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看護師の方なら看護師の資格を取得するうえで、今まで看護教員とは必ず接した経験があるはずです。現在、高校や専門学校、大学など看護教員として活躍できる場は数多くあります。特に看護師不足が深刻な問題となっている近年では、看護大学や看護学部の新設・定員増が相次いでおり、看護師を育成する看護教員の需要は年々増してきている現状があります。しかし、そんな看護教員ですが、実際にどんな仕事なのか詳しく知っていますか?看護教員は看護師を育てる仕事です。その仕事内容は看護師とは全く異なることから、看護教員として働くためには、仕事内容やその特徴を押さえておく必要があります。ここでは看護教員の仕事内容や看護教員になる方法、そのメリット、デメリットまで詳しく解説していきます。

1.看護教員の仕事内容とは?活躍の場は?

転職相談R子
私は総合病院の小児科に勤務する看護師です。経験年数は5年目になります。4年制の看護大学を出て看護師の資格を取得し、今の病院に就職しました。看護師として今働いていますが、正直やりがいはあるものの大変で、しんどさばかり感じています。そこで、以前から興味のあった看護教員について転職を考えているんですが、分からないことが多くて、このまま転職してよいのか迷っています。今日は看護教員の仕事内容などについて色々教えていただきたいです。
キャリ姉
看護教員とは、簡単にいえば「未来の看護師の育成」が仕事です。看護師学校養成所において、正看護師や准看護師の資格取得を目指す人に対し、看護師になるのに必要な知識や技術を教えます。R子さんも、大学で看護教員に指導された経験があると思うので、大体イメージはつくんじゃないでしょうか。

看護教員といっても、教育機関によってその内容は大きく異なってきます。例として、簡単に看護教員の仕事内容の例を職場別に2つ挙げさせていただきますね。

 

例:4年制大学の助手の業務
・授業の補助(資料作成の補助・印刷・配布、使用教室の準備、講義中の補助)
・演習(演習資料作成の補助・印刷・配布、演習中の補助、学生指導)
・実習(実習資料作成の補助・印刷、実習施設との連携調整)
・実習室の管理
・学科会議の参加と議事録作成
・委員会業務
・学生サポート例:専門学校の教員の業務
・各看護学の講義、演習、実習の指導案作成
・講義、演習、実習の指導実践・評価
・教材・教具の補充や改善
・学会参加
・委員会業務
・生徒指導

 

転職相談R子
丁寧にありがとうございます。ある程度は看護教員がどういう仕事なのかは理解しているつもりです。看護教員は看護師を育成する教育機関で勤務するわけですが、「看護師学校養成所」という言葉についてもう少し詳しくお願いします。
キャリ姉
我が国の看護師養成制度は、主に看護系大学、養成3年または2年の看護専門学校・専修学校、短期大学、専攻科を設置した5年一貫課程の高等学校教育に分けられており、看護師学校養成所とはこれらの教育機関のことを指します。看護師学校養成所には多様な教育形態があるのが特徴で、正看護師、准看護師それぞれ取得できる資格も異なります。

 

【正看護師資格を取得できる看護師学校養成所】
・4年制大学
・養成期間3年の短期大学、専門学校・専修学校などの養成所
・養成期間2年の短期大学、専門学校・専修学校などの養成所
・5年一貫教育校(高校・高校専攻科)

【准看護師資格を取得できる看護師学校養成所】
・准看護師養成所
・高校

 

キャリ姉
厚生労働省の平成25年度のデータによると、正看護師資格を取得できる看護師学校養成所のうち、4年制大学校は全国で213校(全体の約29%)、養成期間3年の短期大学、養成所は555校(全体の約46%)、養成期間2年の短期大学、養成所は193校(全体の約19%)、5年一貫教育校(高校・高校専攻科)は77校(全体の約7%)となっており、准看護師を取得できる准看護師養成所・高校は243校となっています(参考:厚生労働省看護職員の現状と推移)。

これらの中でも、もっとも注目してほしいのが4年制大学です。4年制大学は、近年その数が著しく増加しており、平成3年にはわずか全国で11校だったのに対し、平成30年度にはなんと約24倍の263校に増えています。(参考:平成30年度一般社団法人日本看護系大学協議会定時総会「看護系大学の現状と課題」)

看護系大学・学部が増えた背景には、平成4年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に看護系大学・大学院の設備充実が盛り込まれたことが主な理由として挙げられます。また、近年に不況のなか就職難で安定さが魅力である資格を取得できる学部が人気を集めましたが、看護学科はその代表格です。国家試験の合格率も高く、就職難の中安定した就職率を誇っており人気が集まっていることも理由の一つと言えるでしょう。

ただし、4年制大学が増加しその入学数も増えたといっても、看護師学校養成所別の入学定員数をみれば看護師養成で大半を占めているのは専門学校・専修学校です。看護師になるための専門学校・専修学校の通常養成課程は3年間であり、4年制の大学と比べて1年短いこと、また卒業時に取得できる資格が看護師国家試験に限れば大学と変わらないことや学費の面などで私立だと大学より専門学校・専修学校が安いことなどが理由で、いまだ根強いニーズがあるようですね。

転職相談R子
確かに、一緒に働いている同僚の中にも専門学校・専修学校卒業の看護師は多いですからね。なるほど。お話を聞いて看護師学校養成所の現状について理解できました。看護教員になる場合の職場の事例もわかりました。

 

2.看護教員になるには臨床経験はどれくらい必要?

転職相談R子
看護教員の業務はやっぱり大変そうですが、看護師の後輩を育てるという点には魅力を感じますね。あ、でも看護教員になるには、やっぱり看護師としての臨床経験が相応必要になるんでしょうか?私はまだ経験年数が5年で、看護教員として指導するにはまだまだ未熟なのではないかと感じているんです。
キャリ姉
確かに指導するうえで、看護師として現場で働いた経験や知識は大いに役立つと思います。特に看護教員は、臨床現場での実習や演習などがありますから、看護師としての臨床経験が長ければ長いほど学生に対して適切な指導を行えるかもしれません。ですが、看護教員になるには、必ずしも看護師としての臨床経験が必須というわけではないようです。なかには新卒でそのまま看護教員として働いている先生だっていらっしゃいます。

看護協会のデータをみると、現場で働く看護教員の臨床経験年数は5~10年未満が全体の44.8%とほぼ半数を占めており、次いで10~15年未満が19.2%、3~5年未満が18.3%となっています。ちょうどR子さんくらいの臨床経験年数を持った看護教員が多いということがわかりますね。

転職相談R子
本当ですね。私くらいの臨床経験で、看護教員として活躍されている方が多いということが分かって安心しました。
キャリ姉
ただし看護教員になるにはそれぞれの教育機関によって、最低限必要とされる経験年数があります。自分が働きたいと思う教育機関の看護教員になる要件を確認し、自分がその要件を満たしているのか確認しておく必要があるでしょう。あと以下は看護師6年目で病院から看護教員へ転職した知り合いの看護師の転職体験談なので併せてご紹介しておきます。

 

私は看護師経験6年目で総合病院に勤務していた時に、知り合いの看護教員の先生から誘っていただいて、高校の看護教員に転職しました。最初は授業もしたことがなかったし、経験年数もそんなにない中どう生徒に指導していいかわかりませんでした。でも、先輩の先生がたの授業や指導を参考にしながら、生徒に指導したところ、看護師とは違うやりがいを感じてとても楽しくなりました。特に実習などを通して生徒が成長していく姿にはとても感動しましたし、自分の指導した生徒が国家試験に合格した時は喜びを感じました。仕事自体も、忙しい時期は残業することもありますが、基本的にカレンダー通りの休みなので、他の仕事をしている友達や家族と予定を合わせやすく、プライベートと両立できているので満足です。ただ、生徒や保護者と学校外で会うこともあるので、その点は気まずい場合もありますが、それでも先生と慕ってくれる生徒たちは可愛いですし、看護教員になってよかったと思う瞬間です。

3.看護教員に転職するメリット・デメリットは?

転職相談R子
看護師が臨床現場を離れて看護教員に転職するメリット・デメリットもお聞きしたいです。
キャリ姉
私が思う看護教員になるメリット、デメリットについては以下のようなものがあります。

 

看護教員に転職するメリット

・夜勤がなく、安定した休みがある

看護教員のメリットとして、看護師と違い夜勤がなくカレンダー通りの安定した休みがあることが挙げられます。その分夜勤手当などが得られず給料は下がるかもしれませんが、プライベートと両立して働きやすい点は大きな利点と言えるでしょう。

・後輩を育てられることにやりがいを感じられる

未来の看護師を育成することは、看護教員にとって大きなやりがいを得られます。特に、看護師の国家試験に合格し、卒業していく生徒たちの姿は何度体験しても大きな感動を得られるようです。また、授業や実習などを通して成長していく生徒たちとともに、看護教員も成長し、ともに喜びを共有することができます。

・新しい知識や技術を学べる

近年医療技術はどんどん進歩しており、看護教員は看護師を育成する立場として常に新しいスキルや知識を学び続けることが求められます。看護研究を行ったり、講習や研修への参加の機会が得られたり、そういった自己研鑽することができる環境も看護教員になるメリットの1つと言えるでしょう。

 

看護教員に転職するデメリット

・残業があり、平日は休むことが出来ない

看護教員はデスクワークだけでなく、授業や実習、指導などその業務内容は多岐に渡ります。時期によっては残業なども多く、稀にですが休みの日にも出勤することもあります。 また、基本的に平日は簡単に休むことができないのも、デメリットと言えるでしょう。

・教育者としての責任が大きい

看護教員は生徒に対して常に大きな責任を持ち、指導にあたらなければなりません。生徒といっても様々な生徒がいますから、ひとりひとりに向き合い、その個性を尊重して向き合った教育を行う必要があります。

・生徒指導や実習指導などに悩む場合がある

看護教員は普通の教員と違い、ただ単に授業をするだけでなく、その実習についていき指導する必要もあります。特に実習で生徒は様々な事例と向き合い、悩み苦しむことになります。そんな生徒を支え、導くことは並大抵ではなく、看護教員としての知識や経験、技術が必要となります。しかし、なかには難しいケースもあり、看護教員としてどう指導すべきか悩むことも少なくありません。

 

転職相談R子
メリット、デメリットともに知ることが出来てよかったです。いろいろと教えていただいて、看護教員に対して理解を深めることができました。今回聞いたことを参考に、自分がどういった看護教員になりたいか、あらためて考えてみたいと思います。