★CRA(臨床開発モニター)の仕事内容って?
市場に出回っているお薬はすべて、治験(実際に被験者に投与した結果を回収・分析し、安全性や効果を証明する試験)を経たものとなっています。治験には治験担当医師の他、看護師・薬剤師・事務・被験者など多くの人が関わっているので、治験がプロトコル通りに実施されているのかをモニタリングしたり、それぞれの部門がしっかりと連携できるように立ち回るスタッフが必要となるのです。CRAはこの一連の流れの中で、製薬会社の依頼を受けて治験実施機関への橋渡しを行う役割を担います。また治験がスタートした後は、医療機関を訪れて治験がプロトコル通りに進められているかを観察します。CRAの役割をわかりやすくまとめると「治験概要の説明を治験担当医師に説明する」「治験のモニタリング」「治験に使用する薬の搬送・回収」「効果や副作用の確認(医師に聞き取り調査を実施)」「データの回収」が主な業務となります。
★CRAが活躍する場所とは?
先ほど少し説明した通り、CRAは製薬会社の依頼を受けて治験のモニタリングを行います。そのため、CRAは製薬会社側の立場で治験のサポート業務を請け負うCRO(医薬品開発業務受託機関)で活躍します。CRCがSMO(治験施設支援機関)を中心に活躍し、被験者のメンタルケアなどに重きを置く仕事であるのに対し、CRAは製薬会社のサポートをすることで新薬の開発に携わることになるという特徴を持ちます。
★CRAになるために必要なスキルとは?
看護師からCRAを目指す場合、臨床経験が3年以上あれば採用に有利になります。カルテの読解やドクターをはじめとする医療従事者との円滑なコミュニケーション能力が強みとなるので、医療分野の知識が豊富な看護師にとっては比較的転職しやすい分野となっています。入社後はビジネスマナー研修やパソコンの取り扱いから始まり、様々な研修が充実しています。看護師の場合、ほとんどの人が病院勤務の経験しかない為、企業で働くための研修に力が入っています。CRCと同様に、看護師経験が長ければ長いほどCRAになるのに有利になるワケではありません。企業の風土になじんだり、仕事を積極的に覚えていく姿勢がある人が歓迎される傾向があります。また、CRAは外勤と内勤が半々になるほど外出が多い仕事となります。それほど人に接する機会が多い仕事ということで、接遇マナーや身だしなみに注意を払える人でなければ務まりません。
★CRAとCRC、自分が向いているのはどっち?
CRAとCRCはどちらも新薬の開発に関わる仕事ですが、CRAは製薬会社よりの立場から、そしてCRCは被験者や治験実施現場の立場から治験業務に携わるという違いがあります。そのため「将来的に新薬の開発に積極的に関わりたい」「語学力をつけて安全管理業務にも関わりたい」「パソコン処理能力をつけたい」という人にはCRAが向いていると言えます。CRCと違ってCRAは看護師や薬剤師の免許を持たない理系出身者が仕事仲間となることも多く、人的環境の面でも刺激を受けられるメリットがあります。一方CRCはCRAよりも実際に被験者に関わる場面が多くなります。治験はインフォームドコンセントがあって初めて成り立つものなので、被験者の不安や疑問を、専門的な知識を持ってサポートする存在が必要となります。「人の役に立ちたい」「治験に関する不安を少しでも和らげたい」「現場で治験がスムーズに進むように動きたい」という人にはCRCの方が向いていると言えます。
★CRAは女性でも続けやすい?
CRAは外出や出張が多い職業ですが、看護師のように夜勤やほぼ毎日残業という状況はありません。結婚後もパートナーや実家の協力さえあれば続けることが出来ます。年俸は350万円~400万円台が相場ですが、身体介護のような重労働はありませんし、女性だけの職場特有の雰囲気もありません。企業人として高いモチベーションを持つ人達と肩を並べて働く方が性に合っているという人には最適の環境です。病院よりも産休・育休後に復帰する人が多いのも、企業ならではの福利厚生が充実しているからだと考えられます。中には結婚と同時にCRAに転職し、しばらくは実績を作ることに集中して、職場の信用が出来てから妊娠するという計画的な人もいます。「妊娠・結婚したらとりあえず辞める」という臨床の現場よりも、長期的な目線で自分のキャリア形成をしたいと考える人が多いのも、企業の特徴です。
★好条件のCRA求人をゲットする方法とは?
企業求人に応募するには、病院への転職とは違ったポイントに注意を払う必要があります。何から始めていいのかわからないという人はマイナビ看護師などの転職支援会社に登録するところからスタートしましょう。特にマイナビ看護師などは大手企業が運営母体となっているので、その信頼度から好条件のCRA求人が多く集まっていると定評があります。