この記事に興味を持ったみなさんは、産業看護師にどんなイメージがありますか?「定時で終われる」「夜勤がないから給与が安い」「デスクワーク」「福利厚生が整っている」「保健師しか募集がない」「東京や大阪など都会に求人が多い」「新卒など未経験ではなれない」など様々思い浮かんだと思います。実際、産業看護師に転職するのは難しいのでしょうか。今回の記事では転職のコツや求人情報、探し方、新卒でもなれるかの考察などについて紹介していこうと思います。
1.「産業看護師」「産業保健師」とは?看護師資格のみで企業で働ける?
実は企業には「保健師」や「看護師」を設置する義務はありません。というのも、厚生労働省が企業に求める基準では従業員の数に対して、医師を設置するという義務しかないのです。こちらの記載によれば「労働者数50〜3000人→医師1名以上選任」「労働者数3001人以上→医師2名以上選任」とあります。しかし、現実問題、企業に専任している医師は少なく嘱託や外勤として設置されていることがほとんどです。その代わりや連絡役として看護師・保健師を企業が常勤として雇用するのが「産業看護師」「産業保健師」の存在です。
企業から実際に出ている応募を見ると、保健師資格が必要な場合もありますし、一方で保健師でなければならないという決まりはありませんから看護師資格のみで応募できるところもあります。保健師として働く場合は「産業保健師」、看護師として働く場合は「産業看護師」と呼ばれることになりますが、業務内容としては共に社員の健康維持に関する業務なので「産業看護職」に携わるという意味で違いはありません。職場によっては、産業看護師がAの仕事、産業保健師がBの仕事(例えばメンタル面とフィジカル面を分けたり)というケースもあるようですが多くの職場では同じような仕事になります。
2.産業看護師の求人を転職サイトで検索してみた
産業看護師の求人情報は看護師求人情報の中でも特殊な求人情報です。様々な転職サイトで検索のしやすさや求人数などを比較していきたいと思います。
実は、産業看護師はまだまだ発展途上な職種です。産業看護師のみを特集しているサイトは数少ないのが現状です。求人サイトを見てみても「企業・産業」という特集なら容易に検索することができますが、この特集には企業に所属する看護師全般(コールセンターや企業保育園看護師、治験コーディネーターなど)もどうしても含まれてしまいます。ですのでここでは求人数の多い大手サイトから、産業看護師限定で検索できるサイトも含めて紹介していきます。
例1)マイナビ看護師でみる産業看護師の求人
転職サイトのマイナビ看護師では「一般企業」という詳細検索機能が整っていました。上述の通り産業看護師限定ではなくコールセンターやCROなども入ってきますが、一応大手サイトということで紹介していきます。まず「一般企業」「看護師免許」という項目で絞ると、142件の求人結果が出てきました(参照URL)。
もちろん産業看護師もこのなかに含まれますが、医療機器の営業やコールセンターなどの求人もチラホラ混ざっており、「産業看護師」の求人であると明記しているのは20件前後という結果になりました。そのほとんどは東京、東京や千葉や神奈川などの首都圏、名古屋や大阪などの政令指定都市で数件、まれに滋賀、愛媛、静岡など地方求人もありました。新卒でなれそうな求人は公開求人の中にはなさそうでした。
例2)ナースフルでみる産業看護師の求人
リクルート運営のナースフルでは「産業保健師」という詳細検索がありましたので、そちらを見てみましょう(参照URL)。
10件の看護師求人が出て来てP&G(兵庫)や三菱電機(東京)などが出てきます。産業保健師という詳細ワードなのでマイナビ看護師の求人のように他の職種混在ではないですが正看護師資格のみでもチャレンジできる求人も掲載されていて競争率は高いかもしれません。
例3)アポプラスでみる産業看護師の求人
さらに、知名度は高くない転職サイトですがアポプラスという転職サイトがあります。この転職サイトは「産業看護師」という詳細検索項目があるのが珍しく、さらにアポプラス独占求人として産業看護師の求人を取り扱っているものもあります。他の求人サイトでは探すだけで一手間かかるところが、どの都道府県にどれだけ産業看護師の求人があるのかスムーズに検索に入れるのは使いやすいポイントですね。ちなみに、日本全国では118件、東京(23区内)で検索すると産業看護師の公開求人は18件ありました(参考URL)。
しかし、このアポプラスは保健師資格がある方に対しての産業看護師求人の公開が多いのが注意点です。看護師免許しか取得していない方は募集要項を必ず確認することが必要ですね。
総括すると産業看護師に求人に強い転職サイトは?
やはり保健師資格を所有しているならアポプラスが求人数が豊富です。看護師免許のみでチャレンジする場合はこれといって秀でて強みを持っている会社はないようなので非公開求人狙いで大手転職エージェントに複数登録する方がいいかもしれません(企業によって募集を依頼する転職サイトは異なるので複数個の会社に登録して同時進行で探すのは有効)。
3.新卒でもなれる!?より有利に産業看護師になるための資格など
ここでは新卒でも産業看護師になれるのかという点について考察していきます。上記で紹介した転職サイト「アポプラス」が一番検索しやすいので利用しながら解説します。公開求人だけを見ているとやはり保健師の資格があった方が勤務しやすくはありそうです。試しに「未経験+産業看護師+東京都(23区内)」に絞ると4件求人がヒットしました(いずれも要保健師資格)。
そもそも求人数も少ない分野になってくるので、新卒での産業看護師への就職は容易ではないことは想像つくと思います。しかし、可能性はゼロではないということが判明しましたので根気よく求人を探し、熱意を伝えていくことが採用の鍵となるでしょう。
産業看護師に新卒でなる場合に「保健師資格があった方がいい」というのは事実かと思いますが、その他にも資格はあるに越したことはありません。実際に複数名からの応募があった時に選定基準となるのは資格、経歴などになるでしょう。新卒の場合は経歴はないわけなので資格が重要です。新卒の方は経歴の部分はどうすることもできませんが資格を取得することは今からでも可能です。取得が産業看護師としての採用に有利に働く資格はどんなものがあるのかいくつか紹介していきます。
産業カウンセラーカウンセラーにもいろいろな種類がありますが、会社で働く人の精神状態に特化したカウンセリング力を身につける資格です。産業カウンセラーという名前の通り、産業看護師が取得すると職場で必ず役に立つ資格ですね。
メンタルヘルスカウンセラー
個人の悩みを相談・解決していく心理カウンセラーとは少し異なり、企業と関わる個人の悩みを解決することを手助けすることのできる資格です。
衛生管理者
職場の衛生管理や疾病予防に関する業務についての資格です。
産業看護師(産業保健師)と言えば企業などの医務室や健康管理、健康診断の斡旋という業務がメインですが仕事に疲労を抱えていたり、人間関係がうまくいかないなど心療的な内容の相談も少なくなくありません。やはりカウンセリング力だったり相手の心理を読み取る力などが必要です。例えば卒業までにまだ時間がある新卒の方などは資格取得にぜひ、チャレンジしてみてください。
基本的に産業看護師として企業で勤務する場合には、「属している会社の福利厚生」に従うことになります。給与基準に関しては看護職として働いていない方々とは異なってくるのは当然ですが「有給・週休・手当て」などに関しては同一の就業規則が基準となります。なので土日祝の固定給や日勤常勤などの規則正しい勤務形態で働くことができるようになります。二交代の病院勤務に疲れた方やOLライクな生活を送りたい谷はお勧めです。
またもし本当に産業看護師になりたい場合はエリアの問題も認識しておきましょう。地域別の求人を比較をしてみるとわかりますがやはり東京や大阪での産業看護師求人が圧倒的に多いのが実態です。なぜなら企業の中でも大きい支社、もしくは本社を設立している場所が東京や大阪に多いからです。従業員の数も必然的に多くなるため産業看護師を配置するという流れですね。公開求人では東京(首都圏)が最も多く、ついで大阪となっています。
東京・大阪などへの引っ越しも検討するくらいの意気込みで、心理系資格もどんどん取得するくらいの意気込みがあれば産業看護師・産業保健師になるのも夢ではないかもしれません。マイナビ看護師などを利用しながら賢く求人を探しましょう。