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認知症の高齢者人口が増え続ける中、「認知症ケア専門士」という資格が注目を集め始めています。国の施策でも、1人でも多くの人が認知症という症状について理解を深めそして実践していく必要があると言われています。看護師も「認知症ケア専門士」を取得することは認知症の知識と理解を深め、スキルを磨くために非常に有益であり、またスキル向上以外にもさまざまなメリットがあります。
この記事では、認知症ケア看護師を取得した看護師Kさんにインタビューし、看護師が認知症ケア専門士を取得した際のメリットをはじめ、取得方法や給料、仕事内容への影響などをご紹介しています。認知症ケア専門士に興味のある看護師の方はぜひ参考にして下さい。
1.看護師が認知症ケア専門士を取得することの意味
まずはじめに、認知症ケア専門士とは、認知症一般社団法人日本認知症ケア学会認定による資格で、認知症に関する優れた学識・高度なスキル・倫理観を備えた専門技術士です。日本認知症ケア専門士の公式サイトによると、介護系の資格保有者が取得しているケースが圧倒的に多いものの、およそ8,300人の看護師が認知症ケア専門士の資格を取得していることがわかります。
看護師の資格を保持している方の中でも、認知症に対しての理解度や知識は浅く、対応が不十分の方が沢山います。入院患者や外来患者で来られた認知症患者に対して「暴れるでしょ?」「怒るんでしょ?」といったマイナスイメージを持って対応する方も残念ながら少なからずいるようです。
しかし、実際はそうではありません。認知症患者に対して正しく理解し、正しい対応をすることで、認知症患者の症状も改善につながります。そのためには、看護師自身が認知症の知識を身に付けるために、認知症ケア専門士の資格を取得することはとても意味のあることなのです。
2.看護師が認知症ケア専門士を取得することのメリットは?
看護師の免許を取得する際に、医療や看護の勉強は一通りしたし、認知症については知っているから今更勉強することなんてないんじゃないの?と思う看護師の方も多いのではないでしょうか。実は私自身も、そう思っていました。認知症=暴れる。コミュニケーションがとれない。こちらの指示が入らない。といったマイナスイメージしかありませんでした。ですが、認知症とはそんな簡単なものではなく奥が深い症状であるということを、認知症専門医と出会ったことで知り、そして認知症ケア専門士の資格を取得したことでさらに学びを得ることが出来ました。
認知症ケア専門士の資格を取得するには試験を受け合格しなければいけません。この試験勉強では、認知症の症状をはじめ、その対応方法、高齢者に多い疾患、薬物療法、非薬物療法、リハビリテーション、環境支援、援助の方法、社会資源について学ぶことが出来ます。今まで看護師として学んでいる事もありますが、されに掘り下げて勉強することで今まで気づかなかった事を学ぶことが出来、そしてその知識と経験を生かすことで、さらに質の良い看護を提供することが出来ます。
それは、講演会を行ったり看護師に教育を行うことです。講演会なんて行えるの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。看護師の免許を持っているだけでは、講演会を行うことが出来るのは一部の方だけで、なかなか縁遠いように思います。ですが、看護師の免許にプラスアルファで認知症ケア専門士の資格を取得することで、看護師だけではなく地域住民や、認知症患者の家族などに知識を広げるために、講演会を求められることがあります。
3.看護師が認知症ケア専門士を取得する方法は?
認知症ケア専門士の試験は、一次試験が7月、二次試験が12月に行われます。受験地は、札幌、仙台、東京、名古屋、京都、福岡の中から1つを選択して受験します。ですので、職場にシフト調整をしてもらう必要があるので、早めに上司に受験したいということを伝えておくほうが良いかもしれません。
一次試験の合格発表は、8月です。一次試験で4分野、全て合格しすれば二次試験を受験することが出来ます。二次試験の合格発表は1月で、合格すれば、認知症ケア専門士の資格を取得することが出来ます。
4.看護師が認知症ケア専門士を取得した場合の給料・仕事内容への影響は?
お給料をアップすることが出来ず、スキルを磨くためだけならわざわざ資格を取得したくないと思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、看護師が認知症ケア専門士の資格を取得した場合、副業で収入を得られる可能性があります。どのような副業で収入を得ることが出来るのかと言いますと、医療系ライターの仕事、講演会といったもので収入を得ることが出来ます。
私は、認知症ケア専門士の資格を取得してから、認知症専門医である医師の講演会のお手伝いをさせて貰うようになりました。認知症ケア専門士の資格を取得後、様々な講演会のお知らせが来るので、さらに知識を増やす機会が増えます。そのため、どんどん知識を深めることで講演会のお手伝いではなく自分自身が講演会を行ったり、医療者だけではなく地域住民に対しても知識を伝達する場を設けることができます。
高齢化が進み、認知症患者が増加する昨今、認知症ケア専門士の資格を取得して認知症ケアに関する専門知識を持つ看護師は重宝されることが予測できます。現時点では給料アップや手当に直結することは少なく、あくまで知識をつけ、スキルを磨くための資格です。仕事内容も変わらないことがほとんどかもしれません。しかし認知症ケア専門士の資格を取得することで知識が深まり、認知症患者への対応が変わり、患者の状態が好転する可能性は大いにあります。また、認知症に関する講演会を行うなど、普段の看護業務以外にも仕事の幅が広がることもあります。高齢化社会を見据えて認知症ケア専門士の資格を取得することは、看護師にとって大きなメリットを生むはずです。