目次
1.一般企業と医療職におけるキャリア形成の違い
「キャリア形成」という言葉は、一般企業の会社員と同じく看護師の仕事においても重要なキーワードです。医療従事者は看護師も含めて競争社会の中で仕事をしておらず、比較的閉鎖的な社会で仕事をしています。そのため「キャリア形成」や「昇格」などに対して消極的であり、役職に就くことなく定年を迎える看護師も少なくありません。ですが一方で、看護師もキャリアによっては給与や待遇、定年後の働き方さえも変わってくるという事実もあり、「キャリア形成は積極的に考えていこう」という看護師が増えてきている現状もあります。転職理由に「キャリア形成」を挙げる看護師もいて、資格取得などに支援、補助をしてくれる医療機関への転職を希望する看護師もいます。ここでは看護師のキャリアプランを解説しますので、是非この記事を読んでどのような看護師人生を今後過ごすか、考えるきっかけにして下さい。
一般企業役職 | 病院役職(医師、看護師) | 職務・職責 |
代表取締役 | 理事長(法人) | 組織の代表、責任者 |
取締役 | 理事 | 組織運営の責任・権限 |
執行役員 | 院長、副院長 | 組織責任者の指揮下で業務管理を行う |
部長 | 部長、看護部長 | 課や病棟の管理 |
課長 | 主任医長、師長 | 中堅管理職として 一部門、病棟を管理・監督 |
係長 | 医長、主任 | 一部門、病棟を分割した最小単位の係りを管理 |
主任 | チームリーダー | 管理職には属さず、従業員 の熟練者 |
2.新人1年目から始まる看護師のキャリア道
転職相談X子さんが考えている管理職の他に、看護師のキャリアにはスペシャリスト、ジェネラリストがあります。その他にも最近誕生した特定看護師や医療機関以外で働く看護師など、活躍のフィールドが広くなりました。そのため、今まで以上にキャリア形成は大事になってきています。以下のフローチャートも併せてご参考下さいね。
3.看護師のキャリア形成例①管理職
チームリーダーとして、リーダーシップが身につくと、病棟全体を管理する役職に就きます。副主任、主任、副師長、師長が、病棟を管理する役職になります。主任は、チームリーダーの上長となり、主に現場の管理を行います。病棟スタッフの能力に合わせた教育やサポート、要望、不満などに対応します。概ね現場経験が10年前後で副主任に就き、各役職を経験し昇格をしていきます。主任までは現場業務と並行しつつ行うことが多いので、看護師業務と管理業務を半分ずつ担当します。
さらに上位職の師長、副師長になると、病院によっては現場を離れ、病棟全体の調整や管理業務を担当します。病棟稼働率やコスト、スタッフの勤怠管理と、病院全体に関わる業務も入ってきます。また病棟以外に委員会の委員長を任されることもあり、看護師経験15年以上かつ主任経験5年以上など、ハードルが高くなります。さらに上位職になると、看護部全体を管理する看護部長があります。病院内の看護師の教育方針や職員数、キャリアラダーの管理など、看護部内をすべて統括します。病院の運営会議や看護部の顔として、HPやパンフレットなどにも掲載されます。看護師経験20年以上看護師長経験5年以上など、看護師としても管理者としても十分な能力を持った人が任されます。
看護師の役職 | 経験年数例 |
看護部長、副看護部長 | 看護師経験20年以上 師長、副師長3年以上 |
師長、副主任 | 看護師経験15年以上 主任、副主任3年以上 |
主任、副主任 | 看護師経験10年以上 チームリーダー2年以上 |
チームリーダー | 看護師経験5年以上 プリセプター経験者 |
4.看護師のキャリア形成例②スペシャリスト
また、専門・認定看護師になるためには、学費や生活費を合わせて200~400万円が必要と言われています。教育機関によっては、休職をする必要があったり、夜間や休日通学ができるところなどあります。さらに、所属病院によっても支援してくれる体制が異なるため、所属する病院選びは大切になってきます。例えば、教育機関費用をすべて支払ってくれたり、休職扱いも給与を支給してくれたり、卒業後勤務することを条件に借金を免除してくれたりと、様々な支援方法があります。スペシャリストのキャリアを考える時には、勤める病院選びや今の病院の制度を確認しておくといいと思います。
5.看護師のキャリア形成例③ジェネラリスト
看護の領域は診療科とは別に、急性期、回復期、慢性期、終末期があります。同じ病気であっても、年齢や性別、どの期間にいるのかによって治療や対応は異なります。それらを培った知識と経験をもとにアセスメントし、医師の方針に沿って看護業務を行うことができる看護師がジェネラリストと呼ばれています。病院のキャリアプログラムには、ジェネラリストを経てから管理職、スペシャリストへとステップアップするルートも示されていることもありますので、管理職やスペシャリストの前段階のような感じがしますが、ジェネラリストも立派な看護師のキャリアの1つと言えると思います。
6.看護師と医師を繋ぐ「特定看護師」の存在
7.医療現場以外で作るキャリアの可能性
他にも医療機関以外で働く看護師の例は多いんですが、例えば医療機器メーカーでは、スペシャリスト枠として、看護師を募集しています。人工呼吸器や創傷治癒機器などは、医師と看護師双方が理解していなければいけません。その際に、実際現場で働いたことがある看護師が、病院で実演することにより、メーカー社員やほかの医療職が説明するよりわかりやすいものになります。また、どの点が看護師にとって使いづらいか、どこが改良したことがポイントか、的確に説明ができます。また患者と医療者の間に立ち、仲裁、仲介をする医療コーディネーターという仕事をする看護師もいますし、求人数は少ないですが保険会社で働く看護師もいます。保険会社の看護師は、入院や手術において保険を申請するときに、この病名や術式は保険請求に対応しているか、本当に病気と手術が合っているかなど、医療査定事務を行います。デスクワークが基本で、憧れの9時出社、17時帰社や都心で仕事をすることができます。
医療現場以外で作るキャリアの例を挙げれば看護師は、医療機関や介護施設で医療、看護を提供するだけでなく、その知識と技術を活かして、多くの方を助けることができます。特に身体的にも精神的にも負担が大きい看護師ですので、自分が一番活躍できるキャリアを探していただき、もっと輝けるように頑張ってください。