目次
- ■看護師の学歴による給与の違い
- 1. 初任給の違い
- 2. 昇給のペースと幅
- 3. 昇進への影響
- ■高卒看護師として給与アップを目指す方法
- 1. 高卒看護師が資格取得で手当を増やす
- 2. 高卒看護師が昇進して役職手当を得る
- 3. 高卒看護師が勤務形態を工夫して収入を増やす
- ■高卒看護師の給料例
- 1. Aさん(経験3年目、地方の中小病院勤務、日勤のみ)
- 2. Bさん(経験5年目、都市部の総合病院勤務、月4回夜勤あり)
- 3. Cさん(経験7年目、大学病院勤務、ICU勤務、月6回夜勤あり)
- 4. Dさん(経験10年目、訪問看護ステーション勤務、オンコールあり)
- 5. Eさん(経験15年目、地方の大規模病院勤務、手術室勤務、月2回夜勤あり)
- 6. Fさん(経験8年目、都市部の介護施設勤務、夜勤専従)
- 7. Gさん(経験20年目、都市部の大学病院、外来勤務、日勤のみ)
- 8. Hさん(経験12年目、地方の救急病院勤務、月4回夜勤あり)
- 9. Iさん(経験6年目、都市部の訪問看護ステーション勤務、オンコールあり)
近年、高校卒業後に看護師を目指す人が増加しています。学費が少なく済むことや、早くから現場経験を積むことができる点が魅力ですが、気になるのが給与面です。高卒と大卒の給与差はどの程度なのか、高卒でも昇給・昇進が可能なのか、本記事では高卒看護師の給料の実態や、収入アップの方法について詳しく解説します。
■看護師の学歴による給与の違い
1. 初任給の違い
- 高卒看護師の初任給
高卒看護師の初任給は約18万円~22万円が一般的です。これは、高校を卒業後、看護専門学校などで必要な資格を取得し、その後すぐに現場に出た場合の給与水準です。病院の規模や地域、勤務先の給与規定によって多少の差はありますが、学歴が高卒であるため、基本給は低めに設定される傾向があります。 - 専門卒(看護専門学校卒)の初任給
専門学校卒の場合、初任給は約19万円~23万円程度が目安です。高卒に比べて少し高めに設定されることが多いですが、その差は1万円前後であることが多く、高卒と大きな違いはありません。専門卒の看護師は、専門的な教育を受けたという評価が給与に反映されています。 - 大卒(看護大学卒)の初任給
大卒看護師の初任給は約20万円~24万円程度です。大卒の方が、学歴が高く、専門的な知識や幅広い教養を持っていると評価されるため、初任給が高めに設定される傾向にあります。この段階での差は約2万円~3万円程度ですが、キャリアが進むとその差が広がることが多いです。
2. 昇給のペースと幅
- 高卒看護師の昇給
高卒看護師の昇給は年に1回行われることが多く、昇給額は月額3,000円~5,000円程度が目安です。昇給幅は比較的小さく、学歴が低いことが給与の伸びに影響することがあります。ただし、夜勤手当や各種手当の支給がある場合は、年収ベースではそれほど大きな差が出ないこともあります。 - 専門卒看護師の昇給
専門卒看護師の昇給ペースは、高卒看護師と同じかやや高めに設定されることが多いです。経験年数が増えるごとに昇給額が増える傾向があり、役職への昇進の機会も広がります。 - 大卒看護師の昇給
大卒看護師は、昇給のペースが比較的早く、昇給幅も大きめです。学歴が高いため、昇進の際の評価が優遇される傾向があり、主任看護師や看護師長などの管理職に昇進しやすくなります。昇進に伴って役職手当が支給されるため、年収が大幅に増えることがあります。
3. 昇進への影響
- 高卒看護師の昇進機会
高卒看護師でも、長年の経験や高いスキルを持っていれば、主任看護師や看護師長などの役職に昇進することは可能です。しかし、大規模病院や大学病院では、昇進の際に学歴が影響することがあるため、高卒の場合、昇進のスピードが遅くなる可能性があります。管理職を目指す場合は、認定看護師や専門看護師などの資格を取得することで、学歴のハンデを補うことが重要です。 - 専門卒看護師の昇進機会
専門卒の看護師は、高卒に比べて昇進しやすい傾向があります。経験年数や成果を積み重ねることで、管理職に就くことが可能です。ただし、大学病院や大規模病院では、管理職への昇進に大卒以上の学歴が求められるケースもあります。 - 大卒看護師の昇進機会
大卒看護師は、初任給が高く、昇進の際に学歴による優遇があるため、管理職に就くチャンスが多いです。特に大学病院や大規模病院では、大卒以上の学歴が管理職への昇進に必要な条件となっている場合もあり、昇進がスムーズに進む傾向があります。
■高卒看護師として給与アップを目指す方法
1. 高卒看護師が資格取得で手当を増やす
高卒看護師が給与アップを目指すための最も効果的な方法の一つが資格取得です。資格を取得することで資格手当が支給され、高卒看護師でも給与が大幅にアップする可能性があります。
- 認定看護師
認定看護師は、特定の看護分野で専門知識と技術を持つ看護師に付与される資格です。高卒看護師でも、特定の実務経験を積めば取得が可能で、資格手当として月額5,000円~2万円程度の追加収入が期待できます。高卒から認定看護師を目指すことで、キャリアの幅を広げ、給与アップにつなげることができます。 - 専門看護師
専門看護師の資格は、高卒看護師でも、一定の実務経験と研修を経て取得が可能です。特定分野で高い専門性を持つことで、月額1万円~3万円程度の資格手当が支給される場合があります。高卒看護師が専門看護師資格を取得することで、病院内での評価が高まり、収入増加につながります。 - ケアマネージャー(介護支援専門員)
高卒看護師でもケアマネージャーの資格を取得できます。特に介護施設での勤務を考える高卒看護師にとっては、この資格を持つことで給与のベースが上がり、給与アップが実現しやすくなります。ケアマネージャーの資格手当は、月額5,000円~1万円程度が一般的です。
2. 高卒看護師が昇進して役職手当を得る
昇進して役職手当を得ることも、高卒看護師にとって効果的な給与アップの方法です。役職に就くことで、役職手当が支給され、基本給が大幅に上がります。
- 主任看護師
主任看護師に昇進することで、月額1万円~3万円程度の役職手当が支給されます。高卒看護師であっても、リーダーシップを発揮し、日々の業務で成果を上げることで、主任への昇進が可能です。高卒看護師が昇進を目指すには、リーダーシップ研修やマネジメントスキルを積極的に習得することが重要です。 - 看護師長
看護師長になると、月額3万円~5万円程度の役職手当が支給されるため、高卒看護師でも大幅な年収アップが期待できます。看護師長のポジションを目指す高卒看護師は、管理能力を磨き、チーム全体を指導できるスキルを持つことが求められます。 - 部長看護師や管理職への道
高卒看護師でも、キャリアを積み重ねることで部長看護師や他の管理職に昇進することが可能です。これにより、月額5万円以上の役職手当が支給され、年収ベースで100万円以上の増加も期待できます。
3. 高卒看護師が勤務形態を工夫して収入を増やす
勤務形態の工夫によっても、高卒看護師は収入を増やすことができます。夜勤やオンコール対応を増やすことで手当が支給され、給与アップが実現します。
- 夜勤の回数を増やす
夜勤手当は1回あたり5,000円~1万円程度支給されるため、高卒看護師が夜勤の回数を増やすことで収入アップを狙うことができます。たとえば、月に4回夜勤を行う高卒看護師の場合、年間で24万円~48万円の追加収入が期待できます。体力的に問題がなければ、夜勤専従の勤務を検討するのも有効です。 - オンコール対応の手当を活用する
高卒看護師がオンコール勤務に対応することで、1回あたり3,000円~5,000円程度の手当を得ることが可能です。オンコールの頻度を増やせば、それだけ収入が増加するため、積極的にオンコール業務に取り組むことが給与アップにつながります。 - 非常勤から常勤勤務への切り替え
高卒看護師でも、非常勤勤務から常勤勤務へと切り替えることで、基本給に加えてボーナスや各種手当が支給されるようになります。特に賞与が支給されるようになるため、年収の大幅な増加が期待できます。
■高卒看護師の給料例
1. Aさん(経験3年目、地方の中小病院勤務、日勤のみ)
- 基本給:18万円
地方の中小病院での勤務で、経験3年目のため、基本給は18万円に設定されています。地方の病院は都市部と比べて給与水準が低いことが多いです。 - 手当:2万円
通勤手当1万円、資格手当1万円。日勤のみのため夜勤手当はありません。 - 賞与:54万円(年2回、基本給の3ヶ月分)
賞与は年間で3ヶ月分支給され、年2回に分けて支給されます。 - 年収合計:306万円
年間の収入は基本給+手当+賞与で合計306万円になります。
2. Bさん(経験5年目、都市部の総合病院勤務、月4回夜勤あり)
- 基本給:21万円
都市部の総合病院に勤務しているため、基本給は地方の病院より高めに設定されています。経験5年目の実績も反映されています。 - 手当:6万円
- 夜勤手当(1回1.2万円×4回):4.8万円
- 地域手当:1万円(都市部勤務のため支給)
- 資格手当:0.2万円
- 賞与:84万円(年2回、基本給の4ヶ月分)
病院の業績と評価により、賞与は年間で基本給の4ヶ月分支給されます。 - 年収合計:396万円
基本給と手当、賞与を合計すると年収は396万円になります。
3. Cさん(経験7年目、大学病院勤務、ICU勤務、月6回夜勤あり)
- 基本給:24万円
大学病院での勤務かつICUに所属しているため、専門性が求められ基本給が高めに設定されています。 - 手当:10万円
- 夜勤手当(1回1.5万円×6回):9万円
- 危険手当:0.5万円(ICU勤務のため支給)
- 資格手当:0.5万円(BLSの資格取得)
- 賞与:108万円(年2回、基本給の4.5ヶ月分)
大学病院では賞与が高めに設定されている場合が多く、年間4.5ヶ月分支給されます。 - 年収合計:540万円
年間の合計年収は540万円となり、夜勤や手当の多さが収入に大きく影響しています。
4. Dさん(経験10年目、訪問看護ステーション勤務、オンコールあり)
- 基本給:22万円
訪問看護ステーションでの勤務で、経験年数10年目。訪問件数や夜勤が少ないため、基本給は中程度です。 - 手当:8万円
- オンコール手当(1回5,000円×6回):3万円
- 訪問件数に応じたインセンティブ:5万円(20件訪問での報酬)
- 賞与:77万円(年2回、基本給の3.5ヶ月分)
訪問看護ステーションでは賞与が少なめですが、基本給の3.5ヶ月分が支給されます。 - 年収合計:421万円
手当が充実しているため、訪問件数やオンコールの回数によって収入が変動します。
5. Eさん(経験15年目、地方の大規模病院勤務、手術室勤務、月2回夜勤あり)
- 基本給:27万円
地方の大規模病院で15年目の看護師として働き、手術室での専門性が反映されています。 - 手当:5万円
- 夜勤手当(1回2.5万円×2回):5万円
- 賞与:135万円(年2回、基本給の5ヶ月分)
勤続年数が長いため、賞与は基本給の5ヶ月分支給されます。 - 年収合計:534万円
基本給、手当、賞与がバランスよく支給され、安定した年収が得られます。
6. Fさん(経験8年目、都市部の介護施設勤務、夜勤専従)
- 基本給:20万円
都市部の介護施設に勤務しており、夜勤専従のため基本給は20万円と設定されています。 - 手当:12万円
- 夜勤手当(1回1.5万円×8回):12万円
- 賞与:70万円(年2回、基本給の3.5ヶ月分)
介護施設では賞与がやや少なめですが、年間3.5ヶ月分が支給されます。 - 年収合計:434万円
夜勤専従のため、夜勤手当が収入の大部分を占めています。
7. Gさん(経験20年目、都市部の大学病院、外来勤務、日勤のみ)
- 基本給:28万円
大学病院での経験20年目のベテラン看護師。日勤のみの勤務形態です。 - 手当:3万円
- 資格手当(認定看護師資格):2万円
- 通勤手当:1万円
- 賞与:140万円(年2回、基本給の5ヶ月分)
長年の勤務により、賞与が多めに支給されます。 - 年収合計:520万円
夜勤がないため手当は少ないものの、基本給と賞与で安定した収入があります。
8. Hさん(経験12年目、地方の救急病院勤務、月4回夜勤あり)
- 基本給:25万円
救急病院に勤務し、経験12年目で専門性の高さが評価されています。 - 手当:8万円
- 夜勤手当(1回2万円×4回):8万円
- 賞与:100万円(年2回、基本給の4ヶ月分)
賞与は基本給の4ヶ月分支給されます。 - 年収合計:460万円
夜勤手当と賞与が収入に大きく寄与しています。
9. Iさん(経験6年目、都市部の訪問看護ステーション勤務、オンコールあり)
- 基本給:22万円
訪問看護ステーションで働き、6年目。基本給はやや低めに設定されています。 - 手当:7万円
- オンコール手当(1回5,000円×4回):2万円
- 訪問件数に応じたインセンティブ:5万円
- 賞与:77万円(年2回、基本給の3.5ヶ月分)
訪問看護業務の評価により、賞与が支給されます。 - 年収合計:418万円
訪問件数やオンコールの頻度で収入が変動します。