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1.形成外科の特徴は?整形外科や美容外科との違いは?

「形成外科」は、その響きから整形外科などと混同されることも多いですが、形成外科は目に見える身体表面などの機能異常を修復することで、その人のQOLを向上させることを目的とする診療科です。近年では、形成外科を有する施設は増加してきており、患者数も増加の傾向にあります。そんな形成外科分野を扱う形成外科病棟では、実は他の診療科と異なり、特徴的な点が多くあります。そのため、そこで働く看護師にも形成外科ならではの専門的な知識や看護スキルが必要となります。今回はそんな形成外科病棟の特徴から、看護師が転職する際のメリット、デメリット、注意点など詳しく解説していきたいと思います。

転職相談K香
私は、総合病院の婦人科で勤務している25歳の看護師です。経験年数は3年目になります。今の職場は人間関係や、女性だけを相手にする婦人科ということでしんどい部分があって、転職を考えています。ですが、まだ看護師としての経験も少ないし、一度も転職したことがないので、転職に対して踏み切れずにいます。今までずっと婦人科しか経験がないので、他の科のこともよくわかりません。どうせなら自分の興味がある科に転職したいと思っているんですが…。実は、最近仕事の中で形成外科の治療に接する機会があり、興味を持っています。でも実習などでも形成外科は行かなかったし、実際どういう疾患や治療を行っているのかもよく知らなくて。もしよかったら、教えていただけませんか。

キャリ姉
わかりました。では、今日は形成外科についてご説明させていただきましょうか。まず、形成外科はどんな分野を対象としているか存知ですか?知っている範囲で構わないので、教えてください。
転職相談K香
うーん、婦人科で働いていると、乳がんの患者さんで形成外科の治療を受けられる方などがいましたね。あとは、熱傷や褥瘡の治療を行っていたり、皮下腫瘍などの治療をされていたりなどでしょうか。
キャリ姉
そうですね。形成外科はそういった分野の治療も行っています。ですが、それだけではなく、もっと幅広い分野に細分化され、専門的な治療が行われているんですよ。では、形成外科がいったいどんな分野を扱う診療科なのか、分かりやすいように、よく間違われることの多い整形外科と比較してみていきましょうか。

 

—形成外科の主な疾患—
・皮膚腫瘍切除:粉瘤、脂肪腫、ほくろ、いぼなど
・皮膚・軟部組織腫瘍(悪性腫瘍、良性腫瘍、母斑、血管腫など)
・体表先天異常:頭蓋・顔面、体幹、手足の合指症や多指症
・外傷:切傷、擦過創、挫創、刺創、咬傷、顔面骨折、熱傷、切断肢・指など
・腫瘍切除後の再建(顔面・頭頸部、乳房、四肢など)
・褥瘡、術後の瘢痕、ケロイド、術後の難治性潰瘍(手術後の創感染など)
・乳がん手術後の乳房欠損 など
・美容医療

—整形外科の主な疾患—
外傷:骨折、脱臼、打撲、捻挫、切断肢再接着など
先天性疾患:斜頚、股関節脱臼、内反足など
変性疾患:変形性関節症など
脊椎疾患:腰椎椎間板ヘルニア、頸椎症、側弯症など
自己免疫疾患:リウマチなど
代謝性疾患:骨粗鬆症、痛風など

 

キャリ姉
わかりやすく言えば、形成外科は「疾患による異常を伴う身体の見た目を治療する科」で、整形外科は「身体を自分の意思で動かすための運動機能の治療をする科」ということですね。
転職相談K香
なるほど。よくわかりました。ちなみによくCMなどでもみかけるような湘南美容外科などの美容外科とはどう違うんですか?
キャリ姉
美容外科は形成外科の分野から発展したもので、いわゆる「美容整形」の手術を行います。容姿を整えることが目的で、主に、二重瞼や鼻を高くする手術、顔面や首のたるみをとるフェイスリフト、腹部や臀部の余分な脂肪をとる脂肪吸引、レーザーであざを消す手術など、機能的には何の異常もない健康な部分を治療する分野になります。これらの治療は形成外科とは違い、基本的には健康保険の適用外になります。形成外科と美容外科の違いは、形成外科は疾患(異常な状態)の治療を目的としているのに対し、美容外科は形成外科的な手法を用いて正常な状態を色んな意味で、よりよい状態へ改善することを目的としているという点ですかね。あと、一つ注意してほしいのが巷でよく耳にする「美容整形」というワードです。これは、美容外科で行われる治療を指すものであり、診療科目ではありませんので注意が必要です。
転職相談K香
なるほど。ぱっと聞くと紛らわしいですけど、形成外科、整形外科、美容外科のこの3つにははっきりとした違いがあることが分かりました。でもなんでこんなにややこしいんでしょうか。
キャリ姉
もともと医療の分野が確立されていなかった時代には、整形外科で熱傷や口唇裂の治療が行われていました。やがて「形成外科」という分野が確立されたことで、整形外科と形成外科のすみ分けが行われるようになりました。ですが、対外的に診療科として名乗ることを認められるまでの間に、形成外科や形成外科から発展した美容外科の医師たちが整形外科を名乗っていたこともあったようです。このために、現在の形成外科、整形外科、美容外科の呼称が入りまじりってしまい、勘違いされることが多くなったんだと思います。
転職相談K香
なるほど。そのような経緯があったなんて知らなかったです。では、形成外科や美容整形は他の診療科に比べて新しい科なんですね。
キャリ姉
はい。形成外科はまだ診療科として確立されて、半世紀の若い分野です。そのため、以前には形成外科の認知度も低く、設置されている病院数も少なかったんですよ。ですが、最近ではその設置されている病院数も増加傾向に転じています。「厚生労働省平成28年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」で形成外科のある一般病院の数をみると、平成27年度は1278施設だったのに対し、平成28年度には1317施設と、3.1%増加しており、これは一般病院全体のおよそ2割にあたります。この形成外科増加の背景には、形成外科の社会的ニーズが高まってきていることがうかがえます。また、同時に形成外科の医師数も増加傾向にあり、対象とする疾患も年々増えてきていることから、これからも形成外科の需要はますます高まると予想できます。
転職相談K香
形成外科が増えるとなると、そこで働く看護師も必要になってきますよね。
キャリ姉
そうですね。形成外科で働く看護師も今後需要が高まってくると思われます。ただし注意点として、形成外科を設置している施設はクリニックから個人病院、一般病院と様々ですが、一般病院の場合は大学病院や総合病院など大規模病院がほとんどです。その場合、形成外科単独の病棟は少なく整形外科や他の科との混合病棟として設置されている場合が多いので注意してください。形成外科病棟への転職を希望する際は、そういった病棟配置などもきちんと確認する必要があります。
転職相談K香
分かりました。形成外科病棟での勤務を希望する場合は、混合病棟で勤務する可能性も高いということですね。ちなみにお話を聞いて形成外科が全身幅広い分野を対象としていることは分かったんですが、具体的にはどういった疾患が多いんでしょうか?
キャリ姉
それは施設ごとに異なります。例えばがんセンターのような施設では頭頸部や乳房の再建症例が、小児病院では口唇裂・口蓋裂などの先天奇形症例が、救急センターのような施設では外傷や熱傷の症例が多いようです。また、医師によっても得意とする分野は異なりますから、自分が興味のある分野がはっきりしているなら、そのような症例の多い病院をみつけることが大事になってきますね。
転職相談K香
なるほど。形成外科といっても、施設によっては扱う症例が違うんですね。確かにそれなら事前のリサーチは必要そうです。扱う症例が変わるということは、それによって対象となる患者さんももちろん変わってくるということですよね。
キャリ姉
そうですね、症例に応じて患者の年代も変わってくるでしょう。口唇裂・口蓋裂などの先天異常のケースでは新生児から乳幼児、乳がん術後の乳房再建なら女性に限定されますし、その他の症例においては年齢性別を問わずあらゆる患者さんに起こりうるものです。形成外科では頭のてっぺんから手や足の先まで、体の表面を中心にいたるところの病気やけがを対象としています。幅広い部位を対象とするため、治療する患者の年齢も新生児、小児から青年、成人、高齢者まですべての年代に及ぶのが特徴です。
転職相談K香
なるほど。形成外科ではあらゆる年代、性別の患者さんが対象となるということですね。では、看護師もそれに応じた関わりが必要になってきますね。形成外科病棟で勤務する看護師には、様々なライフステージに応じた看護や対応できることが求められますね。

 

2.形成外科病棟の看護師の仕事内容は?1日の流れは?

転職相談K香
大まかに形成外科のことがわかってきました。私は今まで婦人科での経験しかないので、他の科の看護師の1日の流れがよくわかりません。なので、形成外科病棟では看護師が具体的にどんな風に働いているか業務内容が知りたいです。
キャリ姉
看護師といってもその業務内容は、診療科によって大きく違いますからね。わかりました。では、一例として、私の知り合いの形成病棟で働く看護師さんの日勤の1日をご紹介しましょう。

 

8:30朝礼
8:40申し送り
9:00環境整備、清潔ケア、バイタルサイン測定、オペ出し
10:00医師による創部処置の介助(病棟患者全員)、点滴
11:30看護記録、オペ迎え
12::00食事介助、セッティング
12:30昼休憩
13:20口腔ケア
14:00バイタルサイン測定、点滴、創部処置
15:00看護記録
16:00申し送り
17:00退勤
転職相談K香
これをみると、業務の中でも創部処置の時間が長いですね。
キャリ姉
そうですね。形成外科は非常に繊細な治療を行う科です。病院や医師の方針によっても違うのでしょうが、基本的に頻回な処置やガーゼ交換が多く、毎日医師が患者全員に創部処置を行うこともあるようです。そのため、看護師が処置の介助につき、必要物品の準備や素早く処置が行えるよう体位保持の補助などを行う機会が多くあるようです。また、ADLが自立している患者さんの場合はいいですが、動けない患者さんや創部の安静保持の為、体動制限がある患者さんも多く、処置の前後では搬送や移乗介助などでバタバタするそうですよ。
転職相談K香
それは忙しそうですね。患者さん全員に対して処置を行うとなると、大変そうです。
キャリ姉
そうですね。それに業務はそれだけではありません。手術日だと、1日あたりの手術件数も多く、手術時間も短いものが多いので患者さんをオペ出してはすぐ帰室する、なんてこともあるそうです。なので、手術日はオペ患者さんへの対応や創部処置などが立て込んで、あわただしい場合もあるようです。そのうえ同時に予定入院や緊急入院が入ることもあるので、業務の合間を縫ってそれらの対応もしなければなりません。
転職相談K香
そうなんですね。形成外科病棟は勝手なイメージですけど、大きな手術もなさそうだし、外科でも比較的のんびりしているのかと思っていました。
キャリ姉
確かに脳神経外科や消化器などの手術に比べれば、重篤な手術は少ないかもしれません。ですが、形成外科では手術時間が20~30分ほどの短いものから、マイクロサージャリーによる組織移植手術や頭蓋・顔面多発外傷の手術などの長時間にわたるものあり、本当に様々なんですよ。なので、同じような形成外科の病棟でも対象となる分野が違えば、そこで働く看護師の業務内容も大きく変わってしまうんです。
転職相談K香
なるほど。形成外科といっても、分野によってはそんなに大きな違いがあるんですね。実際にこうやってお話を聞けて助かりました。

 

3.形成外科病棟の看護師に転職するメリット・デメリットは?適性は?

転職相談K香
お話を聞いて、だいぶ形成外科に対して理解を深められたんですが、まだ転職に対して不安が残ります。もしよければ、形成外科病棟に転職するメリット、デメリットなどはあれば教えていただけませんか?
キャリ姉
わかりました。はじめての転職となればどうしても不安は残りますよね。では次に、私が考える形成外科病棟に転職するメリット、デメリットについてお話しさせていただきますね。

 

—形成外科病棟に看護師が転職するメリット—

①形成外科の専門的な知識やスキルを身に付けることが出来る
形成外科は診療科の中でも、その特性から非常に処置が多い科です。看護師自身が処置を行うこともありますし、医師の処置介助につく機会も多いので、必然的に形成外科の専門的な治療や知識を身に付けることが出来ます。また形成外科病棟が設置されている病院は大学病院や総合病院などの大規模病院がほとんどですので、最新鋭の専門的な治療方法を学ぶことができます。

②経験が浅い看護師でも働きやすい
形成外科病棟では、一部を除き基本的に重症度がさほど高くない患者が多いです。また、業務自体も創部処置介助や清潔ケアなどが多く、急変対応や高度な医療処置が行われることもあまりありません。もちろん緊急入院や手術などが入ればバタバタしますが、それ以外は比較的のんびりしていることが多く、さほど時間に追われずに業務をこなすことができます。これらのことから、形成外科病棟は経験が浅い看護師でも働きやすい環境と言えるでしょう。

③患者のQOLを高める関わりができる
形成外科は見た目を治療する科です。そのため、治療により得られる患者さんへの影響は計り知れません。形成外科病棟で勤務する看護師は、治療を経て自分の外見が変わっていく患者さんに寄り添い、そのQOL向上を間近で支えることで、喜びを共有することができます。そういった患者さんとのかかわりを通して、看護師としてのやりがいや達成感を得ることができます。

—形成外科病棟に看護師が転職するデメリット—

①急変対応が少なく、高度なスキルを身に付けることが出来ない
形成外科病棟では、急変対応などの機会が少なく、高度な医療を学びたいという看護師には物足りなく感じる場合があります。ただし、形成外科はその特性上、様々な診療科やリハビリテーションスタッフなどの専門職と連携しながら治療を行うことが多くあるので、形成外科に限らず、幅広い知識や技術を身に付けることが出来るのがポイントでしょう。

②患者の精神的ケアが難しい
形成外科病棟の患者は見た目の問題を抱えています。その治療は数週間から数か月単位と長期にわたるものが多く、また治療を始めてもすぐに目に見えた成果が出ることが少ないので、患者やその家族は精神的・肉体的苦痛を抱きやすい状況にあります。看護師はそんな患者や家族の苦痛に寄り添い、少しでもその負担が軽くなるように援助をしなければなりません。しかし、なかには対応が困難なケースもあり、患者の精神的ケアに悩むこと場合も数多くあります。

③体力勝負なところがある
形成外科病棟では、長時間にわたる創部処置やその介助、体動制限がある患者の清潔ケア、食事介助、排泄ケア、搬送・移乗などと、体力が必要とされる場面が多くあります。そのため、勤務する看護師は腰痛などを痛めることが多いので注意が必要です。

 

転職相談K香
なるほど。こういったメリット、デメリットがあるんですね。経験が浅い看護師でも働きやすいのは嬉しいポイントですね。腰痛などのデメリットがある点も理解しました・ちなみに、形成外科病棟で働くならどんな看護師が向いているでしょうか?
キャリ姉
そうですね。形成外科病棟で働くなら、こんな看護師さんが向いていると思います。私なりの私見なのであくまで一例ということで・・・。

 

①コミュニケーションが好きな人
形成外科病棟では、様々な年代やライフステージの患者さんが対象となるのでどんな相手でも柔軟に対応できるコミュニケーション力が必要です。患者さんも会話できる人がほとんどで、その入院も長期にわたること多いので、看護師はコミュニケーションを通して患者や家族の抱く不安や悩みをいち早くとらえ、軽減できるよう努めなければなりません。また、他の部門と協力して治療にあたることも多く、他職種との連携も必要となるので、他者とコミュニケーションをとるのが好きな人には向いている職場でしょう。

②体力に自信がある人
形成外科病棟では上記で述べたように体力が必要になる場面が多くあります。体力に自信があるなら、形成外科病棟での勤務に問題はないでしょう。

③丁寧な観察ができる人
形成外科では繊細な専門的治療が行われるため、看護師も同じように丁寧な看護が求められます。時間はかかっても、ゆっくりと丁寧な観察、看護が行える看護師に向いているでしょう。

 

転職相談K香
ありがとうございます。いろいろお話が聞けて、転職に対して前向きに考えることができそうです!ありがとうございました!

 

形成外科病棟への看護師転職のポイント

形成外科病棟へ看護師が転職する際の注意点は、同じ形成外科といっても、病院によって看護師の業務内容が大きく異なる場合があるということです。形成外科はその診療範囲が幅広く、また患部や疾患ごとに治療法が細分化されています。その内容や治療法も年々増加しており、病院によってどういった分野を扱い、どんな治療を行っているかはっきりと分かれている場合があります。そのため、その分野によっては看護師の業務内容や経験できる内容が大きく異なってしまいます。

形成外科病棟へ看護師が転職を希望する場合、まずは「自分が看護師としてどんな風に働き、どういったキャリアを歩みたいか」をよく考えてみて下さい。そして病院ごとにどういった分野の治療を行っているかを確認した上で、自分の学びたい分野と照らし合わせ、転職先を選ぶ必要があるでしょう。そこで重宝するのが「看護師転職エージェント」の存在です。マイナビ看護師などの看護師転職エージェントのキャリアアドバイザーに具体的な転職相談をすれば、看護師のみなさんの理想の看護師像をヒアリングした上で最適なキャリアアドバイスをくれますし、もちろんマッチする形成外科病棟の求人を紹介してくれます。本気で形成外科病棟へ転職したい看護師さんは看護師転職エージェントをぜひご利用下さい。