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司法精神看護に興味がある看護師も多いなか、医療観察法に基づいた病棟があることをご存知ですか?重大な他害行為を行った精神疾患患者が社会復帰のために受ける治療を提供する「医療観察法病棟」では、看護師はどのような働き方をしているのでしょうか。普段ほとんど接することのない法を犯した患者に対しての看護ケアは、より患者への理解や共感、自分の感情コントロールが必要とされることが予測できます。今回は、そんな医療観察法病棟で働く看護師の仕事を紹介します。

1.医療観察法病棟とは?人員配置基準は?

医療観察法とは「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」のことです。他害行為とは放火・強制わいせつ・殺人・傷害・強盗などをさし、医療観察法の対象となるのは、心身喪失や心身耗弱状態のため不起訴処分となったか、またま無罪や減刑といった判決を受けた人になります。そのような人に対しての治療が行われ社会復帰を促進することを目的として2005年に医療観察法病棟が設置されました。

例えば都立松沢病院のHPには病床数33床の医療観察法病棟があることが紹介されています。

医療観察法病棟の入院では、入院患者のプライバシーや人権を配慮しながらも、玄関を電気錠の二重扉にしたり、警備員を24時間体制で常駐させるなど国の基準に基づいた安全管理セキュリティが必要になります。入院患者の処遇はすべて裁判所の決定によります。入院を継続するか、退院するかなどの判断も地方裁判所の裁判官と精神科医である精神保健審判員の判断により決められています。

医療観察法病棟の人員配置基準は?

医療観察病棟の運営病床はこちらに詳細がありますが、医師は入院患者8名に対して1名、さらに病棟には常勤の精神保健指定医が1名以上配置され、看護師については、常勤看護師4名に対し入院患者の1.3倍以上の人数を加えた数が配置されていることなどが求められています。さらに臨床心理士・作業療法士・精神保健福祉士も常勤1名に入院患者5名に対して1名以上が配置されていることが決められています。

医療観察法病棟は全国どの病院にもあるわけではありません。現在(平成31年4月1日)の病床整備の状況として国関係が15医療機関の487床、都道府県関係が18医療機関の346床で、合計833床となっています。もっとも病床数が多いのが東京都の国立精神・神経医療研究センター病院の66床、次いで神奈川県の国立病院機構久里浜医療センターの50床です。さらに入院施設ではなく指定通院医療機関として全国で病院(563箇所)・診療所(74箇所)・訪問看護(416箇所)が指定されています。これまで裁判後の審判でどのくらいの人が入院・通院決定とされたのかについては、平成17年7月15日〜平成29年12月31日までの状況だと「地方裁判所の審判の終局処理人員」としてデータが出ています。

2.医療観察法病棟で行われる医療とは?入院者の人数は?

平成31年4月時点では医療観察法の入院対象者は723名(うち男性559名、女性164名)でした。疾病別としてもっとも多いのが男女ともに「統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害」となっており男性が477名、女性が133名の計610名となっています。次に多いのが「気分(感情)障害」で計40名(男性22名、女性18名)、そして「精神作用物質使用による精神および行動の障害」が計37名(男性30名、女性7名)となります(参照URL)。

医療観察法病棟では医師や看護師をはじめとして、様々な職種がチームとなり連携して働いています。医師・看護師・臨床心理士・作業療法士・精神保健福祉士などが一つのチームとなり医療観察法病棟での治療を支えています。さらに病院スタッフのほかにも院外の裁判所・厚生労働省地方厚生局・保護観察所・地域関係機関等との連携と調整をしながら犯罪の再発防止と社会復帰を促進することが医療観察法病棟の治療に関わるスタッフの特徴といえるでしょう。

医療観察保護病棟で行われる医療は、医療観察法の処遇の一つです。そのため、薬物療法を中心とした全国において標準化されたガイドラインに沿って治療が行われています。患者はそれぞれ「急性期」「回復期」「社会復帰期」ごとに目標設定を行い、入院半年ごとに地方裁判所により入院の延長が必要かの審判を受けます。入院中は入院施設により、多くの治療プログラムがあり、心理的療法・作業療法・社会復帰のリハビリなどが行われます。入院治療後、地域での生活ができると地方裁判所が判断すると、退院の審判決定を受け指定通院医療機関での治療へ移行していきます。

3.医療観察病棟で働く看護師になる方法は?現場での役割は?

医療観察病棟では、医療観察法により「医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定」を受けた対象者に対する専門的で手厚い医療・看護を行います。指定入院医療機期間での標準治療期間は1年6ヶ月とされ、そのうち急性期(3ヶ月)・回復期(9ヶ月)・社会復帰期(6ヶ月)と3つのステージに医療が分かれて考えられています。そのなかでもCPA(ケア・プログラム・アプローチ)会議やMDT(マルチディシブリナリー・チーム)会議などが設けられているのも特徴です。

  • CPA会議

社会復帰調整官や家族、病棟の関係者が集まり入院時より退院を見据えた体制作りを考えます。2〜3ヶ月に1回の割合で開催されます。

  • MDT会議

医療観察法病棟での治療に関わる多職種(医師・看護師・臨床心理技術者・作業療法士および精神保健福祉士)の支援チームによって開かられる会議です。入院対象者の治療計画を共有し、目標を達成するためのアプローチの評価や見直しを行います。週1回〜月1回の頻度で開催されます。

 

医療観察法病棟のなかでも看護師の役割は大きいといえます。患者の社会復帰を見越したケアコーディーネーターのような役割も求められているといえるでしょう。さらに、実際に看護業務では、普段あまり関わることのない法を犯した患者に対して看護を行うことの難しさがあります。患者に共感や理解を示すことができるのか、なかには病識の低い患者に対してどう理解を示すのかも問われます。ほかの精神科病棟に比べるとより緊張感があり、自分か感じる不安やストレスに対処するスキルも必要といえるでしょう。

また医療観察法病棟で働きたいと思ったら、有利になるのがやはり精神科病棟での勤務経験です。もし精神科病棟での勤務経験があったとしても、医療観察法病棟の性質上、すぐの配属は難しいかもしれません。そのときは、指定入院医療機関に指定されている病院に応募がないか、直接病院の求人情報をみたり、看護師転職サイトに登録しておくのもよいでしょう。医療観察法病棟での勤務を直接募集しているところはほとんどなく、多くが病院全体として看護師を募集しています。転職には精神科勤務経験があれば有利になりますが、まずは医療観察法病棟がある病院のほかの病棟で精神科看護の知識や経験をつむことがよいといえるでしょう。

 

医療観察法病棟の看護師になりたい方へ

医療観察法病棟は医療観察法によって、適切な医療や社会復帰の支援を必要とする「法対象者」を対象とした病棟です。とくに看護師は、法律を理解しながら、患者の障害特性や性格、背景、行動などを理解し支援を行うスキルが必要とされます。精神科看護を学ぶ場所として難しいところではありますが、司法精神科看護などより深く精神科看護を学ぶことのできる病棟ともいえるでしょう。もし求人を探したい場合はマイナビ看護師などのキャリアアドバイザーも積極的に利用しましょう。