1.看護師の青年海外協力隊への応募、試験、面接

新卒で看護師として働き出し3~4年経つと、大体の業務が身に付き、仕事をする上でも気持ちにゆとりが生まれてきます。そしてこの頃は、結婚退職する人、さらに深くスキルを磨く人、転職する人、違う業界に行く人など、人生の転換を決断する人が多く、看護師としても一つの区切り目の時期になります。その中の選択肢の1つに「海外で働く」ことを考える人もいます。海外で就職する道もありますが、ここでは青年海外協力隊などのボランティアとして働くことについてご紹介します。

転職相談S美
私は都内の大学病院の小児外科に勤務している看護師(26歳)です。新卒で勤務して6年目になります。後輩指導はもちろん、学生指導も任されていて、まさに中堅と言うポジションです。同期は、3年勤務の後、結婚や引っ越しなどで退職した人が多くいました。その時は、新しい出発をする人たちがとてもうらやましかったです。自分は先の計画がなかったのでそのまま勤め続けているのですが、最近海外で看護師として働くことに興味を持ち始めました。電車の広告で「青年海外協力隊」というのを見たのですが、看護師も該当するのでしょうか。
キャリ姉
海外で働くと言ってもボランティアもあれば海外のルールで看護師免許をとる道など1つではありません。青年海外協力隊は、日本国際協力機構(JICA)のボランティア事業の1つで、発展途上国の経済や社会の復興のため、政府のODA予算で行われています。農業や漁業、教育、スポーツ、医療など様々な分野があり、その中でも看護師の要請件数は1,2位を争うほど多く、日本の看護技術は発展途上国では切実に求められている技術です。青年海外協力隊の募集は、毎年春・秋の2回あり、看護師は毎回40名ほどの要請が来ています。派遣期間は2年間です。
転職相談S美
ちょっと興味が湧いてきました。自分の技術で世界に貢献できるなんて、とてもやりがいを感じます。でも、全国で40名なんてかなり難関ではないですか?キャリアバリバリの人が来そうですね。
キャリ姉
たしかに看護師で応募する人は、モチベーションが高く「熱く」燃えている人が多く、以前はかなりの倍率だったのですが、時代の流れか最近の倍率は2~3倍くらい、2018年春募集では定員を割っています。自分の技術が要請案件に当てはまり、上手にそれをアピールすれば、合格できる確率はかなり高いですね。最新の数字では要請数47人に対して応募数は37人になっています。

また、JICAのホームページの職種別一覧に入ると要請情報検索ができます。実務経験は最低3年以上、仕事内容としては、地域病院での全般的な医療援助、母子保健、 疾病予防、患者教育の他、都市部の病院でのICU、NICU、手術室などで看護師への技術指導、看護学校での学生指導などがあります。その中で、自分の持っている技術でできそうな案件をピックアップしてみましょう。 転職相談S美さんは、小児系での経験が6年になるので、十分条件を満たしていますね。業務内容だけでなく、派遣国もよくチェックしてくださいね。せっかく働くのですから、行ってみたい国や興味のある国で働いた方が良いと思います。また、ご家族も心配するので、安全性もよく確認しましょう。

転職相談S美
応募方法はどうなりますか?
キャリ姉
まずは、ホームページにある応募書類(応募者調書・応募用紙・職種別試験解答用紙・語学力申告・問診表)を作成しウェブサイト経由で応募します。書類審査が通ると、東京都内で二次選考(面接、問診など)が行われ最終的な合否を待ちます。以前は、会場に集まって職種や語学の筆記試験がありましたが、今は応募書類に含まれているので、課題にじっくり取り組めてやりやすいと思います。そして、それを元に面接でいろいろ聞かれるので、自分のビジョンをしっかり構築しておく必要があります。
転職相談S美
面接ではどんなことを聞かれますか?
キャリ姉
実務経験について、仕事でどんな医療機械を使っていたか(呼吸器や保育器など)、なぜボランティアに行きたいのか、どんな活動がしたいかなどを聞かれます。求められる人物像は、積極的で肯定的な思考の持ち主、協調性と公益性を備えた人物です。今の職場を辞めたい、自分を試してみたい、単に海外に行きたい、などという消極的で自己中心的な動機はあったとしても、面接でうっかり口にしないようにしましょう。「自分の技術で途上国の医療発展に貢献させて頂く」のような心構えでいると、面接でのミスは減らせます。また、現職看護師の応募でよくあるのは、合格しても今の職場を退職できない、というトラブルです。面接でもボランティアに参加するに当たり、職場をどうするのか聞かれます。職場に予め現職参加(職場に籍を置いたまま参加する)ができるのか相談する、または退職した後に応募する方が確実です。
転職相談S美
そうですね。自分だけの問題でなく職場との兼ね合いもあるため、現職参加で引継ぎしやすい時期、退職しやすい時期をよく考えて、長期的に計画を立ててから応募する方が良さそうですね。その間に技術的なことや、語学の勉強も深めておかなければいけませんね。

 

2.試験合格後の準備(出国までの研修・語学の準備など)

転職相談S美
晴れて合格出来たら、出発までどんな準備が必要ですか?英語は会話程度できても現地語は全く分からないので心配です。
キャリ姉
派遣前には、合格者全員が約70日間の派遣前訓練を受けることになります。そこで現地語の語学、ボランティアとしての心構え、任地国事情、健康・安全管理などについて学び、さらにグループワークを通し、実際に現地で活動できる全般的な基礎力の習得を目指します。任地国での活動に、現地語習得は必須なので、訓練は語学講習が中心になり、かなりハードなカリキュラムで行われます。合格点に至らないと居残りで勉強させられたり、仲間同士で教え合ったり、一緒に覚えやすい教材を作ったりと、まるで学生の時のような雰囲気です。訓練は合宿形式で、5~6人で1部屋を使います。年齢も職種も違う人と交わるため、とても新鮮で刺激的です。この訓練終了後、約2週間後に任地国に赴任することになります。
転職相談S美
任地国に着いたら早速派遣先に行くのでしょうか?日本で習った現地語で、実際通じるのでしょうか?食事も食べられるか心配です。
キャリ姉
任地国についたら、首都で1ヶ月ほど現地に慣れるための研修期間があります。その間に現地人の先生に語学や、その国の文化を教えてもらいます。現地語の習得のため、研修の間は1人1人ホームステイをして、そこでも日常会話や習慣、食事のマナーなどを学びます。

私の知る看護師さんは南米に行っていましたが、食事が4回で、朝・昼・夕方の軽食(17時ごろ)・夕食(8時ごろ)、3時にはおやつもあったそうです。日本人の感覚では、軽食だけで終わりにしたいのですが、ホストファミリーが心配するので遅い時間の夕食も食べていたそうです。昼食後は「シエスタ」という長い昼休み入り、学校やオフィスなども午後は3時から開始です。これも日本人にはなれない習慣で、長く休んでまた活動というのは辛いものですね。また、南米はクリスチャンが多く、日曜日は家族揃って教会のミサに参加するそうです。その後は親戚が揃ってランチと言うのが定番で、ことごとく日本での自分の生活と違い、食事もパンかパサパサの米と肉料理ばかりで、始めは物珍しいのですがだんだんストレスにもなってきたそうです。でも、ホストファミリーが家族のように接してくれ、観光地に連れて行ってもらったり思い出も多く、ホームステイが終わる時はとても寂しかったと言います。このように現地文化になれるというのが1ヶ月の研修期間の目的で、語学学校やホームステイ、バスに乗ったり、買い物したりとほとんど現地語で過ごすので、会話はかなり上達するみたいですね。

転職相談S美
すぐに仕事ではないのですね。安心しました。ホームステイにも憧れます。
キャリ姉
ホームステイ先は、JICAが安全を考え選定した上流階級のお宅で、イメージする発展途上国の生活とはかなり違います。また、日本のちょっとした雑貨や小物は、現地の人にとても喜ばれるので、準備していくと良いみたいです。

 

3.青年海外協力隊看護師の現地での医療活動について

転職相談S美
研修期間が終わると、いよいよ派遣先での活動が始まるわけですね。現地の医療事情はどのくらいのレベルですか?日本の方が進んでいると言っても、私のように経験5~6年で教えられることがあるのでしょうか?
キャリ姉
発展途上国では、都市部は環境がある程度整っていますが、地方に行くとインフラも十分でない所が多く、衛生事情も悪いです。先述した私の知る看護師は南米の地方の病院に派遣されたんですが、都市部では大学卒業した看護師もいますが、地方の病院では専門学校で数か月学んだ看護師や経験のみで無免許で医療行為を行っている人もいたそうです。そのため、地方の看護師は「看護」という認識が低く、単に注射やバイタルを測る「医師の補助」に留まっているそうです。地方の診療所では、出産後の母親教育(沐浴や母乳についてなど)をしない、小児が肺炎で入院しても肺音チェックや点滴量の管理をしない、虫垂炎の手術後なのに腸蠕動をチェックしないなど、看護師の知識不足による観察力や看護展開力はかなり低い水準のようです。もし転職相談S美さんが地方の診療所に派遣されたら、清潔・不潔の定義、バイタルの測り方や疾患ごとのチェックポイントなど基本的なことから、小児の基礎看護について専門的に教育することができると思いますよ。それだけ日本の看護現場は成熟しているということです。医療物品などは十分でなく、注射器や針も煮沸消毒して使うレベルなので苦労はするようですが。
転職相談S美
やはり日本の看護と発展途上国の看護は大きく違うんですね。でもその差を埋めるのが青年海外協力隊の要請でもあるんですもんね。それで、実際の看護師としての活動は具体的にどのようなことをするのですか?
キャリ姉
青年海外協力隊の看護師は大きく分けると、都市部の総合病院か地方の村レベルの診療所や病院に派遣されますが、先述した私の知る看護師さんの話を紹介したいので、地方の診療所に派遣されたとしましょう(※私も数名しか青年海外協力隊の看護師さんを知らないので・・・)。この方も転職相談S美さんと同じ小児系の経験がある看護師でしたのでちょうどいいかとは思います。その方の派遣先は「村の公立診療所」で、村は3,000人ほどの規模だったそうですが、公立診療所なので保健所の役割もあり、村の地域医療からコミュニティも含めた公衆衛生まで管轄範囲はとても広かったそうです。その方が行った具体的な業務をインタビューしたので紹介しますね。

 

<業務上の改善>

・申し送りチェックリスト

日勤夜勤の交替時に入院患者の申し送りはしていましたが、物品のチェック、包交車の整理など徹底していなかったので、申し送りチェックリストを作りました。物品管理や施設のチェックも看護の範囲ということが教育できたと思います。

・包交車の整理

日本ではディスポタイプの消毒液が浸透していますが、発展途上国ではコスト面でまだまだ導入は難しく、万能ツボを使い消毒液を使っています。置く場所は決まっているのですが、他の場所に持っていったらそのままに置きっぱなし、使う時に取りに戻る、ということが多く、時間的ロスとイライラ感が目立っていました。簡単なことですが、万能ツボに消毒名と置く場所をラベリング、攝子入れにも清潔・不潔をラベリングし、無駄なく清潔に物品を管理できるようにしました。こんなことでもかなり効率が上がり、有難がられました。

・ナースコールの設置

診療所は20床ほどの入院施設もありますが、ナースコールがありませんでした。前任者がブザーまでは設置してくれましたが、どこで鳴っているのか分かりません。そこで、 青年海外協力隊のメンバーで電気関係の人に協力依頼を出し、各部屋とナースステーションをつなぎ、どこで呼んでいるのか一目でわかるようにしてもらいました。 小さい診療所といえども、手術室、分娩室もあるので、そこにも設置してもらい、ナースステーションにいる人が緊急時、駆け付けられるようにしました。さすがにマイク機能は付けられませんでしたが、呼ばれている場所が分かるだけで、かなりの時間的ロスが改善されました。

<新生児看護の指導>

・保育器の使い方/カンガルーケア

診療所では、分娩も行われます。もちろん時々未熟児も生まれてきます。そこで、前任者は保育器が必要と思い、JICAに要請をし審査が通り、村の診療所に保育器が導入されていました。しかし、前任者は小児系の経験がなく指導ができず、後任者に小児系の看護師を要請したそうです。私が派遣されてしばらくして、1,500gくらいの未熟児が生まれました。早速、保育器を使い、そこで設定方法や使用法、使用上の注意などを説明しました。吸てつ力が弱いので経管栄養を行い、バイタル測定も1時間ごと、呼吸状態をよく観察するように実践を通し指導しました。新生児用の体重計もJICAの支援で導入されていたので、毎朝測り増減をチェックし、保育器内の温度にも気を配りました。現地の看護師たちも、初めて見る保育器での未熟児管理を興味深く学習していました。医師も未熟児に対する知識は少ないので、治療は私の腕に掛かってしまいとても重圧でしたが、他の疾患がなく何週間かで元気に退院できたので、肩の荷が下りたのを思い出します。それからは、小児の専門家として一目置いてもらえるようになりました。しかし、村の診療所では、電気の供給が不安定の時もあり、保育器はあまり現実的ではありません。実際はカンガルーケアの方が実践しやすいため、保温に気を付ける、母親に任せきりにしない、看護師が観察しながら行う、などポイントを実践しながら指導しました。

・新生児チャートの作成

健康な赤ちゃんでも、出生後は状態が不安定のため、観察が必要です。特に未熟児はバイタル測定や経管栄養、排尿も頻繁なので、細かくチェックできるチャートが必要です。該当するものがなかったので、日本の記録用紙を基に、新生児用のチャートを作りました。チェックするだけなので、受け入れは良かったのですが、未熟児の場合、頻繁なバイタル測定や温度チェックなどは面倒がり、実践させるのは大変でした。必要性が理解できないと実践は無理なので、未熟児症例が少ない診療所では定着は難しいかと思いますが、未熟児看護の大まかな流れを伝えられたのは、収穫だったと思います。

・経管栄養の指導/母乳の管理法

日本では哺乳できない新生児に経管栄養を行いますが、今まで村の診療所ではやったことも見たこともないことです。保育器と一緒に経管チューブもあったので、経管栄養のやり方も伝えました。当時、村には粉ミルクが存在せず、母親の母乳を搾乳して行いましたが、その都度搾乳してもらい、夜間の分は多めに搾乳し冷蔵庫で保存しました。与える時は、人肌に温めること、温め過ぎないことなど、母乳の取り扱いについても説明しました。チューブ挿入は、誤挿入するととても危険なので、医師に手技や 哺乳量の算出法を伝え、その後も症例が出たら医師が挿入し指示を出してもらうように伝えました。私の在任中、3~4件の症例があり、看護師だけでなく医師にも未熟児医療の一環を伝えられたため、今後につながると思います。

・母親指導

出産は病気でないとは言え、母体も新生児も出産によりさまざまなリスクが生じます。しかし、村の病院では母親に何の指導なくも退院させるため、母親の知識不足で衛生面、栄養面でトラブルが生じることがたびたび見られました。赤ちゃんの沐浴をしない、オムツをしない、または取り替えない、不潔な寝具に寝させるなどは日常茶飯事で、不潔な環境で下痢や肺炎などに罹る赤ちゃんも多くいました。そのため退院前に母親に、沐浴指導、母乳の与え方、清潔なオムツや服を身に付ける、など育児の基本的なことや、不衛生による起こるリスクを説明しながら指導しました。日本のような沐浴法は、現地では行われておらず、洗面器に5cmくらいぬるま湯を入れて体を濡らす、という方法を看護師は行っていました。それも私が沐浴するように言ったので行っただけで、実際は赤ちゃんの沐浴自体していないようでした。私がたらい一杯にお湯を入れて沐浴をしたら、とても驚かれました。赤ちゃんをお湯に入れる、ということが衝撃だったようです。私の派遣先は暑い方でしたが、年中常夏ではなく夏季と雨季があり、自然の中なので朝夕は冷え込みます。さすがに、ひたひたのぬるま湯での沐浴は赤ちゃんには酷です。 文化の違いで、たっぷりのお湯に入る習慣がなく、日本式の沐浴法は現実的ではありませんでしたが、赤ちゃんを清潔にすることの必要性、沐浴する時の注意点(お湯の温度や保温など)は抑えるよう、看護師にも指導しました。その後、退院時は母親とともに沐浴指導をするのが定着しました。

・未熟児退院後の訪問指導

退院後の新生児や、特に未熟児で生まれた赤ちゃんには、訪問してフォローしていきました。 肺音など全身状態の観察のほか、母乳は飲めるのか、元気はあるか、排便についてなどを聞き、アドバイスしたり体重測定をしました。その時、母体についても問題はないか確認しました。また、多くの夫婦で、避妊を考えず夫婦生活をしていて、出産後間もないのに妊娠するケースも時折ありました。母体の回復前の妊娠はリスクにもなるため、出産後しばらくは夫婦生活を避けることを説明し理解を促したり、オギノ式で排卵の目安を説明しました。診療所は保健所の役割もあるため、避妊具やピルが国から配給されています。必要時は診療所に来るように啓蒙もしていきました。

<小児予防接種などの管理>

・地域ごとに母子カードを管理

診療所は保健所の役割を兼ねており、予防接種や衛生指導、避妊指導なども行います。子供の成長発達や予防接種に関しては、国から配給される母子カードがあり、身長・体重グラフ、成長発達、予防接種の日付などをチェックできます。退院時に2枚作り、1枚は家用、1枚は病院に保管し、予防接種の有無を確認していました。しかし、カードを作りっぱなしで管理しないため、同じ赤ちゃんが来ても以前のカードを見つけられず、新しく作ることがたびたびありました。母親がいつ予防接種をしたか覚えていれば良いですが、同じ注射を複数回させるリスクがあります。そのため、村は5つの区画に分かれているので、ファイルを作り区画ごとに整理しました。後で訪問もできるように目安になる場所(教会の横、パン屋の前など)をカードに記入しておきました。ただファイリングするだけなのですが、村にはファイルが手に入りません。そのため、都市部まで買いに行かなければならないのですが、村は都市部までバスで8時間掛かり、道路も舗装されておらず行くだけでも一苦労、日本では簡単にできることが、現地ではファイリングするだけでも大プロジェクトのようになるのです。区画ごと、名前順にファイルしただけでとても管理しやすくなりました。

・予防接種の啓蒙

診療所で出産した場合は、その場で母子カードを作り、母親にも教育し、定期的に診療所に来るように伝えるのですが、診療所の支払いも負担になるような妊婦さんは、自宅で家族が取り上げたり、診療所の看護師が別口で頼まれて自宅で取り上げたりもしていました。自宅出産の新生児は、母親の知識がないと診療所に予防接種を受けに来ません。栄養状態などもチェックできないため「どこどこで赤ちゃんが生まれた」という噂を聞きつけたら、訪問して体重測定をしたり、予防接種を実施しました。その都度、予防接種や、赤ちゃんの成長発達をチェックすることの必要性を説明し、定期的に診療所に来るように啓蒙活動もしました。

・予防接種の実施

予防接種は、診療所で行う場合、訪問して行う場合の他、周囲のコミュニティにも出向き、行っていました。派遣先の村もかなりの田舎でしたが、コミュニティはさらに1~2時間平原を車で走った所に点々と存在している凄い所です。村の人はスペイン語で会話しますが、コミュニティでは部落の言葉を使うため通訳が必要です。私のつたない言葉を聞きなれている診療所のスタッフが部落の通訳さんに伝え、通訳さんが部落の言葉に訳す、という2重通訳のような状態でしたが、みんなの協力でいつもどうにか無事に終わらせることができました。予防接種は、都市部の保健センターから時折訪問チェックが入るので、診療所でも力を入れていましたが、母子カードの管理不足や、診療所に来ない子供にはできていない状態でした。ファイルの整理や訪問や啓蒙活動で、接種率がかなり上がり成果がありました。

<他職種の協力隊メンバーとのコラボ>

先ほどのナースコールの設置もそうですが、青年海外協力隊のメンバーには多種多様の職種の人がいます。私の勤める診療所は保健所の役割もあり、歯科衛生や食事指導、衛生指導など、住民への啓蒙も大切な仕事です。自分の専門外の場合、協力要請をお願いし、互いの職場で許可されればコラボが成り立ちます。歯科衛生士に来てもらい、歯の健康や歯磨きの仕方などの指導をお願いしたり、栄養士には、健康的な食事についての講義や、病院での病院食や手術後の食事に対する指導、同じ看護師でも手術室経験者に来てもらい、手術室の管理や手術室看護について、教育してもらったりしました。同じ村に音楽教師のメンバーがいたので、病院でバイオリンコンサートを開いてもらったりと、メンバー同士協力すると、できることが大幅に広がり、有益な活動ができます。

 

キャリ姉
長くなりましたが、上記のように様々な看護活動を青年海外協力隊では行います。
転職相談S美
自分のアイデア次第でいろいろな活動ができるのですね。 ところで、必要物品などの費用は、誰が出すのですか?
キャリ姉
都市部のJICA事務所には、ボランティアを支援する日本人コーディネーターが在住しています。その人に相談して、必要と認められれば予算を出してもらえます。

 

4.青年海外協力隊看護師の現地での生活事情について

転職相談S美
仕事の面は上記の話でだいぶイメージが湧きました。あと気になるのは現地での生活ですが、気候も文化も違う場所での適応はうまくできるのか不安ですね。。
キャリ姉
もちろんはじめは大変だと思いますよ。まず言葉が通じない、日本人は幼くみられるので年下扱いされる、職場でも何ができるのか不安、食べ物が合わないなどなど・・・特に看護師で派遣される人は「何かしなくては」と生真面目に思い詰めるタイプが多く、またプライドもあります。しかし、自分の技術を発揮できない、なかなか受け入れてもらえないという現状があり、それがストレスとなりやすいと思います。上記のインタビューした看護師さんも派遣されて半年くらいは悩んでばかりいたそうですが、半年過ぎたころから、慣れてきたのもありますが、言葉も通じ、信頼関係もできてくるので仕事もやりやすくなったそうです。
転職相談S美
やっぱり最初は大変なんですね。仕事でのストレスは、プライベートで発散したいですが、住居はどんな所に住むのですか?協力隊だと診療所で泊まり込み、なんてことになるのでしょうか!?24時間ボランティア精神でなんて・・・。一人になりたい時もあるしプライベートは確保できるのでしょうか?
キャリ姉
住居は派遣先で準備してくれ、JICAが家賃を出して借り上げてくれるので、電気や水道に不自由のない比較的良い所に住めます。インタビューした看護師さんは村の有力者の家で下宿という形だったそうです。村では一番良い家だけど、決して衛生的ではなく部屋にネズミが出たり食べ物を机に置いて朝起きたらアリが行列を作っていたり、トイレはゴキブリがいたりシャワーはお湯が出なかったりとかなり悲惨ではあったようです。その方は、その後ドイツのボランティアの人たちが住んでいた家が空きそこに引っ越してからはトイレもシャワーもあるし自炊もできるし快適だったそうです。これは地方の村の状況だと思うので、都市部の病院に派遣されれば、きれいで快適な所に住めるようですよ。
転職相談S美
食事はどうなんでしょうか?やはり肉が中心ですか?どんな食材が売っているのでしょうか?和食も食べたくなりそうですよね。
キャリ姉
これもその看護師さんの話ですが、昼食・夕食を病院の食堂で食べていて、定番は肉のスープとパサパサのご飯・硬い牛肉・生野菜をワンプレートにのせ、唐辛子を使った辛いソースをかけて食べるというものだったそうです。南米では牛肉が安く日常的に食べる肉で、豚肉は高級品だそうです。また地方歳とは言え、村でも野菜や米、調味料などは手に入り、その日に採ったバナナやパパイヤ、マンゴーなどを自分の家の前で売ったりする人もいたそうです。果物は完熟しているので、本当に美味しかったそうです。休みの日は自炊をしていたそうで、唯一同じ村に派遣されたメンバーと2人で都市部に行ったときにもらってきた貴重な日本米を食べたり、日本から持ってきたり送ってもらった日本食材で料理したり、何故か村でも醤油が売っていたので、焼きナスを食べたりしていたそうです。派遣される時は、長期保存できる日本食材を持って行く方がいいと言っていましたね。
転職相談S美
情熱を持って参加しても、やはり食事の問題は切実ですよね。テレビでよく見る田舎ののどかな風景も憧れますが現実は甘くないですよね。あ、ところで、生活費はどのように工面するのですか?
キャリ姉
青年海外協力隊のメンバーは、JICAから生活費が支給されます。現地の生活水準にあった金額みたいですね。都市部では遊ぶところもあり、ショッピングも楽しめますが、地方ではすることがないので、お金で困ることはないみたいですよ。
転職相談S美
色々と青年海外協力隊についてイメージが湧いたように思います!ありがとうございます!