生活の影響を少なくする観点から、夜勤・交代制勤務の「勤務編成の基準」11項目を提案しています。そしてその中には
【基準1:勤務と勤務の間隔は 11 時間以上あける】【基準2:勤務の拘束時間は 13 時間以内とする】という基準も提案されているのです。(参照:
夜勤・交替勤務制に関するガイドライン)
あれ?この勤務編成の基準を考えると、今までの二交代制や三交代制は基準を満たしていないことになりますね。
そうなんです。そこで最近は日本看護協会が提唱する勤務編成の基準11項目に沿った勤務体制を考慮する病院が増え、その中から変則二交代制という勤務体制を採用する病院が増えてきました。
変則二交代制の勤務体制は病院によって多少定めは異なりますが、1日の24時間を12時間ずつに分ける考え方で勤務を組んでいる場合が多いです。そのため、夜勤時間も通常の二交代制勤務の16時間と比べて4時間も短い12時間になります。またそれに伴い、日勤帯では通常の8時間業務の日勤や早出や遅出などの勤務体制に加えて、ロング日勤や日中勤などと呼ばれる日勤の時間帯に加えて夕方から夜勤者が交代するまでの追加の4時間を加えた12時間連続して働く勤務体制を採用している病院もあります。日本看護協会の報告によると、変則二交代制にあたる夜勤16時間未満の二交代制を採用している病院は全体の14.5%を占めています。
まさに1日を均等に半分に分けて日勤と夜勤で分担するといったイメージですね。
その通りです。この変則二交代制にすることで、今まで勤務編成の基準を満たすことができなかった部分を補うことができるようになりました。変則二交代制についてのメリットやデメリットについては、実際に変則二交代制の勤務を経験されたことのある看護師(都内在住・32歳)に実際にどんな勤務体制で働いていたのかや、働いてみて感じたことをインタビューしましたのでご紹介します。
変則二交代制の勤務体験談(※都内在住・32歳・女性看護師)
私は実際に変則二交代制を採用する二次救急病院で6年間働いていました。私の働く病院では変則二交代制として、9時から17時まで働く日勤のほかに、9時から21時まで働く日中勤と呼ばれる勤務と、21時から翌日9時まで働く夜勤の勤務体制が組まれていました。その他にも病棟によって多忙な勤務時間が異なるため病棟ごとに定時の始業時間より早く出勤する早出や反対に13時から21時まで働く遅出などの勤務形態が組まれることもありましたが、大部分はこの日勤および日中勤、夜勤でのシフトがメインとなっていました。
夜勤や日中勤の回数は病棟や勤務月のシフトによって多少の前後はあるのですが、だいたい日中勤および夜勤は4~6回ずつ入っていました。なので三交代制よりは夜勤回数は少ないというイメージですね。私の働いていた病院では、だいたいシフトの中で夜勤を2日間連続で勤務したのちに1日休みがあり、その後に日中勤を2日間連続で働くという勤務がひとつのクールになっており、だいたいこのクールのセットがひと月に3回ほど入っていました。この勤務体系にはメリットもデメリットもあると思います。
まず私が変則二交代制の勤務を経験してメリットだと感じたことは「連休や希望の休みがとりやすく、仕事のプライベートをしっかり分けて過ごすことができた点」です。私の働いていた変則二交代制の病院は、さきほど述べた夜勤を2日間+休み+日中勤を2日間とうクールを勤務することで、必ず毎月4連休がもらえるという制度になっていました。毎月連休がもらえるのは魅力的でした。もちろん病院によって変則二交代制の勤務体制は様々であるため、一概にどの病院も長期の連休がとれるとは限りませんが、夜勤や日中勤で12時間という勤務を経験するため、その調整として休みも多くなる傾向にあるんじゃないでしょうか。また、変則二交代制の夜勤は通常の二交代制の夜勤と比べて勤務時間が短いため、比較的集中力も持続しやすく、疲労度も二交代制に比べると少なかったと思います。そして、21時から翌朝9時という患者さんの就寝時間から起床し朝食を終えるまでが夜勤の勤務となるため、急変や緊急入院などがなければ比較的夜勤業務は落ち着いていることも多かったと思います。
三交代に慣れている人だと日中勤で12時間勤務もこなさなければならないのは少し心配に思うかもしれません。しかし、実際に働いてみると、通常の日勤後の延長である17時から21時の間は日勤帯のような大きな検査や治療行為などは終わっていることが多く、大まかな業務としては、夕食の配膳下膳、食事前後の内服薬管理、巡視や必要に応じてバイタルサイン測定、点滴交換などが多かったです。いつもの日勤より4時間長く働くことで通常の日勤と比較すると疲労度がないわけではありませんが、慣れると日勤とあまり大差なく感じますし、12時間労働となることで通常の日勤と違い手当もつくため、日中勤が多い月はお給料にも差が出るのでむしろメリットなのかと思います。
あと一応変則二交代制のデメリットにも言及しておくと、通常の16時間夜勤の二交代制の夜勤は1日のみの勤務に対して、変則二交代制の場合は2日間連続で勤務する場合もあるということです。その場合、1日目の夜勤と2日目の夜勤の間は12時間であり、その間に帰宅や仮眠、出勤を行うため完全に昼夜逆転の生活になるということです。そこから1日の休日を挟んだのちに次は12時間の日中勤務となるため、生活リズムが崩れやすくなります。しかし、昼夜逆転の生活や生活リズムの崩れは通常の二交代制や三交代制でも起こりうることであるため、変則二交代制の勤務も慣れることで不安は解消されると思います。
あとこれは稀なケースですが「日中勤で緊急手術や緊急入院などが重なり大幅な残業が必要になったときに、なかなか退勤ができずに終電に乗り遅れてしまった時」などはデメリットに感じました。三交代制勤務の場合はすでに公共交通機関の動いていない時間帯での通勤や帰宅となるため、病院によっては事前に公共交通機関利用の職員には対応がされる場合があるのですが、変則二交代制の勤務ではそのような配慮はされていないため、万が一日中勤で終電を逃してしまうと自分でタクシーを利用して帰るなどしなければならない場合もありました(この経験をしたのは6年間働いたうちの4,5回です)。ただほとんどの場合は残業が必要になる場合は報告をしたり、次の勤務帯にお願いできる業務はお願いしたりすることでほぼ業務時間内に仕事は終わりましので、大きなデメリットに感じなくていいのかもしれません。
実際に変則二交代制を経験している他の看護師の意見としては、やはり16時間の夜勤と比較すると身体的にも楽であるという意見があるほか、小さなお子さんがいる家庭にとっては、夕食の準備をしてから夜勤にでかけられるなど家族の都合によいという意見がありますね。また、日中勤などの長時間の日勤に対しても、日勤帯から継続して業務をしていることで患者さんの状態が一日を通してわかるなど前向きな意見もありますね。
変則二交代制の勤務について、メリットやデメリットについてよくわかりました。今回のお話を通して、二交代制や三交代制それぞれのメリットやデメリットだけでなく、変則二交代制という新しい勤務体制についても詳しく知ることができました。それぞれの勤務体制のメリットやデメリットを踏まえて、もう一度自分の希望に沿った転職先を探していきたいと思います。
「アナタにあった勤務体系」の採用先を効率よく探す方法
上記で解説した通り、昨今は看護師の働き方も多種多様であり、様々な勤務体制をとる病院が増えています。その中で、自分の希望する働き方やライフスイルに合った勤務体制は何か考えると共に、その希望に沿う病院を見つけていく必要があります。そこで利用必須なのがマイナビ看護師などの大手の転職エージェントです。各転職エージェントにはキャリアアドバイザーが在籍しており、「皆さん一人一人の最適な働き方」を提案してくれると共に、看護師転職エージェントは全国数多くの病院の情報を持っていて福利厚生や勤務体制などについても把握しているので、自分がどんな条件で働きたいのか相談することで希望にぴったりな職場を紹介してもらえます。しかも利用料は全て無料ですので転職エージェントのサービスを利用して、ぜひ自分に合った職場を見つけ出しましょう。