心療内科クリニックでの看護師の仕事を探している方はとても多いようですが、いくら探しても求人情報が上手く見つからないという声をよく耳にします。それもそのはず、心療内科を標榜しているクリニックや診療所は内科・外科・婦人科・小児科等の一般的な診療科に比べると数自体がまだまだ少ないと言えるからです。また、心療内科クリニックではその他の診療科と違って処置に手を取られることが少ないため、看護師をそれほどたくさん必要としているワケではありません。そのためなかなか空きが出ず、希少求人となってしまっているのです。
★心療内科クリニックで働くには
心療内科クリニックで働くのに、特別なライセンスは求めらません。一般病棟や外来での経験がある程度あれば資格としては十分です。心療内科クリニックで仕事をするのに、精神科病棟での勤務経験があった方が有利と考えられがちですが、そうとも限りません。確かに心療内科クリニックでは患者さんとのコミュニケーション能力が重視されますが、そもそも心療内科と精神科では取り扱う疾患も治療方針も別です。(※心療内科と精神科の区別をしっかりと説明できないという人は、看護師さんの中でも意外と多いかもしれません。ちょっと曖昧という方は、まずはその違いをしっかりと理解しておく必要があります。)
次にお仕事の見つけ方ですが、「自分ではなかなか求人情報を探せなかった」「こまめに求人情報をチェックしているけど、心療内科クリニックの求人は全然見当たらなかった」という人は早めに看護師転職支援会社に登録してみることをお勧めします。クリニックでは病院と違って、人事課のような部署がありません。そのため院長先生は、日々の診療や学会準備をこなしながら、1人で看護師の面接や業務管理等をすることになります。人材を探したりメールのやり取りをしたりするには、かなりの労力を要します。そのため、はじめから看護師探しは人材派遣会社や人材紹介会社に頼んで、条件に合う人が見つかったと連絡があった場合に限り面接をするというスタイルのクリニックは珍しくありません。「本当はあそこのクリニックで仕事してみたいけれど、募集が掛っているのを見たことがない」「なかなか空きが出ないな~」…なんて思っている間に、どんどん他の看護師の採用が決まってしまっているかも。そう考えると、時間がもったいないですよね。転職支援会社に登録して心療内科クリニックの仕事を希望しておけば、空きが出た段階で優先的にお仕事の紹介を受けることが出来ます。めったに出回らないような人気の希少求人枠は、1人で待っているだけではゲットできません。
★心療内科クリニックの看護師の仕事内容
皆さんは、心療内科クリニックの看護師のお仕事についてどのようなイメージをお持ちですか?「ゆっくりと仕事が出来そう」「患者さん1人1人にじっくりと向き合える」「定時に帰れる」…こういう感じでしょうか?でも実際はクリニックによって大きな差があるため、どこのクリニックでも上記のようなイメージが全て当てはまっているということはありません。まず、そのクリニックが心療内科以外にどんな科を標榜しているかによって、クリニックの雰囲気はガラリと変わります。「心療内科・精神科」というクリニックでは、処置や検査が少ないところが多くなりますが、診療科の特徴上患者さんのお話しが長くなる傾向があり、残業続きになることもしばしばあります。また精神科のデイケア等も行っているクリニックになると、レクリエーションや作業療法に参加する必要が出てきます。「心療内科・一般内科」というところでは、初診の内科患者さんがたくさん来た場合、ゆったりとは程遠い忙しさに…。各種健康診断も受け付けているようなクリニックになると、心電図や眼科・聴力検診もしながら心療内科の患者さんのアナムネを取ることにもなります。
その他は一般的なクリニックと同じように、診療の補助・処置、カルテ記載、患者さんの呼び出し、電話応対、掃除などの雑務全般などがあります。心療内科クリニックの看護師といっても、診察したりカウンセリングをしたりするのは医師の仕事なので、皆さんが想像しているよりは患者さんとしっかりと向き合ってお話しするという機会は少ないのかもしれません。
★心療内科クリニックの看護師のお給料
心療内科クリニックのお給料は、一般的なクリニック等と大きくは変わりません。時給なら1700円前後が相場です。正社員になると月給制で昇給・賞与、有給休暇が貰えるようになります。急性期の病棟パートや外来と時給で考えると同じレベルなので、体力的なしんどさとお給料のバランスにのみ注目すると、決して悪くはないお仕事だと言えますね。
★心療内科クリニックの看護師に向く人・適性
先ほど、心療内科クリニックの看護師はそこまで特殊な経験やスキルは求められないと説明しましたが、だからと言って「誰でも簡単に出来る仕事」というワケではありません。心療内科クリニックに来院する患者さん達は心と体のバランスを崩しているので、看護師の少しの態度や言動に敏感に反応してしまう可能性が強いと考えられます。看護師として患者さんと向き合っている以上、どんな場所で仕事をしていても同じなのかもしれませんが、心療内科クリニックで仕事をする場合は特に、自分の行動が他人にどんな影響を与えるのかを想像できる細やかさが求められます。時には自分のことを客観的に観察したり、他人に指摘されたことを真摯に受け止めることができる人が、心療内科クリニックの看護師に適性があると言えます。患者さんと向き合える時間は決して多くはないかもしれませんが、時間を取れば取るほどどいいコミュニケーションが出来るというものでもありません。挨拶や呼び出しの時の表情・口調に注意したり、アナムネの際の話し方ひとつで、患者さんに安心感を与えることが出来るはずです。そういった工夫を自分の看護に取り入れていける人は、きっと患者さんから求められるスタッフになれるでしょう。
★心療内科クリニックの看護師になるメリット
心療内科クリニックで仕事をしている看護師さんの中には、心理系の勉強をしながら看護師をしているという人がたくさんいます。臨床心理士になるために大学に編入した人や産業カウンセラーの講座を受講中の人もいるので、「今は心理系の資格はないけれど、将来的には何かやってみたい」「実際に勉強中の人に知り合って、話を聞いてみたい」と考えている看護師さんにとっては出会いのチャンスにもなるかもしれません。クリニックによっては、臨床心理士が定期的に来てカウンセリングをしているところもあります。心理系の資格を取ると実際にどのようにして患者さんに介入していくのか、専門家に教えてもらうことも出来ます。
★心療内科クリニックの看護師になるデメリット
クリニックによって業務量や内容にばらつきがあるのは仕方がないことですが、あまりにも来院数が多いクリニックに就職してしまうと「もっとゆっくりお話しが出来ると思っていたのに、忙しすぎて会話を中断してばかりになる」と悩むことになってしまいます。またクリニックの立地条件によって忙しさや残業の量が違ってくるので要チェック!アクセス良好の医療モールにある心療内科クリニックとなると、仕事帰りに診療時間ギリギリで来院する患者さんが多くなるばかりか、予約時間に遅れてくる人が多すぎて、時間内にさばききれないという場面も日常茶飯事です。心療内科では急変の対応もなく処置も少ないとはいえ、残業が続き過ぎると体力が持ちません。スタッフの数を最小限に抑えているクリニックも多いので(各勤務帯1名)、体調不良の時に休みにくくなってしまうところも…。「心療内科=何となく暇そう」という先入観は捨てて、事前にしっかり職場情報を確認しておきましょう。