1.看護師の退職は順番待ち?人手不足で退職しにくいケースも

高齢化社会の進展で、日本の医療と福祉の需要は急上昇しています。そのため医師や看護師、介護士が不足しており、病院や施設では人材不足が騒がれています。少しでもいい看護師を、少しでも長く雇用したい、どの医療機関でも採用と離職に頭を抱えています。しかし、そのために転職をしたくてもできない、辞めさせてもらえない看護師が増えている実情もあります。できれば揉めたくないと思うと、自分が我慢すればと考えてしまう方も多いのでしょう。自分のステップアップのためにも、円満な退職ができるように対応を考えていきましょう。

転職相談G美
今日はよろしくお願いいたします。私は看護師歴5年目で、今まで転職はしたことがありませんが、今後転職する時のために円満退職のポイントや正しい退職の手続きなどを予習させて下さい。
キャリ姉
入職時から5年も働いていれば、仕事にも職場にも慣れとても楽しくなってくる時期の人もいますし、逆に激務に耐えかねて転職したいと思い悩んでいる人もいます。転職相談G美さんは仕事で悩まれているんですか?
転職相談G美
私はおそらく前者で、今は仕事がとても楽しくなり、仕事自体は嫌ではありません。ですが、200床以下の病院で、診療科も多くありません。まだ5年目とは思いますが、できればいろんな経験を積みたいと考えています。
キャリ姉
そのように考える気持ちはよくわかります。実際にこちらのページにも解説がありますが、1つの勤務先を退職する看護師平均勤続年数は5年未満で約40%だとされています。つまり転職相談G美さんさんの年次だとそれくらいの人が実際に辞めているということです。年次で言えば5~10年目の退職者が20%と一番多く、5年目は転職を考える分岐点と言えます。看護師は一般的に3年目を終了した時点で、一人立ちと評価されることが多くありますので、5年目になると、病院、病棟での業務が一通りこなせるようになります。そのタイミングで、自分の今後を考え、転職・退職をすることが多くなります。転職相談G美さんは、例えばほかの病院でどのようなことがしたいのですか。

 

勤続年数離職率
1年未満9.3%
1~3年未満15.9%
3~5年未満12.7%
5~10年未満20.0%
10~15年未満13.0%
15~20年未満9.5%
20~25年未満8.4%
25~30年未満5.0%
30年以上5.7%
転職相談G美
私は、将来専門看護師や認定看護師として、スペシャリストになりたいと思います。看護師経験が5年あるので、自分が目指す診療科で働いて経験を積みたいと思います。ですが、毎年先輩がやめている状況で、今の状況でやめてしまって病院に迷惑をかけないのかが不安です。
キャリ姉
病院の雰囲気もありますが、暗黙の了解で順番待ちがあることは事実です。それを守らなかったばかり、先輩から嫌がらせを受けてしまった方もいると聞きます。ですが、ルール上は順番待ちというものは存在しません。自分が退職したいと決め、病院に伝えた場合、その意思を尊重しなければなりません。病院が看護師を引き止める理由は、診療報酬の7対1看護などにあります。常勤に換算した人数や勤務帯に必要な人数を確保できない場合、病院への報酬が下がってしまいます。ですが、それは病院側の理由であり、看護師が我慢することではありません。転職相談G美さんが自分の成長を考え、今後に向けた希望があるならば、退職・転職をすることが必要だと思います。

 

2.引き止めは想定しよう!引き止められたら自分の本心を確認!

転職相談G美
ありがとうございます。私もこれからのキャリアを考えたときに、できれば早く病院を移り、自分の目指す診療科で学びたいと思います。ですが、実際引き止められてしまった場合、師長や部長に説得されてしまいそうで心配です。少し押しに弱いところもあるので。
キャリ姉
師長や部長としては、5年間育ててきた看護師を手放したくはないと思います。そのため、出来限り引き止めたいと考えられると思います。そんな時に大事なのは、転職相談G美さんがどのくらい本気で転職・退職をしたいと考えているかです。師長や部長は、いろんな言葉を用いて引き止められると思います。例えば、病院内で目指すスペシャリスト領域として認定されるものであれば、部署替えができると言ってきます。また病院の制度として教育機関の費用を補助、貸付があるならば、その制度を活用するよう進めてきます。さらにシフトや給与が問題ということであれば、今後改善や調整するなどと説得してきます。もし転職・退職に対して、師長や部長が発した内容で納得できてしまうのであれば、説得に応じ在留ということでもいいわけなので、転職相談G美さんがこの病院ではなく、ほかの病院でなければいけない事情、内容を明確にし、実際聞かれたときに答えらるようにする必要があります。実際、今の病院でスペシャリストは目指せないのですか?
転職相談G美
今の病院にはスペシャリストは一人もいないのですが、目指したいスペシャリストになれる診療科はあります。ですが、できれば大きな病院で、ちゃんとした制度、教育の下で経験を積みたいと思います。
キャリ姉
同じようなスペシャリストがいないのは、気持ちとしては心配ですよね。最近少しずつスペシャリストも増え、認知されるようになってきましたが、その人材の活用方法は病院によって異なります。本来任された業務とは異なる業務や管理職を任命され、自分のしたかったことができないということも聞いたことがあります。また病院の制度上、安心して通学もできないということもひっかかっているのですね。勤めている病院では、自分のキャリアを積むには不十分であることを伝え、転職・退職の意思が伝えるようにしましょうね。

 

3.スムーズに辞めるための伝え方と準備について

転職相談G美
実際、師長や部長に対して、退職の意思をどのような内容で伝えたらいいかがわかりません。引き止めをあまりされずに辞めれて、さらに師長や部長が不快感を受けない伝え方ってあるんですか。
キャリ姉
できることならば、スムーズに転職・退職をしたいですよね。看護師が退職理由として挙げる内容は、出産、結婚などの事情が上位に来ています。逆に病院への不満は、比較的下位にあります。先ほど言ったように、病院への不満は師長や部長が説得しやすい内容になりますし、管理職の裁量で調整できてしまうので、説得されやすくなってしまいますね。なので、強い決意で辞める意思があるのであれば、説得されにくいような内容が理想ですよね。

 

看護師の退職理由ランキング

1位出産・育児22.1%
2位結婚17.7%
3位他施設への興味15.1%
4位人間関係12.8%
5位残業が多い10.5%
6位通勤が大変10.4%
7位休みがとれない10.3%
8位夜勤が辛い9.7%
9位医療事故などの責任への負担9.6%

(出典:「平成22年看護職員就業状況等実態調査結果」【厚生労働省】を加工して作成)

転職相談G美
私は押しに弱いから不安だな・・・。
キャリ姉
師長や部長が不快感を受けない退職の伝え方は、私は前向きな理由による退職が一番と思います。転職相談G美さんが思っているスペシャリストになる理由などは、これに当てはまると思います。例えば転職相談G美さんが通学したい教育機関が遠くにあり、近い病院で経験を積み、教育機関に通いたいなどは前向きな内容ですし慰留されにくいと思います。また今勤めている病院で、特定分野の経験が積めるとしても、より専門的な特定分野のある病院に移り経験を積みたいなどの理由もいいと思います。逆に給料面や教育機関の費用、通学におけるシフトなどは、師長や部長の裁量で調整できると説得をされてしまいます。またほかの看護師も同じように思っている場合、その方が通学を終えたらと、引き止められてしまう可能性があります。できるだけ師長や部長が引き止めづらく、前向きな転職・退職理由を伝えることがいいと思います。
転職相談G美
今回私は、前向きな理由があるのでいいですが、もしそのような理由がなく退職をしたい際は、どのように伝えたらいいのですか。
キャリ姉
前向きな理由がないがゆえに、病院を辞めたいと思われる方も多くいらっしゃいます。そのような場合、方法は2つあります。1つは、解釈や言葉を変換して前向きな理由にする方法です。例えば、人間関係が悪い場合は、今後指導者としてキャリアを積みたいため、他施設で教育方法について学びたいなどです。2つ目は、転職・退職と決めた理由とは違う内容を伝えることです。端的に言うと、嘘も方便ということです。例えば、家族や子供の健康状態、家族都合の引越し、自分の身体状況など。また進学やキャリアアップ、病院以外への転職などがあげられます。しかし、これらの理由が嘘とわかってしまった場合、師長や部長のみならず、勤務していた看護師に対しても不快感を与えてしまう可能性があります。2つ目の方法は、ほかに適当な方法が見つからなかった時のための手段と思ってください。
転職相談G美
せっかくお世話になった職場ですし嘘で去るのは嫌ですね。あと他にスムーズに辞めるための準備などはありますか?
キャリ姉
転職・退職理由が決まった場合、まずは就業規則を確認しましょう。雇用人数が10人以上の場合、就業規則の作成が義務付けられています。そこに退職に関する決まりごとが書いてあり、その手順に従うことが一般的です。

退職する場合には、退職願と退職届を提出します。退職願は、退職する意思を伝え上司と相談をしたいという意味を持っています。そのため、途中で撤回して退職を取り消すことができます。一方で退職届は強い意味合いがあり、退職することを届け出るため、双方の合意がなければ取り消すことはできません。また受け取る方としても、突然退職届を持ってきたら驚いてしまいます。まずは退職願を書き、相談に行きましょう。

万が一、退職願も退職届も受け取ってくれない場合、内容証明郵便という郵便を送ります。病院に到着した時点で受け取ったこととなるため、受け取り拒否を予防できます。しかし、この方法は相手に挑戦状を叩きつけるようなものなので、どうしても受け取ってくれない場合に行うようにして下さい。一応、看護師で常勤の雇用契約の場合、退職届から2週間経つと法律上は退職できます。ですが内容証明郵便同様、穏便な方法ではありませんので、就業規則や上司との相談の上退職の段取りを取りましょう。

退職が決まった場合、同じ部署の看護師へ伝えるのは上司と相談し、タイミングを選びましょう。病棟内の雰囲気が良くない場合、いやがらせやいじめを受ける可能性も0ではありません。また委員会、チーム活動、プリセプターになっている場合、その引き継ぎも準備しましょう。引継ぎが不十分であることを理由に、退職日を伸ばされてしまうこともあるため、準備は入念に行いましょう

 

4.慌てない退職準備①住居と家賃

転職相談G美
ありがとうございます。少しずつ不安が消えてきました。病院を辞めるってなかなか大変なんですね。あ、私寮に入っているんですが、それはどうしたらいいでしょうか。
キャリ姉
寮に入っている場合、借りた時の契約書又は規則を定めた書類があるので、そちらを確認しましょう。退寮までの期間や手順が書かれているので、それに従いましょう。退職をする看護師に対して、多少厳しくなる傾向にあるため、期日や手順は厳守が必要です。また新しい新居を準備しなければならず、退職の調整と並行することとなります。退職を相談して退職に至るまでに要する期間は、平均して3ヶ月~6ヶ月程度かと思います。賃貸物件は早くに決めても、入居間近でなければ抑えることができません。退職2ヶ月前から探し、退寮の1~2週間前には契約をしておきましょう。鍵の交換やハウスクリーニングある場合は、1ヶ月前に契約をする必要があるため、早めに物件は見つけ相談しておきましょう。

寮は病院所有と借り上げの賃貸物件とありますが、通常の賃貸よりかなり安くなっています。そのため、費用負担的に賃貸物件が難しいこともあります。転職先が決まっている場合は、寮や借り上げ物件について確認しましょう。働いている病院の寮から新しい病院の寮へ、直接移動が可能であれば費用はかなり抑えられます。家賃は毎月かかる費用なので、なるべく少なくしていける方がいいですね。一応下記に看護師の転職時にかかる住居関連費用の例を書きましたが、家賃の4~5ヶ月分を用意することが目安でしょう。

 

敷金家賃0~2ヶ月分。平均1ヶ月分で、最後の退去費用に充てられる。
礼金平均1ヶ月分。最近はなしの事も多く、大家さんへのお礼費用。
前家賃1ヶ月分が目安。家賃の前払いという形で支払う。
仲介手数料0.5~1ヶ月分。不動産屋の報酬で、上限1ヶ月分と決まってる。最近は仲介手数料0賃貸も多い。
火災保険1~1.5万円。紹介された保険以外に、自分で探して加入もできる。
保証料連帯保証人がいない場合に、家賃+共益費の0.5ヶ月分など。
引越し費用30,000円~。同じ地方内で、単身の場合。

 

5.慌てない退職準備②健康保険と年金

転職相談G美
あまり貯金もないですし、できれば次の寮にそのまま引っ越したいです。ほかには、健康保険や年金なんかも、入職するときに全部病院がやってくれたのでよくわからないのですが。
キャリ姉
お任せください。まず、健康保険といっても2種類あるのは知ってますか。会社などに雇用されている人が入る健康保険協会、自営の人やアルバイトの人が入る国民健康保険があります。退職する場合は、健康保険協会の保険証を病院に返し、国民健康保険に入り直します。ですが、次の転職先が決まっている場合は、退職後の翌日を入職日にすれば、国民健康保険に入りなおす必要はありません。ですが、次の転職先まで期間が空く場合は国民健康保険に入る必要があります。もし退職後に病気になってしまうと、保険証がなく、10割負担になってしまいます。

年金においては、会社に雇用されている人が入る厚生年金と、自営の人やアルバイトの人が入る国民年金があります。これも健康保険と同様で、退職日の翌日が入職日であれば、国民年金に入りなおす必要はありません。年金は、ひと月単位で受給資格に反映されるため、未加入期間を作らないほうが無難です。

国民健康保険、国民年金に加入する場合は、離職証明書や退職日を証明する書類が必要となります。両方とも加入しないことでの罰則はありませんが、遅らせるメリットはありませんので早めに申請に行くようにしてください。手続き窓口は住所地の市区役所または町村役場で、提出期限は退職日の翌日から14日以内と決められています。年金手帳または基礎年金番号通知書などは必要ですので役所に確認しましょう。

 

6.慌てない退職準備③失業保険

転職相談G美
あまり気にしていなかったですが、健康保険や年金っていろんな申請が必要なんですね。少しめんどくさいと思っても、自分に不利になることもあるので、しっかり準備します。以前同僚が退職したときに、失業保険をもらって転職先を見つけると言ってましたが、私も失業保険は使えますか?
キャリ姉
もちろんです。失業保険は、雇用保険の基本手当のことを指します。退職をされて、次の就職先が決まるまでの繋ぎとなる手当です。失業保険は通常、会社都合と自己都合の退職によって異なります。会社都合とは本人が辞めたいと希望していないのにやめなければならない状況、会社の倒産、事業所移転による通勤困難、一方的な解雇、パワハラやセクハラなどの理由で退職する場合を指します。逆にこれ以外の、自分から退職を申し出たものは、自己都合による退職になります。失業保険は、退職後の次の就職までの繋ぎであるため、必ず求職をしていることが必要になります。ハローワークに必要書類を持参し、申請を行うことで失業保険がもらえるようになります。手順としては、ざっくりですが以下のようになります。

 

1. 必要書類の準備
離職票、身元確認書類(免許証等)、証明写真、印鑑、失業保険を受け取るための預金通帳
※離職票は勤めていた会社から発行されますが、会社によっては申請しなければ発行しないこともあります。手元にない場合は、必ず会社に確認し発行してもらいましょう。

2. ハローワークで手続き
住所を管轄しているハローワークに、必要書類を持参します。その際に、求職申し込みを行う必要があります。あくまで次に就職をするまでの繋ぎであるため、必ず申し込みをしてください。

3. 雇用保険説明会
指定された日時に、雇用保険説明会に参加します。雇用保険を受給するための説明会になり、いつから支給されるかわかる失業認定日がわかります。

4. 失業認定日にハローワークへ
失業認定日にハローワークで失業認定書をだし、失業の認定を受けます。失業手当は、月に2回以上求職活動が必要になります。

5. 受給
失業認定日から数日で指定の口座に振り込まれます。また1ヶ月に一度失業認定を受ける必要あるので、ハローワークの職員としっかり話し合いを行っておきましょう。

 

キャリ姉
ただし、失業保険には注意しなければいけないことがあります。それは、受給待機期間があることです。一律7日間の受給待機期間があった後に、自己都合の方は3ヶ月の受給待機期間があるのです。要するに100日近い間、まったくお金が入ってこないことになります。自己都合の場合、失業保険を受け取らず新しい職場に行く方も多くいます。転職相談G美さんの場合は、受け取らない選択もありだと、私は思います。
転職相談G美
これだけ受給待機期間があると、無理をしてもらうことはないのかもしれません。これから働きたいところややりたいことが決まってれば、立ち止まってるのももったいないですし。よし、さっそく病院探しをします。

 

看護師が円満退職して新天地に羽ばたく方法!

人材不足の医療機関が多いこともあり、看護師の退職は激しい引き止めに合うことも少なくありません。引き止めを想定した上で、上司が引き止めにくい前向きな退職理由を伝えることはもちろんですが、せっかくお世話になった職場ですので一方的な意見をぶつけて退職するのではなく、双方が納得した上で送り出してもらえるような円満な関係の中で退職するようにしましょう。

自分だけで円満退職をする自信がない人はナースフルなどの転職エージェントに相談するのも有効です。転職エージェントは、多くの求人情報を持っているだけでなく、看護師の退職の揉め事のケースも多く見てきているので個々の環境に応じて最適なアドバイスをくれます。第三者的に意見をもらえるのは重宝するものです。また転職エージェントを使うことで次の職場探しもスムーズになり、転職面接の日程調整や給料交渉などを代行くれることなどもあり、普通に看護師として仕事をしている間に、プロが求人を探してきてくれて、あとは面接だけというスムーズな状況を作ることが可能です!