「有償ボランティア」という言葉をご存知でしょうか?「ボランティア」という言葉に「有償」というお金のキーワードがつくと違和感がありますが、有償ボランティアとは完全なボランティアとは違って活動費用や移動費などの実費+一部謝礼金で活動するボランティアのことです。看護師の中には医療資格を活かした有償ボランティアに挑戦する人もいます。今回は、有償ボランティアとして障がいのある方とLIVEへ同行するという経験をした看護師の方に仕事内容や実際の体験談をインタビューしてきましたのでご紹介します。
1.障がいのある方とLIVEへ同行!有償ボランティアに挑戦
性別 | 女性 |
年齢(有償ボランティア経験時) | 36歳 |
現在の職場 | 都内の訪問看護ステーション(正社員) |
業務 | 障がいのある方とLIVEへ同行 |
使った転職エージェント | なし。有償ボランティア団体へ登録したら紹介を受けた。 |
キャリ姉
有償ボランティア、しかも「障がいのある方とLIVEへ同行」。初めてのエピソードですので有償ボランティアの内容について詳しく教えて下さい。
有償ボランティア経験者A子
有償ボランティアといっても色々あると思いますが私の経験談をお話しますね。
障がいを持つ方の日常は色々な制限を受けます。特に車椅子生活の方は外出の機会が減りますし、外出を様々な理由で気兼ねしている現状があります。ガイドヘルパーなどに付き添ってもらうという方法もありますが、外出先で体調が急変したら等の不安も大きく、看護師に付き添って欲しいという利用者が多いと聞き、有償ボランティア団体に登録していたところ、大型フェスへの付き添いを依頼されました。
まず、病状を把握し主治医の許可が下りているか確認してもらいます。外出用車椅子をレンタルしておいてくださるよう利用者へお願いしました(ヘルパー事業所から借りたそうです)。次に交通手段の打ち合わせを利用者と行いました。新幹線席の手配と乗り継ぎを調べ、乗降時にスロープを出してもらえるか駅に確認しました。同行当日は、身支度の準備を手伝い、電車移動です。乗り継ぎは、乗車前に駅員へ車椅子ユーザーであることを伝えておくと、降り口で待っていてくれてスロープをかけてくれたのでスムーズでした。会場では車椅子席の手続き後、グッズ購入介助、食事(屋台)購入介助や後片付け済ませ、車椅子席で一緒にフェスを観覧しました。会場でのトイレ誘導も行いました。フェス終了後の混雑をさけ、打ち合わせ通り早めに切り上げて帰路につきました。帰宅時の後始末や食事のセッティングなど就寝できるよう整えて支援終了しました。
キャリ姉
有償ボランティアと言っても付き添い業務のような感じですね。でも万一体調不良の時は看護師の資格がいきるんですね。有償ボランティアを通して得られることもあったのでは?
有償ボランティア経験者A子
私は在宅看護に携わっています。障がい者の方も、独居で生活している方も多い現状も知っています。以前は、付き添い支援などの余暇活動は看護師がする事ではないという考えがありましたが、看護師は医療面と生活面の両方を支援できるから安心という意見を聞くようになり、看護師資格(知識と経験)を生かした支援の需要を実感しました。今回の支援を通して、利用者の楽しむ姿を間近でみて、障がい者の余暇活動が特別なことではない社会にしていきたいと思うようになりました。
キャリ姉
看護師としての障がい者の方への関わりが学べたわけですね。今回の業務に関して大変だったことは?
有償ボランティア経験者A子
利用者と初対面なので、病状把握がきちんとできるか・不慮の事態の対応方法など心配もありました。不測の事態に関してはいろいろと想定して、病院が近くにあるかや緊急連絡先なども入念に打ち合わせし備えるところが大変かなと思います。当日のみの保険も加入しました。職場の上司の許可を取って、終了時は報告書を提出しました。今は副業が認められる時代ですが、上司はまだまだ副業については難色を示しておりましたので許可を頂くのが苦労したところです。