目次
性別 | 女性 |
年齢(転職時) | 29歳 |
転職前の職場 | 病院勤務(集中治療室) |
転職後の職場 | 医療機器メーカー |
転職のきっかけ | 生活の変化・専門性の追求・仕事とプライベートとの両立 |
1.看護師から医療機器メーカーに転職したきっかけ
当時の私は、結婚という人生のターニングポイントを迎えるにあたり、パートナーとの生活を重視しながら、より専門性の高い高度な医療を提供している病院への転職を決意。元々集中治療室勤務であったことから、業務の多忙さには耐性はあったものの、入職時に聞かされていた残業時間を遥かに超える「月60時間の時間外業務」を経験させられ、プライベートとの両立に限界を感じていました。
そんな中転職サイトを眺めていると、病院勤務時代からひそかに憧れを抱いていた医療機器メーカーの求人を発見。「このタイミングはいいきっかけかもしれない…」そう思い、転職先を病院勤務から企業勤務へシフトさせたことが、私が病院看護師から医療機器メーカーへ転職したきっかけです。
2.看護師から医療機器への転職活動の方法・求人の探し方
①病院・介護施設を多く取り扱う看護師転職サイトに登録
②医療向けの合同就職説明会への参加
③医療機器メーカーの求人を専門に取り扱う転職サイトに登録
の3つの方法を活用し、転職活動を行いました。結論から申しますと、最終的には③のサイトにお世話になり、現在の医療機器メーカーに就職しました。
どのように働くのかをある程度自分で決められる自由度の高さは、看護師ならではの特権かなと思いますが、多種多様な条件に対応できるようそれぞれのサイトが多くの案件を取り扱っており、正直どこの病院の魅力も同じようにしか伝わってこなかったということが、私が感じた印象です。また、実際に見学に行くことももちろん可能ですが、「給料はいいけど老朽化が激しいな」「雰囲気はいいけれどやりたい領域とは少し違うな」など、沢山あるからこそいろいろな欲が出てきて、収拾がつかなくなったという理由もあります。
メリットも多いかと思いますが、せっかくの転職活動ですし、再就職先で自分が納得して働けるように、最初は厳しめの条件で転職活動にあたりました。
こちらは電話でのやり取りではなく、実際に面談を行い、条件に合う企業の求人をその場で出力して一緒に考えてくれました。イメージ的には、家探しで賃貸会社に行く時と似ています。そして、コンサルタントの方と十分相談を行った上で、希望する企業へ書類の提出を行います。書類面接が通ったら、人事や総務の担当者との一次面接、社長や所属予定の部長を含めた二次面接へと駒を進めていきます。もちろん、途中で不合格…ということもありますし、実際に話してみて「ここの会社はちょっと…」という場合はこちらからお断りもできました。
このように工程が多い分、入職前に会社についての理解を深める機会にもなり、安心して就職することができたと思います。
医療機器メーカー専門の転職サイトはいくつかありますが、私が登録したのは、医療機器転職Biz、メディカルキャリア、などのサイトです。
【医療機器転職Biz】
【メディカルキャリア】
3.看護師が医療機器メーカーに転職する時のポイントは?
病院では患者さんのために、という思いで業務にあたっていたかと思いますが、企業に就職するということは何より一番に会社の利益を追求する義務があります。どんなことよりも利益重視です。どんなに良い機能のある製品の提案をしても、イニシャルコストと呼ばれる初期費用が高ければ、余程の理由がない限りは開発にあたれません。
看護師の知識と経験はかなり重宝される職種ではありますが、働く上での方向性は病院勤務時代とは全く異なります。経営についてや営業活動について、物流の流れや製品販売に至るまでの諸費用のことなど、基礎として求められてくる知識も非常に多いですし、一度企業看護師の道へ足を踏み入れたら、臨床現場には戻らないぞという決意がなければ、耐えられなくなると思います。
ここは一番大切なことかと思いますし、その思いがあるのかどうかはコンサルタントも、受け入れる企業もかなり重視しているなと伝わってきましたので、私もかなり覚悟をして転職活動にあたりました。
①看護師免許所有者
②営業経験者
③運転免許所有者
④日常会話レベルの英語能力
などが多かったように感じます。②の営業経験については、既に看護師としてどこかのメーカーで営業として業務にあたっている場合ですが、③の運転免許所持については、特に営業職や営業補助として看護師を求めている企業に多い条件でした。
また、グローバル化が進んでいることもあり、④の英語力に関しては実際にTOEICの結果表の提出を求める企業もありました。一方で、大手外資系でも「入ってから徐々に覚えていけばいいよ」というところや、研修制度の一環として英語を取り入れているところもあり、英語力があるに越したことはないという程度のところも多かったです。
また、日系企業でも海外からの輸入事業に配属される可能性があれば、英語力を問う企業もあります。業務の内容によっては、英語文献を読む機会が多ければ、条件には書いていなくても面接時や入職後に英語力を求められることも少なくはありません。今後医療機器メーカーに転職したいと考えている方は、日常会話レベルの英語力はつけておいた方が、選択肢の幅はかなり広がると思います。
しかし、一番大切なことは、コンサルタントの人や面接官に、自分の持っているスキルや自分を採用したことによる会社のメリットを絞り出してアピールすることです。企業は、全てのことに対してその事案に関する結果と効果を求めますので、このアピールがうまくいくかどうかが肝になります。私も、看護師業務とは関係のないことでも、趣味や特技を活かせるシチュエーションを面接の際にアピールし「入職前から業務とつなげて自分の仕事を想像できている」ことを伝えました。今思い返すと、あそこまで自己肯定感を高めたことは後にも先にもあの時だけだったかもしれません。
4.医療機器メーカーに転職した看護師の仕事内容は?
【外勤】
・営業同行をし、製品の良さを看護師に伝える
・学会へ同行し、製品の普及を行う
・医師や看護師と会い、製品を良くするための助言をもらったり、普及のための協力を煽る
【内勤】
・製品に関するチラシやホームページ作成に関する助言を行う
・製品開発に携わり、看護師としての意見を伝える
・医療に関する社内の研修を行う
・医療に関するトピックスの広報誌を配信する
これらはどれも、自分から「これならできます」というアピールをして仕事を掴んでいきます。病院勤務時代は、与えられたプロトコルに従いそれを正確にこなしていく、ということが多かったのですが、企業に勤めてからは、社内だけではなく医療業界全体の方向性にアンテナをはって、それを社内にバックしていくことが多くなり、仕事内容はかなり大きく変わったと思います。
医療知識の中でも新しく学習する領域もありますし、企業の一員として経営の仕組みや営業活動についてなど、学習し続ける大切さは病院勤務の時と同じくらいかなと思います。もちろん、勤める企業や分野によって違いはあると思いますので、どのような研修制度を設けているのか、学習が必要な分野は何かなどは、早めに確認しておくとよいかと思われます。
5.医療機器メーカーに転職した看護師の給料は?
私が医療機器メーカーに転職した際には、前年度の年収を基に自分から提示するように依頼されていましたので、源泉徴収票を見返して記載しました。なので、病院勤務のときと、医療機器メーカー転職後とでは、年収的にはほぼ変わっていません。しかし、病院勤務の時には充実していた福利厚生が受けられないこともありますので、交通費・家賃補助の支給が行われているかの確認を忘れないでください。また、年収の内訳も、1ヶ月分の給料が上がるのか下がるのか、ボーナスは年に何回何ヶ月分なのかの確認は必要です。
また稀に、基本給が高めに設定されているが、残業する前提で別途残業代は出ないという企業もありましたので、一概に記載されている年収をあてにするのは禁物です。きちんとコンサルタントの方に、内訳や残業代について確認をとっておいてください。
ほかにも、例えば営業職であったり、出張や単身赴任が多い部署であれば、500〜700万円以上をボーダーとする企業も少なくありませんでした。看護師の資格を持ちつつ、バリバリ働いてとにかく稼ぎたいという方には、医療機器メーカーはオススメの働き方ですよ。
看護師としての働き方に悩んでいて違う職種への転職を考えている方も、病院勤務が嫌になったから…と諦めかけている方も、せっかく取得した国家資格を無駄にする必要はありません。看護師は様々な企業で、様々な形で重宝される資格です。仕事に臨むスタンスや仕事内容はまったく違いますが、医療機器メーカーでも看護師資格の保有者を欲するケースは多く見られます。悩んだ時は、他の道を極めて見ることも一つの方法ですよ。