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1.慢性期病院ってどんな病院?急性期病院より少ない?

まずは慢性期病院について簡単に説明すると、慢性期病院とは比較的病状が安定している長期間入院を希望する患者さんを受け入れている病院のことです。急性期を脱したけれど施設では難しい医療処置が必要な患者さんが入院します。主な仕事内容(医療処置)は抹消静脈点滴及び中心静脈栄養・経管栄養・気管切開と吸引などです。転職したい看護師さんはまずはこれは理解していますかね。

慢性期病院は二種類に分かれていて、医療保険由来の医療療養病床と介護保険由来の介護療養病床の2つです。医療保険由来の医療療養病床は約27.1万床・介護保険由来の介護療養病床は約6.1万床です。これに対して急性期病院といわれる一般病床は約89.4万床です。病院の全体数から考えると慢性期病院は少数派です。(厚生労働省:療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて:参照)

また慢性期病院の患者さんの平均在院日数は170日~180日前後と比較的長期間のため、患者さんはもちろん御家族との関係は急性期病院よりも近いです。そして基本的な看護技術は共通スキルですし、どのような病院であっても必要があれば医療度の高い患者さんはモニター管理やカテーテル管理・経管栄養・服薬管理・喀痰吸引などを行うことは可能ですのでこのあたりも仕事内容に含まれます。ただし、最期の時が近づくと積極的に蘇生はしません。なぜなら慢性期病院の患者さんは高齢者が主だからです。主な退院先は死亡による退院か自宅で、長い経過をたどる患者さんの終の棲家となる可能性があります。そのため、医療処置をどこまで行うか、身体抑制を行っても必要な治療を行うか、などの重要な問題を患者さんとご家族の希望をききながら医師やその他の病院スタッフと考えながら慎重に行います。しかし、近年の高齢者の増加に伴う医療費の高騰のため療養病床のうちの医療依存度の低い患者さんが多くいる介護型療養病床は、将来廃止され施設へと転換し、形を変えて存在していくといわれています。そして医療型療養病床は医療依存度の高い終末期の看取りを含めた病院として存在していくと考えられます。

病院という位置づけにそぐわないような医療と介護のハイブリッドが、慢性期病院です。病院の数としては急性期病院より少なく、仕事内容や患者に対する考え方なども異なる。

 

2.慢性期病院と急性期との忙しい度合い(楽さ度合い)の比較など

ここでは慢性期病院と急性期病院を「忙しい度合い(楽さ度合い)」で比較してみようと思います。もちろん全ての病院でというわけではないんですが、転職した看護師の仕事内容の話を聞いても大きな傾向として急性期病院よりも慢性期病院のほうが体力的に楽で忙しい度合いも低いケースが多いかもしれません。なぜなら、慢性期病院は介護福祉士と看護師が共同して患者さんのケアを行えるからです。慢性期病院の看護師の配置基準は201又は251でこの数だけをみると確かに少ないのですが、介護福祉士に対しても配置基準を義務づけていますので相応数の介護職員がいます。 

慢性期病院では生活の援助全般を介護福祉士がメインで行っています。状態が安定している患者さんは介護福祉士が中心となって援助をします。看護師も介護福祉士と同様に生活の援助全般を行いますが、看護の視点が必要な全身状態が不安定な患者さんを重点的に行います。例えば、全身が衰弱して点滴の入った皮膚のもろい患者さんは様々な医療的配慮が必要なので看護師も一緒に清拭をします。その後、その患者さんの状態が落ち着いてきたら介護福祉士に医療的配慮をふまえて適切に指示を出し、清拭を依頼します。急性期病院での仕事の進め方とは違って生活の援助部分は介護福祉士に仕事を任せることが可能なので、肉体的な疲労度や時間的な忙しい度合いは格段に違うという傾向はあります。その一方、急性期病院とは違って医師も看護師も少ない傾向にあって、看護師の行う業務の優先度や緊急性の有無に対する判断が大きな影響力を持っていますので、職場によては決して楽なばかりではないこともあります。 

全てが全てではないが転職した看護師の話なども参考にすると、介護福祉士の存在などを考えると慢性期病院の方が急性期病院に比べて忙しい度合いとしては楽なケースの方が多い。

 

3.慢性期病院と急性期との様々な比較

「忙しい度合い(楽さ度合い)」以外でも慢性期病院と急性期病院を比較してみます。転職したい看護師の方はここも抑えましょう。

第一に、「使える薬」の違いがあります。一般に急性期病院が使っている薬は慢性期病院では後発薬(ジェネリック)に置きかえ、使用する薬も最小限に減らします。高齢者の場合は合併症を併発し非常に多くの薬を使用していると「飲み忘れ」や「なんのための薬かわからないから飲まない」などと問題になります。薬の管理が困難だと自宅に戻っても状態が悪化しての再入院となってしまいます。これは患者さんにとっては薬の数が減るのでうれしいのですが、看護師さんにとっては実は後発薬(ジェネリック)の薬の名前をもう一度覚え直すという仕事が出てきます。後発薬は何種類もあるため、慢性期病院に転職したての看護婦さんは後発薬と今まで覚えていた薬の商品名との間で混乱する人もいます。 薬を覚えるのが仕事内容というのは初心に帰った気がするかもしれないですね。

第二に、医療材料が最新式ではないという点も違いです。急性期病院と比較すると慢性期病院は必要最小限のスペックの医療材料を使用しています。例えば、滅菌処理が看護師の仕事内容の一つになっている場合があります。そのほうがディスポ製品を使用するより安価だからです。看護師さんによっては「今まで滅菌処置なんてやったことがなかった」「オートクレーブって何だっけ?」となることもあるようです。

第三に、患者さんの治療について看護師の介入度が大きいというのも違いです。急性期病院と比較すると医師の数も少ないので、治療について予測されることはあらかじめ医師から看護師に指示が出ているため、その医師の指示を行います。ただし、その指示が目の前の患者さんの状態と合致しないときは「この指示がこのような理由で現在施行できない状態なのですが、施行は後程でいいですか?(もしくは一時中止)」などと確認するそうです。高齢者は症状の個別性が高いので「状態に応じて施行」という指示が多いです。

忙しい度合い以外でも使える薬や医療材料、看護師の介入度、医師の数など慢性期病院と急性期病院は違いがある。

 

4.慢性期病院の看護師のやりがいは?デメリットもある?

上記のように急性期病院と比較した時に仕事内容など様々な違いがある慢性期病院ですが、看護師としてのやりがいはどうでしょうか?私の知る看護師で急性期病院から慢性期病院へ転職した時に感じたやりがいというのを聞いたことがあるのでご紹介します。

慢性期病院の中での限られた薬・医療材料・医療スタッフの人数であっても、知恵を出し合ってケアできた時に「お仕事していてよかった」とやりがいを感じたそうです。ごくごく基本的なケア根拠を洗い出し、丁寧に地道にやっただけでも不快な症状が治ることがあるんですね。慢性期病院の看護師さんは業務の中で様々な情報を手にいれながら類推し、治療や看護に活用する力が試されます。類推した予想が当たると、本当に素晴らしい変化が起こります。これはやりがいにつながるのでしょう。

例えば、これも同じ看護師から聞いたやりがいの話ですが、意思の疎通が困難な患者さんが話せるようになって退院したケースで、毎日ケアを行う際に地道に話しかけていくうち、突然ある日「ありがとうございます」と丁寧なお礼を言われた驚きとうれしさは格別だったそうです。最新式の機器や医療設備はないけれど、やりがいはあるみたいですね。転職する際にやりがいを考えてしまう方はこのような例もあるようなので参考にしてくださいね。

 あと慢性期病院という点でのデメリットもヒアリングしたところ、認定看護師などのキャリアアップの研修に行く機会は少なくなるという点を挙げていました。理由としては比較的中小規模の病院が多いので、半年以上の長期間外部の研修に行かせる余力がないためだそうです。転職後、認定看護師になりたい気持ちが変わらなければ待っているだけでなく自己研鑽に励む姿勢を示し、実績を作りながらチャンスを作らないといけないのかもしれないですね。

 

慢性期病院へ転職したい看護師の方へ

慢性期病院は仕事内容的にも急性期とは違いますし、やりがいなども急性期とは異なるのかもしれません。でも職場の緊張感は比較的少なく、急性期と比較すると多様性があるという声もありますし、ワークライフバランスを考慮して働きやすい環境ともいえるかもしれません。慢性期病院へ転職したい看護師の方はマイナビ看護師などもチェックしてみましょう。