目次
1.都道府県ナースセンターとは?
ナースセンターとは、1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき設置された組織です。この法律は、急速な高齢化や保健医療を取り巻く環境の変化に伴って、看護師等の人材確保の重要性が求められていることや、慢性的な人員不足を背景に、看護師等の確保を促進するための基本指針を定めています。
ナースセンターには主に中央ナースセンターと都道府県ナースセンターがあり、中央ナースセンターは日本看護協会が厚生労働省から、都道府県ナースセンターは都道府県の看護協会が都道府県から指定を受けてそれぞれ運営しています。そして、中央ナースセンターは主に都道府県ナースセンター業務の支援という役割を担っているのに対し、都道府県ナースセンターは都道府県に必ず1つの都道府県ナースセンターがあり、直接的に看護職確保対策に向けた取り組みを行ってることが特徴です。ここではナースセンターについて具体的に解説します。
まず「看護職への職業紹介事業」は、厚生労働省の許可のもと、各都道府県労働局の管轄のもと無料で職業紹介を行っている活動になります。主に就職先を探している看護職の人と、看護職員を雇用したいと考えている病院や施設がそれぞれナースセンターに登録をしておくことで、ナースセンターを介して職業紹介をしてももらえるというものになります。また都道府県ナースセンターの職員は現場経験豊富な看護職であるということが特徴であり、先輩看護職である職員に就業相談やメンタルヘルス相談などを行うこともできます。看護師転職エージェントが民間企業のものでナースセンターが公的なものというイメージでいいかと思います。
そして、二つ目の「再就業支援等の研修の実施」では、ブランクがあり、再就業したいのに不安があるという看護職の方へ向けて、最新の知識・技術を学ぶことが出来る再就業支援研修を行っています。都道府県ナースセンターでは、求人案内を紹介するとともに、ブランクのある看護師に対しては再就業支援研修を紹介しており、調査によるとブランクが長い看護師ほど再就業支援研修の利用率は高いです。研修は採血や注射、輸液管理などの看護技術から、BLSなどの一時救命処置を学ぶ研修など各都道府県のナースセンターによって様々な研修が開催されています。中には、具体的に再就業を予定している人や看護現場での知識や技術の習得を目指す人を対象とした実習中心の病院・訪問看護ステーション派遣型再就業研修や、介護施設への転職に興味がある人や自己啓発をしたいと思っている人を対象とした講義・演習と施設見学を含めた看護職員介護施設等再就業研修などもあります。転職相談T美さんの場合、まだ退職したばかりで看護師のブランクはありませんが経験に不安があったり自己啓発目的で研修に参加することも可能なので、興味があればお住まいの地域の都道府県ナースセンターのホームページを調べてみて下さい。
2.eナースセンターとは?利用方法は?
登録が完了したら、いよいよサービスの利用ができます。eナースセンターや来所で求人案内を検索したり、職員による就職相談や再就業支援研修など自分に必要なサービスを利用してみましょう。そして、自分の気になる求人案内があれば、ナースセンターに直接連絡をするか、eナースセンター上からメッセージを送って紹介依頼をしましょう。その後、ナースセンターの担当者が依頼に基づき求人施設へ連絡を取り、応募の詳細について確認があります。 双方が条件等に合意をすれば、正式に紹介となりますので、実際に求人施設へ面接に行くというのが、ナースセンターおよびeナースセンターの一連の利用方法となります。
しかし、利用にあたり1つ注意点があります。ナースセンターに提出する求職票には期限があり、登録の有効期限は登録日から6ヶ月間となります。有効期限を過ぎるとナースセンターのサービスは利用できなくなりまりますので、登録から6ヶ月経過してもなお引き続き利用を継続したい場合は再登録が必要となります。
3.ナースセンターを利用した人の体験談
都道府県ナースセンターの窓口では、求職票の質問事項に従って、職員の方が自分の今までの勤務経験や今後の勤務希望条件などを細かく聞いてくださいました。求職票には看護師免許などの免許番号を記載する欄などがあったり、子育て支援や介護支援、キャリアアップ支援の希望などを問われる質問事項もあったため、特に細かな確認をせずナースセンターに足を運んでしまった私は相談窓口で質問に対して明確に答えることができず、少し大変でした。ナースセンターのホームページなどでは求職票がPDFでダウンロードできますので、もし可能であれば事前に免許番号を控えておいたり、求職票に目を通して自分の勤務希望条件をチェックしたりして明確にしておいてから登録を進めていった方が、より自分の希望条件に合った求人案内を紹介してもらいやすくなると思うので、ぜひナースセンターで登録をする際は注意してみてください。その他にも、ナースセンターへの登録自体は来所以外にも電話やインターネット、郵送でも可能なので、登録だけまずは事前に進めておくのも時間の有効活用ができるためおすすめします。
1か月に1度ほど都道府県ナースセンターの職員の方から電話にて進捗状況を確認されたり、居住地に近く勤務希望条件に合いそうな求人が新しく出た場合は電話にて教えてくださることがありました。しかし、当時はまだ希望条件に合う職場が見つからなかったり、求職活動を始めたばかりで求職活動の進め方がよくわからなかったりしたこともあり、子育てと家事に追われて自分から積極的にeナースセンターにログインできないことも多くありナースセンターに登録した求職票の有効期限があっという間に切れてしまい、実際には都道府県ナースセンターを利用して新たな職場を見つけることはできず、私の場合は他の民間の転職エージェントを利用して現在の職場を見つけることになりました。そのため都道府県ナースセンターを利用しての求職活動は、頻繁に来所ができたり、eナースセンターをしっかり活用できるような自らが積極的に求職活動を進めていける方におすすめなんじゃないかと思います。
4.ナースセンター利用のメリット・デメリットは?
また、ナースセンターの職員さんは看護職としても現場経験豊富な方が多いので、働き方についてや求人案内の病院や施設についても知識があり、専門的な相談もしやすいと感じました。そのため、自宅から比較的ナースセンターが近い場合などは転職活動で困ったことや不安なことなど気軽に相談できる場が増えるためとてもおすすめです。求人案内の件数については、都道府県看護協会が運営ということもあり、ハローワークや他の転職サイトには掲載されていない求人情報も多くあった印象を受けます。また全国の求人検索ができるため、自分の居住地域に限らず、幅広い地域の求職情報も閲覧できるため、たくさんの求人情報を知りたい方はeナースセンターでの求人情報閲覧もおすすめです。
加えて、求人案内の新着情報は民間の転職エージェントサイトなどではすぐにどれが新着なのかわかるようになっていたり、サイト自体も検索や閲覧がしやすいですが、eナースセンターは毎回調べたいと思うたびにログインし、希望条件を入力して求人検索をかける必要があることや、検索結果を見てもどれが新着情報なのかがわかりにくく、膨大な検索結果から自分の条件に合う求人案内を探すのに手間がかかったりと、やや使いにくいというのが正直な感想です。
またナースセンターで登録した求職票の有効期限は登録日から6ヶ月間ということからもわかるように、ナースセンターでの求職活動は主に早期に復職を希望する人向けとなります。そのため、長期間をかけてでも自分にぴったりな職場を見つけたい場合や、現在点では在職中であるが、今後新たな職場に転職したいと考えて情報収集をする場合などは、あっという間に有効期限が切れてその都度再登録しない限りサービスが利用できなくなってしまうため、少し手間がかかるかもしれません。
5.ナースセンターと比較した看護師転職エージェントの優位性は?
また、求人案内件数も現在は看護師転職エージェントの営業力が拡大しているためナースセンターをしのぐ件数を保有したりしています。しかも独自性の強い求人やそのエージェント限定の求人など他社との差別化も十分に図れています。看護師転職エージェントの中には、その会社を利用して転職活動を行うことで、無事に新たな職場を見つけて就職が決定した場合にはお祝い金など金銭面のサポートを受けられることもあります。
ナースセンターには再就職支援があったりWEB上で求人検索ができたり多くのメリットがありますが、利用期限が決まっていたり、サイトの使い勝手としては大手民間の看護師転職エージェントの方に軍配が上がるなどデメリットもあります。そんなナースセンターのデメリットを補うにはマイナビ看護師などの民間の看護師転職エージェントを併用しましょう。こちらはキャリアアドバイザーという専任スタッフが無期限で就業支援をしてくれますのでじっくり就業活動をしたい人にもおすすめです。まだ看護師転職エージェントの利用が未経験の人は大手から利用しましょう。