厚生労働省管轄の独立行政法人が運営する医療機関で、「○○労災病院」と名前がついているので、病院名を見れば労災病院だと分かります。全国に32か所あり、業務上で発生した怪我や職業に伴った病気の治療からリハビリテ―ションまでの労災医療を実施しています。もちろん、一般の方も対象に診療をしており、労災病院はどこもかなり規模が大きい総合病院です。
ここで働く看護師は、独立行政法人の職員となりますので公務員並みの待遇です。各手当や教育体制など、満足できる充実した待遇のもとで安心して働くことができます。
また、仕事内容が煩雑で忙しいですが、その分幅広く経験を積むことができて看護師としての成長を期待できます。そして、看護師だけでなくその他コ・メディカルの数も多いため、日々の交流を通じて看護以外の知識を得ることも十分できると思います。
★キャリアアップに非常に有利!
スキルアップだけでなくキャリアアップを目指している看護師の方に、労災病院への就職や転職は非常に有利です。労災病院はお互いに連携しているため、例えば、引っ越しをした際、その新しい土地に労災病院があればキャリアを中断することなく、また同じ労災病院へ勤めることができます。妊娠や結婚を機に経済的安定や築き上げてきたキャリアを諦めなくてもいいのです。これは、モチベーション維持と将来への安心につながります。また、ブランクによるスキル低下や環境変化への適応など、新たに復職する際に抱えるさまざまな悩みを解消してくれます。
引っ越しや妊娠という理由はなく、ただひたすらキャリアアップのために、もっと施設や設備の整った労災病院への転勤も可能です。労災病院にもそれぞれ特徴がありますから、自分が目指す看護師像により近づくことができるように、労災病院から労災病院へと転勤することができるのです。
勤労者医療を確実に実践できるために労災看護専門学校も多数あります。卒後は勤労者医療のスペシャリストとして労災病院へ就職し、キャリアアップに励んでみるのもいいですね。
★労災病院ならではの症例を勉強できる!
労災病院は、労働災害の発生に対応するための病院です。労働災害とは、テクノストレス・アスベスト・産業中毒・振動障害・働く女性の健康問題・労働者の心の問題・外科系の疾患などです。これらの特有の症例を目の当たりにすることができるのです。特に、外科系の症例では、他の病院では経験できない症例を勉強できます。
理由は、労働災害により、労災病院を来院される方で最も多い症例が〈外傷〉だからです。労働災害は、通常の医療保険は適応外ですから労災病院へ来院されます。
一般的な整形外来の他に、脊椎外科外来や肩膝関節外来、外傷センターを設置している労災病院は少なくありません。各専門に特化した医師や設備を備え、労災病院としての使命を果たしているのです。
★働きやすさの象徴!女性医師が多い!
何度も繰り返しますが労災病院は、働く人のための病院です。当然、そこで働く職員のための病院でもなくてはなりません。労災病院は、看護師だけでなく医師、特に女性医師への配慮も整っている病院が多く、働きやすい病院として表彰された病院もあります。
なぜ女性医師が多いのか?そして、女性医師が多いと、なぜ働きやすいか考えてみて下さい。
現代では若手医師の30~40%は女性です。ひと昔と比べると随分女性医師数が増えました。
それに加え、労災病院に女性医師が多い理由は、女性外来を設置していることと働く女性が多くなったためだと言えます。かつて、男性の職場と言われた工業地帯や外勤の職業にも女性進出が進み、女性の労働災害が増えたことがその理由と言えます。
男性医師には相談しづらいことでも女性医師なら相談できます。看護師も女性がまだまだ多いです。女性を意識して整備された病院は、患者さんが来院しやすいだけでなく、看護師も働きやすい病院ではないでしょうか。